第八話 「ゲーム一緒にやる回――協力プレイで縮まる距離」
――その日の夜。
「ねえ誠くん」
「はい」
「ゲーム、やる?」
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(来た)
(神イベント)
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「やります!!!!」
即答。
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「テンション高いね」
「これは外せないイベントなんで」
「じゃあ協力プレイね」
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リビング。
テレビの前に並んで座る二人。
コントローラーをそれぞれ手に持つ。
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「これ、二人でダンジョン攻略するやつ」
「いいですね……!」
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画面にはファンタジーの世界。
剣士と魔法使い。
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「誠くん前衛ね」
「了解です」
「私は後ろからサポート」
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(リアルでもそんな感じだな……)
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ゲームスタート。
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「敵来た!」
「任せてください!」
カチカチカチカチ。
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「ちょ、突っ込みすぎ!」
「大丈夫です!」
「大丈夫じゃない、HP見て!」
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(あ)
(減ってる)
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「回復するからちょっと下がって!」
「はい!」
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ピカッ。
回復エフェクト。
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「助かりました……」
「無茶するタイプだね」
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「突撃型なんで」
「知ってる」
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二人で笑う。
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ゲームは続く。
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「こっちに宝箱!」
「罠あるかもよ?」
「え、マジですか」
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パカッ。
ドーン!!
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「うわあああああああ!!」
「だから言ったのに!」
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(完全にゲーム脳の負けパターン!!)
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それでも楽しい。
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(これ……)
(普通に最高だな)
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時間が経つ。
ステージも終盤。
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「ボス戦だね」
「来ましたね……」
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二人の距離が、自然と近くなる。
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「一気にいくよ」
「はい!」
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戦闘開始。
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「左来てる!」
「対応します!」
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「今スキル!」
「今です!」
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カチカチカチ。
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「よし、あと少し!」
「押し切ります!」
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そして――
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ドンッ!!
⸻
【ボス撃破】
⸻
「やったあああああああ!!」
「クリア!!」
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二人同時に声を上げる。
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「ハイタッチ!」
「はい!」
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パンッ。
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そのまま――
一瞬だけ、手が残る。
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(……)
(あれ)
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離れるタイミングを失う。
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ほんの少しだけ、沈黙。
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「……楽しかったね」
真琴がぽつりと言う。
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「……はい」
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まだ手は触れたまま。
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ゆっくりと。
真琴の指が――
誠の手に重なる。
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(え)
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軽く、握る。
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(握られてる)
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ただの接触じゃない。
ちゃんと“手”として。
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「……協力プレイ成功だね」
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(心臓がうるさい)
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「……ですね」
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そのまま。
自然に。
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指が絡む。
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(……え)
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(これ……)
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恋人繋ぎ。
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しっかりと絡まる指。
離れない距離。
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真琴は少しだけ視線を逸らして――
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「……こういうの、初めてじゃないでしょ?」
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(いやいやいやいや)
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「初めてです」
即答。
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「ほんとに?」
「ほんとです」
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少しだけ沈黙。
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そして。
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「……じゃあ、よかった」
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(何が!?)
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でも、その声は少しだけ優しくて。
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「私も……あんまり慣れてないから」
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(え)
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意外な一言。
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「……そうなんですか」
「うん」
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少しだけ、照れたように笑う。
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「だから、ゆっくりでいいよ」
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(……)
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誠は、そっと握り返す。
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「……はい」
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そのまま。
テレビの画面はタイトルに戻っているのに。
二人は動かなかった。
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ただ、手を繋いだまま。
少しだけ近い距離で。
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静かな時間が流れる。
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こうして。
“ゲーム”という小さな冒険は――
二人の距離を、大きく縮めた。
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