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第十三話 「疑惑の追及――同僚たちの探りと、夫婦の防衛戦」


 ――その夜。


「……あとで話そうか、旦那さん」



(来た)


(完全にボス戦前イベント)



 リビング。


 誠は正座。



(怒られる……)



 目の前には――


 小野寺真琴。



「……で?」



(で!?)



「今日の、あれ」



(どれ!?全部!?)



「ご飯の誘い」



「あれは俺悪くないですよね!?」


 即反応。



「うん、そこは分かってる」



(助かった……)



「でも」



 じーっと見てくる。



「ちょっと嬉しそうだったよね?」



(え)



「いやそんなこと――」



「ニヤけてた」



(終わった)



「いやあれはその……」



「ふーん?」



(詰められてる……)



 だが。



 真琴はふっと笑う。



「……まあいいや」



(え)



「ちょっと面白かったし」



(この人余裕あるな……)



「でもね」



 少しだけ真剣な目になる。



「たぶん、気づかれ始めてる」



(やっぱりか)



「杏里沙は勘鋭いし」



「完全に勘で来てましたよ」



「一番怖いタイプ」



「分かります……」



「梓先輩は証拠主義だけど」



「逆に確信したら止まらなさそうですね」



「うん、終わる」



(終わる!?)



「雪音は……」



「純粋でしたね」



「純粋に当ててくる」



(それ一番怖くない?)



 沈黙。



「……どうします?」



 誠が聞く。



「防衛戦」



(来た)



 ♪テレレレッテレー


【新ミッション】

『関係を隠し通せ』

制限時間:不明



「まずルール追加」



「はい」



「職場では接触禁止」



「はい」



「目を合わせすぎない」



「難易度高い……」



「あと」



 少し間を置く。



「……帰ったら、ちゃんと甘えること」



(え)



「ストレス溜まるから」



(合理的すぎる)



「了解です」




 ――翌日。



(来た……)


 再び歯医者。



(今日は完全に警戒されてる)



 ウィーン。



「いらっしゃいませ〜」



 今日は――


 全員いる。



(フルメンバー!?)



「こんにちは〜」


 杏里沙がニヤニヤ。



「こんにちは」



「今日も来ましたね〜」



(来るだろ患者だから!!)



 その横で。



「……」



 水瀬梓がじっと見ている。



(観察されてる……)



 さらに。



「お、おはようございます……!」



 雪音もぺこり。



「おはようございます」



(この子だけ癒し……)



 その時。



「吉田さん、どうぞ」



 真琴。



(よし、作戦通り)



 視線は最小限。


 距離も適切。



(完璧な他人)



 診察室。



「口開けてくださいね〜」



 通常モード。



(よし、いける)



 だが――



「小野寺さん」



 水瀬の声。



「はい」



「最近、楽しそうね」



(来た)



「そうですか?」



 完璧な返し。



「ええ」



 沈黙。



(圧がすごい)



「何かいいことでも?」



(核心来た!!)



「特にないですよ」



 即答。



(強い……)



 だが。



「ふーん」



 水瀬の目は、まだ疑っている。



(これは長期戦だな……)



 その時。



「ねえ吉田さん」



 杏里沙が話しかける。



(今!?)



「はい?」



「小野寺さんってどう思います?」



(最悪の質問きた!!!!)



 思考フル回転。



【選択肢】

①可愛い

②優しい

③普通



(③だろ!!!)



「……優しい方だと思います」



(あれ!?②言った!?)



 沈黙。



「へえ〜」


 ニヤニヤ。



(やらかした!?)



 その瞬間。



 コツン。



(?)



 足元で、軽く蹴られる。



(真琴!?)



 顔は動かせない。


 でも分かる。



【落ち着け】



(分かってるけど!!)



 なんとか耐える。



 数分後。



「はい、終わりです」



 無事(?)終了。



(生きた……)



 だが。



 受付で。



「吉田さん」



 水瀬が呼ぶ。



(ボス来た!!)



「はい」



「また来てくださいね」



「はい」



 一見普通。



 でも――



「……観察対象として」



(怖すぎる!!!!)



 外に出る。



 スマホが震える。



『今日、合格』



(合格きた……)



 続けて。



『帰ったらご褒美ね』



(ご褒美!?)



 誠、しゃがみ込む。



「耐久戦すぎる……」



 その頃。



 歯医者内。



「ねえ絶対なんかあるって」


 杏里沙。



「証拠」


 水瀬。



「ないけど……」



「なら動かない」



「でも気になる〜!」



 その横で。



「……」



 雪音がぽつり。



「……なんか、あったらいいなって思います」



「え?」



「だって……」



 少し照れながら。



「お似合いだから」



 その言葉に。



 一瞬、二人が黙る。



「……それは」



「……否定できないかも」



(外堀が埋まってきてない!?)



 こうして。


 疑惑はさらに深まり――


 二人の“秘密の夫婦関係”は、


 ついに崩壊寸前の領域へと近づいていく。   



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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