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卵の孵化

執着心?いや違います。愛です。

少女は出でる、小悪魔は自動小銃を構えて発砲する。パチュリーの本の魔法もそれを援護する。少女は頭を抑えて逃げる。先程とはまるで別人である、小動物のようである。小悪魔は追いかける。パチュリーは本を閉じ急いで追いかける。小悪魔が勝てる相手じゃない、パチュリーは分かっていた。一瞬で追いついた、

小悪魔は銃を発砲する、だが弾が当たらない。少女が恐らく何かしているのだろう。パチュリーは炎を放つ、だがそれも少女に当たらない。少女は本を読んでいた、その本は地図帳である。パチュリーは小悪魔に攻撃を止めさせる、そして手を伸ばす。巨大な結界が手を遮る。パチュリーは少女を見下す、少女は気にせずに地図帳を見ていた。小悪魔は銃を少女に向けていた。

「いいわよ、小悪魔戻りなさい。万が一の時はレミィを呼んできて」

パチュリーはそう言い、机に向かった。照明が古くなっていて、その辺りは暗かった。



「う…うぇっ…」

こいしは血を吐く、足元にはさとりの死体が転がっている。眼は見開かれている、眼は助けてと叫んでいた。両腕と右足が斬り落とされ、背中に大量の刺し傷、切り傷がある。一二三はとてつもなく強かった、さながら修羅のようである。2人で闘った、私は無意識に入り込み、攻撃をした。だが男は何故か全て防ぐ、そしてさとりが攻撃をする。だが男はさとりの攻撃を全て避けた。刀を使ったのは攻撃とカウンターのときのみであった。闘い始めて約5分、さとりが使えなくなった。右足が落とされた、そのとき既にさとりの左腕は斬り落とされていた。こいしは無意識に入り込み、攻撃をする。だがカウンターを返される。カウンターは疾すぎてほぼ見えずに当たる、それがなんども続いた。私達姉妹は何度も闘った、時には弱い者達とも。そいつらの気持ちがよく分かった。さながら弱肉強食、ライオンがシマウマを喰う。こいしはもう闘えない、出血が酷い。腕も折られている。一二三が空を見て言う。空は曇りであるが、雲の切れ目から日光が出る。それは無慈悲にこいしに降りかかる。

「ラクトマンさんが死んだか…あの人殺すなんて怖すぎでしょ」

一二三はそう言い、刀をこいしに向けた、こいしは顔を上げる、顔には何も映らない、一二三はこいしの首を斬り落とした。こいしの首はゴロゴロと転がり石に当たって止まった。一二三はそれを見つめて去っていった。太陽はまた雲に隠れてしまった。



「貴女はずっと寂しかったのよね」

パチュリーが言う。アリスの棘がパチュリーの身体に傷を入れる、そこから血が流れる。血は鮮やかな赤色だ。アリスはうずくまって嫌だ嫌だと言っている、察することができたと思うが、彼女は圧倒的な強さを誇るが魔力がコントロールができない。天気も悪くアリスに黒い影が纏わり付いていく。パチュリーはアリスに駆け寄る、アリスはまだ蹲る。震えの勢いは止まらない。



「そんなにそれが面白いのかしら」

パチュリーが言う。アリスはまだ地図帳を貪り読んでいる、開いているところは中国のページ、よく見ると横のページに”中国の人形”というものが記載されている。視界もそれを捉えていた、人形が好きなのだろう。あの場にもたくさんの人形がいた、それらは全て床に転がっている。だがアリスの足元以外の所に散乱していた。アリスの足元には上海人形が転がっている。上海人形がお気に入りの様子だ、上海人形は同じ笑顔を向けてパチュリーを見ていた、まあ人形だから表情は変わらないのだが。アリスは地図帳を読み終わる、そして次の本を手に取る。前まで読んでいた本は綺麗に本棚に戻した。豪邸のがさつさが嘘のようである。そして取った本は魔法の本である、初歩的な魔法の本。確か人形を操る魔法が記載されていたはず、パチュリーがそう思っていると、向こうのドアが勢いよく開きレミリアが入ってきた、顔には怒りが浮かんでいた。見た目は少女であるが、顔はオトナの表情。怒り、匿うことえの困惑が浮かぶ。ドアは勢いよく開いた後ゆっくりと閉まる。小悪魔は困惑した表情を見せている、大方小悪魔の制止を振り切ったのだろう。当然だ、愛する妹をボロボロにされたのだ、フランはあの事がトラウマになり、外に一切出ようとせず、食事も殆どとらない。表情もとても暗いものであった。だがだんだんと容態は良くなってきていた。またいつか笑える日がくることを願う。

「その女をどうする気」

レミリアがパチュリーに言う、眼光は友を見る眼などではなく、外敵を見る眼であった。パチュリーの答えは決まっている、あの眼は私と同じ、何かに期待しているがそれが期待を叶えることがないということを悟っている眼。私はその眼をもう見たくない、その眼を続ければ私と同じ諦めの悪いヒトになってしまう。そんなのはこの子の為にならない、恐らく外の世界を見た事がないのだろう。ならば見せてあげよう、そしてまたあの時みたいなことを………いや、それは、その…いや…ね?パチュリーはあの時もう堕ちていた。

「私がこの子を育てる、正直紅魔館の存在が目立ち過ぎると厄介でしょ。この子がもし暴れ出したら誰が止めるの?私達が束になってもこの子には勝てない」

パチュリーは言った、レミリアは少し考え込む。そして「食事は自分で何とかしなさい」と言い残して去っていった。パチュリーは少女を見る、人形を魔法の糸で動かしていた。人形は無機質に動く、アリスはそれでいいのか笑っていた。パチュリーはその場に座って本を読み始めた。その本はファンタジー小説、洗練された文字でふわふわとした表現だが、最後はバッドエンドである。それは何時もより悲しく感じた。


Some hours later


「貴女食事は大丈夫なの?」

パチュリーは尋ねた、少女の腹の虫は先程からずっと鳴り響いている。だが少女は動かず、ずっと本を読んでいる。外には夜の帳が下りており、真っ暗である。少女の肩が震え始める。もう飢餓が限界になっているだろう、頁をめくる手が止まり、少女は倒れこんだ。

「分かっていたの、貴女がシルビアじゃないこと、でもそうでもしないと私…一人に…」

少女(アリス)は泣き出す、パチュリーは机の上のケーキを渡した。正確には渡したのではなく下に置いたのだが。アリスはそれを引っ手繰り、食べ始めた。食べ方は異常に汚かった、フォークを使わずに手を用いて貪り喰らう。手にクリームがへばりつく、アリスはそれを舐めとった。下側には零れ落ちたクリームがある。アリスはしゃがんでそれも舐めとった。野獣のようだ、パチュリーは少し不快になる。

「食器の使い方も学んだほうがいいわね、あとは捨食の魔法ね」

パチュリーは言った、アリスは声が聞こえ上を見た。眼には微かだが光が見える。とても細くすぐに見失いそう。電燈の灯りが少し暗くなり、影が濃くなる。パチュリーの影がアリスを暗くしていた。それは黒洞々たる色であった。

過去篇突入ですなぁ…最近肩が凝ります。

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