厭清
プラスは時にminusへ
「力欲しくないですか?」
小悪魔は地面に向かって言った。周りは幻想郷ではなく現代である。ここは今、地球。またの名をEarth.地面には悲しき生物が居る。それは小悪魔を見上げる、小悪魔は傘を差していて、しかも左手に林檎を持っている。新しい餌、下の生物は咄嗟に察し、小悪魔に駆け寄る小悪魔は林檎を下に下ろした。生物はそれをむしゃむしゃと食らう。必死である。だが雨によって生物は溶けていっている。林檎は瞬く間に無くなる。小悪魔はかなしく思い傘を生物にさしてあげる。生物は小悪魔の方を見る。小悪魔はそれに気づいているのかいないのか前を見て両腕を伸ばす、そのポーズは天秤を真似たものだ。
「世界は残酷、強者が弱者を淘汰する。そのサイクルの繰り返し、でもそれじゃつまらない。”私達”は世界を変えたいの、完全な身分制度の撤廃。その為には強者に思い知らせ」
小悪魔は言葉を不意に止める、不良に肩を無理やり掴まれたからだ。不良は5人ほどいて2人は女だ、女にかっこいいところを見せたいのか何かは分からないが小悪魔に突っかかる。
「おいおねーさん、こんな所で演説しちゃ駄目だろぅ〜俺らがお仕置きしてやるからちょっと付き合ってよ〜」
小悪魔は首を振った、不良は超調子に乗り、小悪魔の背中を蹴る、小悪魔は飛んでいく。女はけたけた笑って写真を撮る。不良は小悪魔の羽を掴んで何処かへ連れて行く。小悪魔は知らない事実なのだがここに警察官は来ない。なぜなら今は真夜中だからだ。真夜中は警察官はサボり始める、面倒くさいからだ。見廻りなど、してもしなくても犯罪は起こるそれが総意だった。不良は小悪魔を男子トイレの中に入れた。小悪魔はへなへなと座り込む。表情は男子トイレの闇の淵に隠れて見えない、不良は小悪魔の肩を掴む。悲鳴が一つ響いた。
「うわぁ…ひどいなこりゃ…」
警察官は言った、もう一人の警察官は吐き気を催したらしく急いで出て行った。刑事を20年近くやったがこんな残虐な現場は初めてだ。刑事は思った、見た目は17歳か…にしても残酷。言っちゃ悪いがこんな頭悪そうな餓鬼にこんな真似できんのか?刑事は自問する。
「ぽ」
天狗が一人情け無い喃語を話す。既に頭は胴体と別れを告げていた。そして倒れ込み動かなくなった。周りの天狗も同じように死んでいく。形勢は一瞬で変わってしまった。突然周りの天狗の首が飛んだ、私も例外ではない。こちらは劣勢、恐らく突破されるだろう。天狗の視界が閉じていく。
「依姫、この子の名は依姫。このまま穢れずに生き、そして…」
月夜見は言葉を止める、幼き依姫にはそれが何故か解らない。産まれたばかりだからでもあるが、月夜見の事を何一つ知らない。今の印象はただ一つ怖いおっさんである。父が月夜見に頭を深々と下げて後ろに下がる。周りからは拍手喝采が起こる。依姫は止まった言葉が気がかりであった。
「月夜見様…結局聞けなかった…あの時貴方は何を…」
依姫が岩の陰で呟く。右手は無くなっている。ウィズダムは異常に強い。月夜見様を一瞬で封じ込め、私の腕を引き千切った。依姫は残った腕を触った、震えている。恐怖…久しい感情だった、最後の恐怖は確か地球最強生物と闘った時であろうか。依姫は刀を片手で握る。いつの間にか震えは止まっていた。
「依姫ちゃんみーっけ!」
ウィズダムの声が響く、依姫は急いで立ち上がる、前にウィズダムが居た。ウィズダムは一瞬で依姫に駆け寄る、依姫はウィズダムを斬る。ウィズダムは躱して刀を腕ごと奪い去る。依姫はその瞬間心で負けた。
「天狗も制圧かな?」
