過誤め駕籠め
二者、邂逅す
ラクトマンは歯を鳴らした、カチンと綺麗な音が響き渡った。その瞬間前の煙が爆発した。アリスが吹き飛ばされた。アリスはなす術も無く吹き飛ばされた。ラクトマンは飛んだアリスを刀で突き刺した。そして爆発を起こした。アリスは地面に叩きつけられた。いつもの方法である。まず煙で外敵の感覚を潰す。そして酸素を煙で侵食し、中で窒息させ殺す。万が一死ななかった場合、煙を起爆させ殺す。仮にそれでも殺せない場合肺の中に忍ばせておいた煙で赤血球を潰し、酸素の供給を止め、酸欠を起こして潰す。この作戦で勝てなかった敵は居ない。ラクトマンはアリスに駆け寄る。アリスは動かない、ラクトマンはアリスを見下す。首に巨大な裂け目が入っていた。そこからは赤黒い意志が見え隠れしていた。痛い、痛くない、死にたくない、消えたくない、会いたい等だ。その眼差しはアリスの顔に注がれる。太陽がアリスを照らす。アリスは口を開く。
「嫌だ…死にたくない…」
アリスは言った、顔には涙が浮かんでいた。眼鏡にはひびが入っていた。口は唯の傷に戻っていた。そこから涙の雫が出てきていた。ラクトマンは死神、私は罪人。本で読んだ、罪人は処刑される、判決を覆すことは叶わない。ラクトマンはナイフを出し、アリスの左眼に容赦無くナイフを捩じ込んでいく。アリスは劈く悲鳴を上げる。ラクトマンは表情を変えずにナイフを捩じ込んだ、アリスの悲鳴が終わる。ラクトマンは立ち去る、だが、また
「おぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶやら、あたひ、ひにあひっあひあひ」
アリスの声が聞こえる、もうアリスは原型を留めていなかった。声も朦朧としており、もはや声では無く鳴き声だった。ん?なんだあれ?ラクトマンは呆気にとられる。アリスの身体が急速に再生していく。ラクトマンは煙をまた集める、その行程でラクトマンは気付いてしまった。その前に昔習ったことが頭に浮かぶ。魔力とは、ありとあらゆるものの源。あれば必然的に栄え、無ければ滅びる。加えてそれは誰にでもある。あれば何でもできる。そう、髪の色を変え、傷を再生させ、誰かの力を使え
人間一人を弄ぶことができる。
ラクトマンの腕が吹き飛ぶ。ラクトマンは何もしない。アリスが駆け寄ってくる。思えば奴が覚醒したときから俺は奴の人形劇の人形だったのだろう、恐らくこのまま抵抗しても同じことの繰り返しだろう。俺が奴を圧倒し、俺が立ち去ろうとするとまた奴が復活する。もう嫌だな、ラクトマンは飽きた。同じことの繰り返し、そして生きていくことに。ラクトマンが上を見る。アリスは攻撃をしかける。だが、ラクトマンはアリスの腹を思い切り横に斬った。アリスの表情が固着する。ラクトマンは表情を崩さない。
「阿呆が、この俺に精神攻撃をするなど…言っておくが何億回繰り返そうがこの俺は抵抗し続けるぞ」
「そ」
アリスはそう言い、ラクトマンの首を引きちぎった。ラクトマンの表情は依然変わらず。威風堂々とし何事にも屈せず、最期まで抵抗を止めず。ラクトマンの体は数秒躍進し、すぐに動かなくなる。アリスは下に座り込んだ。また寒くなる。寒いのは嫌い、寒さは死。
輪廻の歯車は私を引き摺り込む。私はどんな痕を残すのだろう。アリスは急に怖くなる。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ消えたくない。アリスは周囲を見渡す。先ほど屠ったラクトマンが転がっている。レイは無かった、何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故、アリスは頭を掻く。掻く力は強く美しい髪の毛が抜けていく。
「アリス?」
声が聞こえる、アリスは顔を上げる。そこには、映っていた主が。声の主の顔が次々に移り変わっていく。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ見たくない。アリスは眼を閉じる。だが現実は変わらない。アリスは何度も否定する。だってその顔は私を育てた––––––––––母親なのだから。
「敵は複数!溶解炉の不具合に気をつけよ!」
