21.ファーレンにて1
■21.ファーレンにて1■
シャドウはようやく見えてきたファーレンの町並みにほっとしていた。
いろいろあったが、一向は無事ファーレンへと無事到着目前である。
ベリーの足が止まる。
「ベリー、どうしたんだい?」
ルルがベリーに問いかける。
「いや、私はダークウルフだ。 当然市民ではない。 よって、この先はそなたたちに迷惑がかかるゆえ、ともに行動するのはまずいだろう。」
「そうなのか?」
シャドウが首をかしげる。
「まあ、ファーレンではあまりよい扱いは受けないでしょうね。」
「それに、どの道、市民ではない私は、法力省のあるエリアには入れん。」
「それは、俺がここまで立て替えてる金を踏み倒して逃げようって魂胆だろ?」
「そ、そんな事は断じてない! 一生かかっても、必ず返すぞ!」
シャドウがベリーをにらむと、ベリーがあわてる。
「じゃあ、逃げないで付いて来い。 つうか、一生とかそんなにかかる訳ねえだろうが。」
しかし、シャドウの足が止まる。
「待て。 そういやルルって市民なのか?」
シャドウがルルを見つめる。
「そんなわけないだろう。 僕はエルフだ。 エルフの市民なぞ、少なくとも僕はきいたことがない。」
「んじゃ、どうやって法力省に行くつもりしてたんだ?」
「これさ。」
ルルは封書を差し出し、シャドウはそれに目を通す。
「招待状か。」
「そう、シャルにもらったやつ。 それがあれば、市民でなくとも入れるってこと。 ちなみに同行者も大丈夫。」
ルルがベリーに笑顔を見せる。
「じゃあ、ベリーさんも大丈夫じゃないですか。 って、その前にシャドウさんもだめなんじゃ?」
シャドウは勝ち誇ったかのように、ガビー達に首から提げた市民証を見せる。
「これはよくできた偽物だな。」
ルルは受け取った市民証をまじまじと見つめると、ガビーに渡す。
「ええ、これなら絶対だまされますね。」
「なんと、これは偽物なのか。」
「お前ら、いい加減にしろよ。 それ本物だっていうの。」
シャドウはベリーから市民証をひったくる。
「え? シャドウさんて、流れ者ですよね? それにあれだし。 どうやって手にいれたんですか?」
「ガビー法師、あんた、人をあれとか……。 ちゃんと正規の方法でもらったの。 詳細はいえないけど。」
「つまり、正規の方法で発行されたものを奪って、自分のものとして偽造したってことかい?」
ルルがシャドウに喧嘩を売ってくる。
「さっさといこうぜ。」
しかし、シャドウはさすがにルルをスルーした。
ファーレン。 モルト国の首都にして、最大の都市。
街道沿いには、非市民たちの町が並び、その奥には門が構えられている。 この門こそ、市民エリアと非市民エリアの境界である。また、市民エリアをさらに進むと、数多くの衛兵に守られた豪華な門が出現する。 その先こそが、貴族エリア、そしてモルト国の王の住む、王宮である。
「ラモナも凄えけど、ファーレンはもっと凄いな。」
シャドウがおのぼりさんよろしく、周りをきょろきょろしている。
「シャドウさん、恥ずかしいから、あまりきょろきょろしないでもらえますか。 ベリーさんだって、きょろきょろしていないのに。」
ちっ、とシャドウは舌打ちをしてベリーを見ると、ベリーは完全に固まっており、ロボットのような動きをしていた。
「だめだな、これは。 ちょっと見物してから行こうかと思ったけど、まっすぐ法力省に向かうか。」
シャドウ達は、市民エリアの門へと向かう。
市民エリアの門には衛兵がおり、そこを通る人達はそれぞれ市民証を衛兵に見せて通っているようだ。
「すみません。」
シャドウが衛兵に声をかける。
「なんだ。」
「通りたいんですけど。」
シャドウが首から提げた市民証を見せる。 ガビーもそれについで市民証を見せる。
「ああ、通っていいぞ。 後ろの二人は持ってるのか?」
衛兵が鋭くルルとベリーに目を配る。
「僕達はこれ。」
ルルが衛兵に招待状を見せる。
「法力省の招待状? ちょっと待て。」
衛兵はそれを持って詰め所に向かう。 しばらくすると、衛兵が戻ってくる。
「本物のようだな。 これをもっていけ。」
衛兵はルルとベリーに木の札を渡す。 それはシャドウやガビーのもつ市民証を木にしたようなものだった。
「これは?」
「いちいち招待状をみせるのも、物騒だしお互い面倒だからな。 次からはそれを見せればいい。 その代わり期限があるから注意しろ。 延長するときには、また招待状をここに持ってくればいい。」
衛兵が門の通行人チェックに戻ろうとする。
「あの、ちょっといいですか?」
シャドウが話しかけると、衛兵はめんどくさそうにシャドウを見る。
「この二人って、所謂モドキってやつなんですけど、あんまり嫌悪感ってないですか?」
衛兵はルルとベリーをちらっと見る。
「我ら衛兵は、治安を守るのが使命。 その者達が治安を乱さぬ限りは、特にどうこうすることはない。 とはいえ、お前の心配もわからんではないがな。」
衛兵がベリーを見る。
「お前、腕には自信がありそうだが、揉め事に巻き込まれたら、自分で解決しようなどとは思わずに、我ら衛兵に申すがよい。」
衛兵がベリーにニッコリ笑う。
「我ら衛兵は、正しきものの味方であることをこの剣に誓っておる。 エルフだろうが、ハーフのダークエルフだろうが、正しきものであれば関係ない。」
そう言って、腰の剣をポンポン叩く。
「ところで法力省にいくのであろう。 道はわかるのか?」
「ああ、それならガビー法師が。」
シャドウがガビーを見ると、ガビーがふるふると首を振る。
「ガビー法師、あんたファーレンにいたんでしょうが。」
「いましたけど、法力省なんていったこともないですよ。」
衛兵ががはははと笑い、シャドウ達に道を教えてくれる。 シャドウ達は衛兵に礼をいうと、法力省へと向かった。




