突然の誕生日パーティー(後)
さて、準備が出来るまで俺とオタ先輩はゲームをすることになったわけだけど…先輩強っ!
さっきからいろんなゲームをしてるけど先輩の全勝。俺のぼろ負けが続いてる。
なんか有り得ないくらい上手い…
いや、それでお金貰ってるし上手くないとおかしいんだけどさ。
でもここまで完膚無きまでやられちゃうとへこむ。そんなにゲームやるわけじゃないけど、でもショックだ。
絶対この人ゲーセンに行ったらランキングを全部うめて帰ってくるんだろう。
これも一種の才能?
いいなぁ。何かしら才能ある人は。
俺なんか才能ない事が才能みたいな人間だからなぁ。
平凡に生きていますとも。はい。
ってかえんじょいくらぶの人達が平凡じゃないから俺が逆に浮いてんじゃ…
双子はあんなんだし、たっつん先輩はなんか他の人と違うオーラ出してるし、つー先輩もナギ先輩もなんかすごいし、オタ先輩はこうだし。ぐっち先輩は…いつも寝てるからわかんないや。
「はぁ…」
思わず溜め息が出てしまう。なんかこの頃溜め息が多い…
「飽きた?」
オタ先輩が綺麗な瞳を向けて聞いてくる。
お願いだからこっち見ないで下さい。
なんか…眩しい。
こんな綺麗な瞳に見つめられたらすごく俺場違いな気がしてくる。
そんな瞳の事ばっかり褒めてたら失礼なんだろうけどさ。
でもやっぱり慣れない。前髪+メガネの人がこんなになるなんて反則じゃないか?
漫画っぽい。としか言えない。
今のままで学校行ってたら絶対モテそう。
それこそ靴箱開けたらラブレターどばーみたいな。
うちの学校靴箱開けるタイプじゃないから無理なんだけどさ。でも一回そんな漫画みたいなの見たいと思わない?
「「オタ〜ユウ〜準備出来たよ〜!」」
双子が下から叫ぶ。
うるさいっつの!!
一人でもうるさいのに二人もいたら二倍だよ。実際二倍だけど。
「もう準備出来たのか、早いな」
準備って、あの人達は何の準備してたんだ?誕生日パーティーかなんか?
だとしても早いな。
まだそんなに…たってる。一時間はたってるよ…。早いな〜
でも一時間じゃ大した事出来ないと思うけど…
いや、この人達にそんな普通の事を求めたらいけないんだ。多分。
「ユウ、行くぞ」
「あ、はい」
先輩はもうテレビとゲームを切ってドアを開けていた。いつの間に…
ただ俺がぼ〜としてたからなんだろうけどさ。
にしても学校と家とじゃ態度が全然違うな。
なんか変な感じ。
「うわ〜いつの間にこんな…」
オタ先輩に連れて来られてきた部屋にはいろんな飾り付けがされていて、テーブルには豪華な料理が並んでいる。
なんかパーティー会場みたい。いや、今から誕生日パーティーするんだからパーティー会場であってるんだけどさ。
そしてテーブルの真ん中にはホールケーキが置いてある。
何故かショートケーキではなくチーズケーキ。
普通誕生日パーティーのケーキといえばショートケーキでしょ。
このメンバーの家がそうかは知らないけど、少なくとも我が家はそうだ。
にしても料理すごいなぁ。この一時間で作ったのかな?
どんだけ早いんだよ。
量だって結構あるし。
すごいとしか言い様がない。
「ユウ、早く座らないと。パーティー始められないでしょ?」
「すいません」
つー先輩に促されて近くのイスに座る。
一番隅っこの席で、左にはオタ先輩、目の前にナギ先輩。
なんか不思議な席…
それでオタ先輩の横がたっつん先輩。
ナギ先輩の右隣りには双子が、テーブルの縦の部分には左がぐっち先輩。右にはつー先輩という風に座っている。
「すごいでしょ!私とマチで飾り付けしたんだよ!」
「褒めて褒めて〜」
2人でこの飾り付けを…なんかそういうの得意そうだな。
実際キレイだし。
「すごいすごい。ご苦労様」
「「ちぇ〜そんだけ?」」
双子にはこれで十分。
変に褒めてもうるさそうだし。
「料理は僕とたっつんとナギで作ったよ。
時間無かったから適当になっちゃったけど」
「そうなんですか?