空は言い溶解炉を起動させる。前には大量の兵士が居る、兵士達は矢を放つ、空は避けながら爆発を起こす。仲間たちも色々な場所で闘っている。じき決着がつくだろう、私達の勝ち。兵士達は吹き飛ばされていく。まるで春風の前の塵のようであった、空は爆発を起こす。兵士達の全てが吹き飛ばされ––––––––––––––––ていない、一人だけ残っている。その男は日本刀を提げ、菅笠を着けていた。見た目は侍そのものであった。だが、無精髭が酷い。刀の刀身は赫い、まるで全てに怒っているかのような色。
「やってくれたね…八咫烏」
男が言う、そして、なんと、刀を鞘に納めたのである。普通ならそのまま出しておくべきなのに。その瞬間空に激痛が走る、腹部が出血していた。空は血を吐き、下に堕ちる。斬られた、全く抵抗する隙もなかった。空は融合炉を起動させようとする。だが起動しない、融合炉に小石が引っかかっていた。空はなす術もなく落ちてくる。羽根も斬り落とされていた。空の顔に絶望が映る。男は落ちてくる空の頭に刀を突き刺した。その速度は異常に速く視認できるものではなかった。空は動かなくなった。そして空を地霊殿に放り投げた。男は傘を被り直して地霊殿を見る。地霊殿は不気味である。
「そろそろ、出てくるのかな」
男は呟き、刀を抜いた。前から少女が歩いてきていた。古明地さとり、駆逐要目の一つ。さとりの顔には何も映っていなかった。怒りも悲しみも…。はて…こいしの方は…男は思慮に耽る。だが思慮は終わる、何か来る。男は本能的に察し、即座に距離をとる。さとりはそれを冷ややかに見る。男は刀を強く握り締める。
「おや、どうしたのですか?鵯一二三何か見えたんですか?」
一二三は背後に下がる。恐怖は止まない。見えない、感じることができない。それが何より怖い。だが何も見えない、成る程…”無意識”か仕方ないな。一二三は刀に力を入れる、刀に力が集まってくる。さとりは殺す気の弾幕を放った。それは鮮やかな虹色であった。こいしも動く
「アリス…なのね…」
パチュリーは目の前の少女に向かって言う。アリスは嫌だ嫌だとブツブツ言いながら眼を擦る。パチュリーはゆっくりとアリスに近づく、アリスは体育座りをしていた。ただ哭き続けていた。涙の中には血が混ざっている。だがだんだん涙の割合が高くなる。
「来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで、見ないで見ないで見ないで私を。寒いの寒いの寒いの寒いの寒いの寒いの寒いの寒いの寒いの寒いの寒いの寒いのおかしいの擦っても擦っても熱が発生しないの」
アリスは言う、パチュリーは何も言わずにアリスに近づく。アリスとの距離が約1メートルとなったときアリスの血液が棘になって襲ってくる。パチュリーは構わず進む。服や肌に軌跡が刻まれる。
あの時と同じ、私とレミィは暴走したフランを連れ戻しにある国に出向いた。思った通り騒ぎになっていた。良く見ると巨大な屋敷から火の手が上がっている。私とレミィはそこに向かった。私はある扉を見つけた、それは先程の華やかな屋敷と一変、寂しい印象である。私とレミィはそこにフランが居ると判断した。私はドアに耳を当てる。どん どん 何かを叩きつける音が聞こえる。音はやけにくぐもっている。しかも音が変化する。叩きつけるだけでなく、ガラスが割れるような音もする。もう決まりである。私とレミィは扉を開ける。風が吹く、それに乗って腐乱臭が鼻腔に入ってくる。私は少し不快だったが、吸血鬼のレミィは特に不快でもないらしく、ずんずん前に進んでいく。私も前に進む、進むごとに廊下はどんどん汚くなっていく。しかも床や壁に赤黒い何かがびちりと着いている。それが何かは考えるまでもない。するとまたドアがある。レミィがドアを開け、中に入る。私も共に入った。そこで私は見た。神の…いやそれは神の成した事と言うにはあまりにも背徳的かつ猟奇的である。例えるならピエロである。ピエロの悪戯が起こした悲劇。立場の逆転、蛙を蛇が喰らうのでは無く、蛙が蛇を喰らうのである。その悲劇の間にフランは居た。フランは口から を吐き出している。少女はフランで遊んでいる。遊び方は乱雑。