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召喚ゲーマー  作者: tamazo
第二章
19/26

19.暗殺者1

■19.暗殺者1■


 シャドウ達は宿で寝転んでいた。


「いや、やっぱ一人部屋最強だな。」


 シャドウはベットでごろごろと寝転んでいる。 ルルは頑なに拒んでいたが。


「でさ、そこの人。 そろそろ出てきたら?」


 フードをかぶった影が、すっと窓から入ってくる。 シャドウにしてみれば、その存在はマップで把握済みだった。


「何の用?」


 シャドウがおどけて見せる。 シャドウのレベルは20。 公爵領での一件依頼、シャドウのレベルは順調に上がっている。 しかも全身フル装備である。


「ほう、襲われることがわかっていたのか。 でも安心しろ、苦しまずに殺してやる。」


「ん? いや、殺されるのに安心しろとかおかしいだろ。」


 シャドウはゆっくりとベットから起き上がると、手元の剣を抜く。

 しかし、シャドウが剣を構えても、暗殺者は焦る様子すら見せない。


「ふっ、貴様は素人か。 その剣をこの部屋の中で振り回せると思うか?」


 暗殺者は両手にもったショートソードを構える。


「え?」


 シャドウの目が釘付けになる。


「この剣に怖気づいたか。」


「いや、お前女なの?」


 鼻までマスクで覆っているため、顔はわからないが、暗殺者の声は女性のもので、そのマントの隙間から見える胸も、革鎧を着けていてもはっきり判るふくらみが見える。


「女だったら何だ?」


「いや、ちょっと気になっただけだ。」


 暗殺者が動く。

 シャドウは双剣を身のこなしだけであっさりかわす。


「ちょっとはやるようだな。」


 暗殺者は、あちこち穴が開きくたびれたマントを脱ぎ去る。


「ダークエルフかよ。」


 シャドウの目の前には、青い髪を一つにまとめたダークエルフがいた。


「そうだ。 それがどうかしたか。」


「いや、ちょっと驚いただけだ。 ダークエルフは初めて会ったしな。」


 シャドウは、剣の動きを見るように見せかけて、その胸をチラチラと見ていた。 どうやら賢者モードがゆるくなってきたらしい。


ダークエルフが踏み込む。 マントという抵抗がなくなったその動きは、シャドウを追い込む。


「くそっ。」


 ダークエルフが言うように、シャドウの剣は部屋の中で使うには長すぎた。 片方を剣で弾き、もう一方からの攻撃をみのこなしでかわすものの、シャドウは一方的に防戦に追い込まれる。 反撃しようとすると、その剣の長さがあだになっている。

 盾を取ろうと目で探すが、あいにく盾はダークエルフの向こう側に立てかけてあった。


「往生際が悪いな。」


 ダークエルフが、一瞬離れる。 その隙をついて、シャドウは突きを放った。

 しかし、その突きはダークエルフにかわされ、首筋を掠めるだけだった。


「ほう、まだそれだけの余力があるか。」


 シャドウの突きを見たダークエルフは、距離をとるのは危険と判断し、さらに間合いをつめる。

 さらなる双剣の連撃がシャドウを襲う。 しかし、シャドウは防御に徹してそれをひたすら耐え続けた。


 その時、均衡が崩れた。

 屈みこんで攻撃をかわしたシャドウの目の前で、ダークエルフの胸が革鎧ごと揺れる。

 思わずシャドウはそれを凝視してしまい、もう一方の剣がシャドウの頬を掠めた。


「あぶね。」


 思わすシャドウが後ろに飛び、体制を整える。 しかし、目が離せない。 その胸から……。


「き、貴様……。」


 ダークエルフはシャドウの視線に気がつき、片手で胸を隠す。

 しかし、ダークエルフの顔には、羞恥と怒りが浮かび上がっていた。


 ダークエルフがシャドウに攻撃を仕掛けるが、片腕で胸を隠すような体制は、シャドウからすれば隙だらけだった。

 シャドウの手がダークエルフの腹へと伸び、そのままバッシュを叩き込む。


 ダークエルフは、バッシュが直撃した腹を抑えてうずくまる。 シャドウはその隙を逃さない。 ダークエルフから剣を奪うと、ストレージから出した縄でダークエルフを縛り上げる。