すごく美味しそう」
こんなに美味しそうなのに適当って貴方…
料理って言ったら目玉焼きがいいとこの俺に対しての嫌味ですか?
俺だったら同じ時間用意してもろくなもの作れないんだろうな…
いや、男は料理なんか出来なくたっていいんだ!
男は働いて帰ってきて、奥さんの美味しい手料理を食べる。
これだろ?
あ、でもレストランとか料亭ってテレビで見る限りでは男が結構働いていた気が…
やっぱり俺が出来なさすぎなのかな。
「「じゃあローソクに火をつけるよ」」
マチ先輩が18本のローソクに火をつけていく。
小さな火が灯されてゆらゆらと揺れる。
ただ部屋が明るいからあんまり雰囲気が出ない。
昼間だし仕方ないか。
「ではではオタ」
「「「「「「「誕生日おめでとう!」」」」」」」
ふー、っと息を吹き掛ける。
残念ながらローソクの火は一気には消えない。
2度目でようやく火が全部消えた。
オタ先輩って意外と肺活量ない?
いや、元々あるとは思ってないけど、思ってたのより更に無かった。
俺は18本のローソクを吹き消した事ないから、どんだけ肺活量が必要かわかんないけどね。
パチパチパチ
7人分の拍手が部屋に響く。
「ありがと」
「とりあえず、食事の邪魔になるのでケーキはどかしますね」
ナギ先輩が立ち上がってケーキを運んでいく。
「おなかすいた〜もうたべていい?」
今言うなよあんた。
子供っぽいな。
せめてナギ先輩がケーキ置いて戻ってくるまで待とうよ。
あれ?そういえばいつの間にぐっち先輩いるんだ?
確か家に来る時までいたけど、家に入るの全然見てない。
さっき先輩も手伝ってたって言ってなかったし。
「そういえばぐっち先輩は何してたんですか?」
「あのね〜ケーキかいにいってたの」
ケーキを買いに?
ここらにケーキ屋さんなんてあったんだ。
俺こっちには全然来ないから知らなかった。
「誰かさんが遅れて来たせいでケーキを作る時間が無くなっちゃってさ」
「うん。誰とは言わないけどね」
「「ね〜」」
俺のせいですね。
わかってますよ。わかってますからこっちを見ながら言わないで下さい。
「どれにするかまよったんだけどさ〜これがいちばんオタがたべれそうだったから」
オタ先輩が食べれそうなのじゃなくて、自分が選びに選んだ物を買ってきたんじゃない?
「確かに、これならオタも食べれそうだよね。
平気?」
「まぁ、チーズケーキなら食べれる」
意外とぐっち先輩はオタ先輩の事を考えて買ってきたんだ。
にしても食べれそうとか言ってるけど、ケーキ食べれないのかな?
「よかった〜。
でもさ、あまいものたべれないとかじんせいそんしてるよね」
人生にとってそんなに甘い物は重要か?
別に食べれなくてもそんなに損はしないと思う。
ぐっち先輩が甘党(多分)だからそう思うのかな?
「そろそろ頂きませんか?
折角作ったのに冷めちゃいますよ?」
ナギ先輩はさっき座ってたイスにまた座る。
「たべるたべる〜」
本当に子供っぽいなこの人。
「「じゃあみんな手を合わせて」」
「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」
…とは言っても何から食べようかな。
いっぱいあるから迷う。
とりあえず目の前の料理を食べようかな。
少しだけ自分の皿にとる。
なんかキレイに盛り付けしてあったのが汚くなっちゃって、悪い事したみたい。
まぁ仕方ないか。
一口食べてみると、今まで食べたものの中でこんなに美味しいものは無かった。ってぐらいに美味しかった。
「美味しい…」
口から素直に言葉が零れる。
これはもうプロとしか言いようがない。
もちろんプロの料理なんか食べた事ないけど、そのくらい美味しい。
すごく俺の好みの味だし。
「それたっつんが作ったんですよ。
たっつんは洋食も和食もすごく得意なんです」
「僕とナギは和食しか作れないから羨ましいよ」
へ〜たっつん先輩がこれを。へ〜そうなんだ…
「って、え!?」
今なんて言った?
いや、聞こえてたけど、聞き間違えたとかじゃないよね?
でも、たっつん先輩が?
てっきりつー先輩とナギ先輩が作ってて、たっつん先輩が手伝ってたのかと思ってた。
なんか意外…
それに和食も作れるんだ…料理好きなのかな?
