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翔双する二人

知らなかった、意外な顔

「そろそろ奴が来る、人里はもう終わりだよ」

クリンガンは振り返らずに言って、空に飛んでいく。慧音たちはただ立ち尽くすしかなかった、身体が動かない。それがさらなる絶望を生んだ。いかなる敵がこようと私達は動けない、”奴”は人里を完全に壊す。それだけは分かっていた。絶望感が心に染み込んでくる。スポンジに染み込む水のように。



「弱りましたね〜いくら私でもこの化物2人と闘うことになるなんてー」

小悪魔はヘラヘラ笑いながら言う。目の前には永琳と魔理沙が立ち塞がっている。魔理沙のダメージもあまりなさそう。小悪魔はため息をつく。横でカタカタ震えている輝夜は戦力に入れていない。

「そうですね〜。時間もなさそうですし、ちょっとトばしていきましょう」

小悪魔は魔理沙に微笑んだ、永琳は構わず矢を放った。小悪魔はそれを顔を動かしてかわした。目玉が妖しく蠢めく。



「貴方、また花畑を荒らしに来たの?」

幽香は前の男に言った。前の男は何も答えない。最初に攻めてきたときにポージングを決めていた訳のわからない男。前は呆気なく吹き飛ばした。さあ、今回は…幽香は男に飛びかかる。男は何もしない。男の名はルール=エド。



レイは眼を開けた。目の前にはアリスとパチュリーがいた。そして名前は知らないが一人の少女が居た。その子が治してくれたのだろう、手に医療器具が握られている。レイは少しだけ顔を起こした。今伏しているところは木陰のような所である。

「レイ、目が覚めたのね…」

アリスは眼に涙を浮かべている。レイは喋ろうとするが何も口から出ない。さすがに喋れないか…身体を起こす、腹部は縫合で縫い合わせられていた。完璧な縫合。素人でも分かる、一切血が漏れない。

「お目覚め?足りない部分は”私”で供給したけど」

少女が言った、声が出ない。一応頷く、パチュリーは周りを不安そうに見ていた。するとローブを着た少女が突然現れ、パチュリーの肩を叩いて頷く。パチュリーはそれを見て座り込んだ。一瞬怖そうな表情を浮かべた。

「貴方には死んでもらうと困るの。あいつらの目的を教えて欲しいの。そして…」

レイは気づいた。ハイリゲンガイストフォームが解除されていた。これを疑問に思ったのは、一つ。知らなかった、ハイリゲンガイストフォームはずっと解除できないものと思っていた。実際、そう教えられた。だが今解除されている。

「貴方達が使うハイリゲンガイストフォームとは何なの?」

少女はレイに尋ねた。レイは話し始めた。真実を…



「うん、弱い弱い」

小悪魔は言う、魔理沙は地面に倒れ込んでいる。永琳は息切れをしている。ただの弾幕勝負だが相手が強すぎる、弾の速度が速くなったり遅くなったりで緩急が激しく、弾幕の大きさが大きい。一瞬で負けた。足をやられた、永琳は死なないが闘いの続行は難しいだろう。魔理沙も一瞬で沈められた。蓬莱人の復活のメカニズムを知っているのか足や手など戦闘で酷使する所しか狙ってこなかった。悔しいが正解だ、最悪行おうと思った”復活”を封じた。

「じゃあね、あともう一つ。霧雨魔理沙、いい加減認めなよ、お前は弱い。無能、何も救えない、現に私に勝てない」

小悪魔は言い残して飛び去っていった。魔理沙は地面に伏したままである。精神攻撃のつもりだろうか。永琳は座り込んだ。魔理沙は動かない。永琳は揺さぶってみる。魔理沙はゆっくりと立ち上がった。