 ようやくほっとしたところで、ドアがノックされる。


「シャドウさん、ちょっとうるさいんですけど。」


 シャドウが返事をする前に、ガビーとルルが部屋へと入ってきた。


「ちょっと、何女の人連れ込んでるんですか。 ひょっとして、それが一人部屋の目的? プライベートとかってそれのこと?!」


「うん、君に女性を縛り上げる性癖があったとはね。 ちょっと僕も驚いたよ。」


 ガビーは立ちすくみ、ルルはにやにやしていた。


「いや、連れ込んでねーから。 こいつが勝手に入ってきただけだから。 あと、俺なんでか知らんけど、命狙われてたから。 大低、SMかっつーの。 そんな趣味ねえよ。」


 シャドウがまくし立てる。




「で、誰に頼まれたの?」


 シャドウがダークエルフの首筋に剣を当てて聞く。 しかし、ダークエルフは何も答えない。


「まあ、想定通りっちゃ想定通りだな。」


「君さ、僕を助けてくれた人だよね。」


 ルルがダークエルフに尋ねる。


「ああ、そういえばそんなこともあったな。」


 ダークエルフが、ルルを見あげる。


「え? そうなの?」


 ルルがシャドウに頷く。 絡まれたルルを助けたのは、目の前のダークエルフだったようだ。


「なんでまた。 お前暗殺者だろ?」


「暗殺者が助けてはいかんのか?」


 ダークエルフがシャドウを睨みつける。


「いや、そんな事はないけどさ。 つうか、そのマスク取れよ。」


 シャドウがダークエルフに手を伸ばす。


「き、貴様、触るな!」


 ダークエルフの強い拒絶に、思わすシャドウの手が止まる。


「あ、わりい。 ガビー法師、それとってくんない?」


 ガビーが手を伸ばすと、ダークエルフはそれを素直に受け入れる。 しかし、マスクを取られると、ダークエルフはうつむいたままだ。


「この方、どうされるおつもりですか?」


 ガビーがマスクにしていた布を綺麗にたたみながら、シャドウに尋ねる。


「どうすっかね?」


 シャドウが腕組みして考える。 と。


「さては貴様、私をこのように縛り上げて、抵抗できない私の純潔を奪うつもりだろう。 先程の目つき、きっとそう考えているに違いない。 くそ、そのような辱めをうけるぐらいなら、さっさと殺せ!」


 突然顔をあげ、叫んだダークエルフは涙ぐんでいた。


「なんだそれ?」


 一方、シャドウは、ぽかんとしている。


「あのさ、シャドウさ。 一応この人は僕を助けてくれたから、純潔どうこうはともかく、殺すのはちょっと止めてほしいかな。」


「いや、別に殺すつもりないし、そもそも純潔どうこうとかって、まったく考えてなかったし、ガビー法師はその目を止めてほしいんだけど。」


 ガビーはシャドウを睨んでいた。

 シャドウは思わずガビーから目を逸らすと、ダークエルフの髪に埃が着いているのに気がつき、それを取ってやろうと手を伸ばす。


「さ、触るな。 そのつもりが無いとかいっておいて、安心させて襲うつもりか。 ひ、卑劣な。 くっ、そのような辱めをうけるぐらいなら、さっさと殺せ。」


 ダークエルフは、うつむくとシクシクと泣き出していた。


「いや、髪に埃がついて……。 ほんとだって。 ガビー法師、代わりにとってやってよ。」


 シャドウが髪の埃を指差すと、ガビーはシャドウを睨みながらも、その埃を取る。


「ねえ、ルルさん。 そこで一人でにやにやしてないで、なんとか言ってよ。 この人、ルルさんを助けてくれた人でしょ?」


 シャドウがルルを睨みつける。


「そうだね。 ここに置いておくと、この獣が何するか分からないし、一旦僕らの部屋に移そうか。」


「やはり、貴様は獣なのか。 先程の目つきといい、そうではないかと思っていたが、やはりそうか。 くっ。」


「シャ、シャドウさんって、獣だったんですか……。」


「さっさとそいつ、連れってってくれませんかね? つうか、お前ら全員とっとと出てけや!」


 シャドウは頭を抱えていた。


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