「お前そこで驚いたらいくら意外だからって失礼だろ」
呆れたような顔のオタ先輩に注意される。
「あっ!すいません」
ついつい声に出してしまった…
でも意外だなぁ。
オタ先輩に注意されるのも意外だけど。
ってあれ?今のって注意じゃないよな?
むしろオタ先輩のほうが失礼な事言ってるよ。
「お前のほうが失礼だっての」
こつん。とオタ先輩を小突く。
「わざと言ってるんだから当たり前だろ?」
うわータチ悪っ!
この人学校の外だと口かなり悪いな。
「「でも、僕(私)達もお菓子とかデザートしか作れないし、本当羨ましいな〜」」
…あんたらも何か作れるんかい。
それでまた上手いんだろうな。
料理好き集団め。
「…たいしたもの作れないけどな」
これでたいしたものじゃないとかあんた…
「謙遜しなくてもいいのに」
本当に。
「そんなつもりは…」
たっつん先輩って意外とこんなキャラだったんだ。
ばくばくむしゃむしゃ
俺達が話している間ずっとぐっち先輩は料理を食べてた。
あの〜俺達の分も残して置いて下さいよ〜。
なーんてそんな事俺の立場じゃ言えない…
いつの間にやら料理の量がすごく減っていた。
あんた一人でどんだけ食べてんだよ。
この多食いが!
さて、そんなこんなで美味しい昼食を頂いて満足満足♪
「「じゃあここでプレゼント渡し〜」」
…プレゼント?
あぁ、誕生日プレゼントか。
テキトーに持ってきたやつだけどいいのかな?
「プレゼントってこの歳で貰うもんか?」
「まぁまぁ、そこはきにしないほーこーで」
プレゼントなんだから何歳になっても貰っても不思議じゃない気がするんだけど…
「誕生日おめでとう。
気に入るかわからないけど、良かったら使ってよ」
つー先輩が小さな箱を渡す。
…気に入らないって言ったらどうする気なんだろうこの人。
しかもその箱いつの間に?
ついさっきまでそんなの影も形もなかったのに。
びっくりさせるために隠しといたのかな?
びっくりするどころか質問されちゃったけど。
「私は全然知らないですけど、DSっていうゲームらしいですよ」
いやいや、DSはゲームじゃなくてゲーム機だから。
ナギ先輩、それマジで言ってます?
だとしたら世間知らずもいいとこだって。
今時保育園児だって知ってるって。
発売前にかなりニュースとかCMやってたし。
「DS?」
オタ先輩はナギ先輩の問題発言を無視したのか、はたまたそんなの聞いていなかったのか、がさがさと包装を破り始める。
急いでいるせいでキレイだった包装紙はぐちゃぐちゃになってしまっている。
もうちょっと丁寧に開ければいいのに。
「前、それ欲しいって言ってたから」
そう言いながらオタ先輩が捨てた包装紙を拾う。
たっつん先輩偉いなぁ。
包装紙の中から出てきたのはDSの箱。
誕生日プレゼントにDSとか奮発したもんだ。
一人いくらなんだろう。
「ありがとう。
欲しかったけど買おうかどうしようか迷ってて」
「「いや〜喜んでもらえて何よりだよ」」
これで喜ぶってのがちょっと意外。
てっきり持ってるのかと思ってたのに。
いや、でもつー先輩達のプレゼントが本体で良かった〜
じゃなかったらソフトがプレゼントの俺って軽い嫌がらせしてるようなものだし。
「えっと、俺も一応プレゼント持って来たんで…どうぞ」
「え?」
オタ先輩が驚いたような顔をする。
そこで驚かなくても…
「お前から貰えるとは思ってなかった。
…ありがと」
俺だって今日のパーティーに参加するなんて思ってなかったよ。
入ぶして今日で3日だし。
それなのに参加していいのか?
「中身はソフトですから、先輩達のプレゼントが本体ならちょうどよかったです」
「ありがと。
なんか見越したかのようだな。」
オタ先輩にお礼言われるとは…なんか変な感じ。
それからも俺達は夕方までオタ先輩の家でゲームをしたりしていた。
帰る頃には外が暗くなってた。
こんなに遅くまで遊んだのなんて久しぶりだ。
でも、すごく楽しかった。
先輩達と一緒に過ごす日々もそんなに悪くはないかな。
そんな事を思いながら俺は家路についた。