「大丈夫だぜ」

魔理沙はそう言った。だが口から血を吐いていた、もろに食らったのだ当然だろう。永琳は取り敢えず応急処置を施しておいた。精神攻撃によるダメージは無さそうだった。そして輝夜に駆け寄る。輝夜は蹴飛ばされたときのままであった。永琳は悲しげな表情を浮かべる。小悪魔は輝夜の身体を貪り喰らって輝夜の産道から出てきた。そして尚輝夜を喰べ続けた。どの攻撃も何故か弾かれた、輝夜はショックで抵抗すら出来ていなかった。輝夜の表情は凍りついたまま。



「びゅーん、むっ!」

小悪魔は突然空中で止まった。目の前の女二人が小悪魔の進路を妨害したからだ。その女二人は博麗霊夢と東風谷早苗。ああ、鬱陶しい鬱陶しい。霊夢は小悪魔を鋭く見据えていた。早苗も同様に小悪魔を見ていた。だがまだ小悪魔が裏切らないと信じた眼差し。

「すいませーん退いてもらえますー?(うわー巫女コンビかー怠いなー)」

「嫌よ、あの派手な弾幕勝負を見てないとでも?」

「えっ?何ですかそれ?(まあ、初手とぼけるの安定ですわな。ほほほ)」

「はいはい、じゃあ口の周りの血と髪あといろいろを説明してみなさいよ」

「小悪魔さん…あなた…」

霊夢は呆れた様子を見せ、早苗は怒った様子を見せる。小悪魔は背中から腕を生やした。左眼が輝夜のような美しい黒い眼球になっていた。それは二人に裏切ったという意思表示。小悪魔はニタリと笑い念を押す。

「霊夢さん、早苗さん。確かに私は裏切り者です。でも…でも…!」

小悪魔がそう言った瞬間、早苗が下に吹き飛んだ。霊夢も飛んだが直ぐに戻る。「空を飛ぶ程度の能力…」

小悪魔が呟く、下への吹き飛びを能力で相殺したのだろう。霊夢は札の準備をする、早苗はすぐに戻ってきた。地面にぶち当たったらしく服に土がついていた。小悪魔は二人と対照的にヘラヘラ笑っていた。

「お前…何した」

「話を聞いてくださいって〜」

それが聞こえる前に早苗は小悪魔に攻撃を仕掛けた。札による攻撃。常識に囚われない、さすがだ、敵の演説中に攻撃を仕掛けてはいけないなどという規律はない。前例が少ないだけである。札が小悪魔を捉える。小悪魔は気づいたのか話を止めた。小悪魔は札を躱した。そして距離を置く。早苗は追撃する、今回はお祓い棒も使っていた。霊夢も小悪魔を攻撃する。小悪魔は二人を双眸で捉える。生やした両手が弾幕を放つ、早苗と霊夢は器用に避ける。小悪魔の顔から笑みが消えた。

「おぉ〜驚いた〜けどッ!残念ッ!もうそれ使えないッ!」

小悪魔がそう言った瞬間、早苗の左腕がありえない方向に曲がる。霊夢にも異変は襲いかかる。腹部に強い衝撃がキた。ボディーブローのようなもの。攻撃が止まる。小悪魔が話し始める。早苗は目の前の真実を見て声にならない呻き声を出す。霊夢は汚い声を漏らした。小悪魔はそれを見て口元を歪めた。顔はまるで残忍な蛇のようである。霊夢と早苗はそんな表情(もの)見る程の力がもう残っていない。

「種明かしを少ししましょう。私は蓬莱山輝夜の能力を使うことができます、先程の攻撃もそれの応用といったところです」

小悪魔はそう言った。永遠と須臾を操る能力、それは二人を絶望させるには十分なものである。霊夢と早苗の表情には陰りが見えていた。二人とも意思疎通した訳ではないが二人とも対抗策が思いつかなかった。

「お二人さん、ゆっくりしていってくださいね?」

小悪魔が自嘲げに笑った。太陽が雲に隠れた、暗さが増していく。

僕はデレマスでは凛ちゃん推しです

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