小悪魔が言う、その瞬間目の前からレーザーが飛んでくる、小悪魔は魔法陣を出して防ぐ。次の瞬間レーザーが別れる、後ろの仲間がどんどん貫かれ死んでいく。ばたりばたりと倒れた、小悪魔の目は点になっていた。目の前には八雲藍が居た、橙も。小悪魔はチェーンソーを持つ。顔は驚きの表情である。
「紅魔の悪魔、風紀を乱す者、死ね。緋妊野郎」
「なんでこうなるんやー!ふざけんのも大概にせーや!お前ら!起きろ!」
小悪魔は叫ぶ、だが目は覚めない。小悪魔は叫びながら泣く。小悪魔はチェーンソーを持って斬りかかる、エンジンが軋む。だが橙は小悪魔が斬る前にのチェーンソーを思い切り蹴り上げる、チェーンソーが上空に舞い上がる、藍はレーザーを放つ。チェーンソーは粉々になる。
「あぁ〜チェーンソーさんがぁ〜よっし!こあさんスーパーダッシュ!」
言った瞬間小悪魔が後ろを向いて走り出す。
「!待て!」
藍は強く言って、小悪魔を追う。橙も続く、小悪魔は構わず逃げる。小悪魔は走る、走り方がキモい。おそらくあまり走ったことがないのだろう、初めは速かったが速度がどんどん落ちる。藍達は直ぐに距離を詰めた。小悪魔も余程死にたくないのか全力で走って逃げる。おかしい、紅魔館の悪魔が裏切ったのは知っている。上空で敵と旋回していた所を偶然見たからだ。だが紅魔館から逃げ出せる位なら逃げる必要は…。藍は止まる。橙も止まった、一度情報の整理が必要、おそらくこれは罠。藍は上空に上がる。橙は依然走って追いかける、まあいいだろう藍はそう思い、弾幕を放つ。橙は速度を上げる。小悪魔はまだキモい走り方をしている、両手で頭を抑えて走る。汚い蟲の様にしか見えなかった。
「嫌だ嫌だ、あ、あれぇ?何で二手に別れてんの?」
小悪魔は言う、藍達は構わず攻撃する。小悪魔は走り続ける。弾幕は当たりそうで当たらない、故意によるものかどうかは分からない。藍が放った弾幕が小悪魔の脚に直撃した。小悪魔は無様に転ける。橙が追撃を加える、その瞬間小悪魔の魔力、妖力、瘴気が跳ね上がる、未熟な橙は気づいてない。
「橙!離れて!」
藍が言うより早く、橙が吹っ飛ばされる。巨大な盾のようなものに吹き飛ばされていた、盾は真っ白である。
「もうこあさんおこだよ!こんなに優しいこあさん怒らせ…んッ?」
小悪魔が言葉を止める、小悪魔に橙の弾幕が直撃した。弾幕は腹部を抉り取る、そこから血が流れ堕ちる。飛ばされた瞬間ステップで側面に回ったのだろう。小悪魔は血を吐く、そして顔を下にだらんと垂らす。藍は下に降りる、そしてレーザーを放つ。小悪魔はそれを躱す、キモい躱し方がぬるぬるしている。小悪魔は顔を上げる。
「藍、止めなさい」
小悪魔の顔が愛する主君、八雲紫になっている。顔だけでなく声、表情、容姿全てが紫になっている。藍は構わず小悪魔を思い切り殴った。小悪魔の顔に亀裂が入る。小悪魔は後転をして距離をとる、手にはチェーンソーが握られている。容姿はいつの間にか小悪魔の服に戻っていた。結界野郎なにしてやがる、ちょっとやべーぞ、小悪魔は思う。
「誰か…助けて…お姉様…月夜見様…霊夢…」
依姫は歩く、あてもなく月を彷徨う。当たり前だが助けは来ない。声は出ていない、脳が無意識に気を利かせ声を出しているかのように錯覚させる。依姫はただ歩き彷徨い続ける。なぜ彷徨うか、それは当たり前なぜなら
彼女の眼は 潰されたのだから、声帯も穿り出された。彼女には脚しか残っていなかった。それでも彼女は生きている、日頃の修行の賜物である。ああ、なんて素晴らしいのだ、依きたい。依姫の心は死んだ。
テスト期間やで、うん