フランの頭をひたすら地面、壁、机に叩きつけ続ける。周りにフランだったものが飛び散る。私はその場に立ち尽くす、レミィは怒りを露わにし飛びかかる。だが一瞬で吹き飛ばされる。しかも両眼を潰されている。レミィは蹲って眼を抑える。だが血は止まらない。おまけに腹部に裂け目を入れられている。レミィの服に鮮血がこびりつく。レミィは動かなくなる、恐らくゆっくりと再生しているのだろう。私は直感的に悟る、この少女に私は勝てない。でも親友を傷つけた貴女を私は赦さない。パチュリーは本を開く、本の中で魔方陣が蠢く。パチュリーはそこから雷を放つ。だが少女は一瞬でパチュリーに駆け寄る。全く見えなかった、少女が手を出す。死ぬ–––––––––––––––––––––––––––パチュリーは叙事詩を閉じた。身体に少女の手が当たる、それは暖かかった。だがどこか寂しい。
だが、パチュリーの意識はいつまでも残っている。パチュリーは不審に思い、眼を開けた。少女はパチュリーを攻撃するのではなく、まったく攻撃とは正反対のことをしていた。パチュリーは困惑する。当然である、先程から私達はこの少女を殺そうとしていた。なのに何故
「やっと見つけた、シルビア。髪の色が違うよ、どうしたの?」
抱擁ができるの?本を幾多も読んだパチュリーでさえよく分からない。異常者なのかそれとも母性に飢えているのか––––––––。パチュリーは取り敢えず少女を抱きしめる。レミィはまだ動かない、が、指がピクリと動いた。今ね、パチュリーはそう思い、魔法を溜め直す。
「生憎だけど私はシルビアじゃないわよ」
パチュリーは答えた、そして魔法で少女を攻撃した。
少女の背中に電撃が直撃した。私の最高火力、だが少女は何の反応も示さない。力も–––––––––緩まない。おかしいこの電圧で何もなしなんて、まさかこの子日常的に高電圧を浴びてたの?パチュリーの頭に疑問がよぎる。電撃が終わる、少女がこちらを見る。殺される、
「貴女は絶対シルビアなの!だって!」
少女はそう言い、パチュリーの胸を掴んで揉みしだいた。パチュリーは驚いて地面にしゃがんでしまう。嘘嘘嘘嘘信じられない。パチュリーの頭に何か浮かんで消えた。それは”殺意”である。それと同時に何かよく分からない感情が出ようとする、それは500%出してはいけない感情、パチュリーは悟る。
「胸の大きさが同じだもーん」
少女はパチュリーに馬乗りになって胸を揉み続ける。少女の手が植物の蔓のように絡みつく。胸もその動きに合わせて沈降と隆起を繰り返す。次の瞬間少女は顔を胸に埋めた。そしてなんと匂いを嗅ぎ始めた、すーすー、という呼吸音が響き渡る。胸を揉む手は依然止まない。それどころか胸を揉む速度がどんどん上がる、もう植物のツタではなく、蠢めく触手である。パチュリーは止めさせようとする、だが出来ない。体温が急上昇する、息も荒くなっていく。”感じて”いるのだ。500%が体を突き破って出ようとする。パチュリーは必死で堪える。それに必死で手を動かせない。少女は胸を揉むのを不意に止める。パチュリーは少女を突き飛ばそうとする、だがそれよりも疾く少女がパチュリーの乳房を服越しに咥える、そして息を吸引する。パチュリーの口から喘ぎ声が漏れる。しかも吸い終わると舌を蠢かせて胸を舐め回すから余計タチが悪い。涎で胸が濡れる、少女の表情は歓喜以外の何物でもない。それもとてつもない喜び、喩えるなら親との再会といったところか。何なのこの子、パチュリーは思考に耽る。実際そうである、人違いをした挙句胸を弄りまわすなんて普通考えられない。余程母性に餓えているのか、筆者の様な単なるおっぱい星人なのか。疲れたのか一瞬fondleが止まる。パチュリーはその隙を見逃さず少女を突き飛ばす、少女は塵のように飛んで行った。レミィもゆっくりと起き上がる、パチュリーは素早くレミィとフランを抱き抱える。急な動きに肺が悲鳴をあげる。それは喘息という形で出る、パチュリーは構わず魔法で後ろの壁を壊し、外に出る。少女は見えなかった、構わず飛んだ。前から風が吹いてくる。冷たい風であった。まだ体は火照っていた。
「ありがとう、パチェ」
レミリアは空で言う、パチュリーは何も答えない。前に紅魔館が見えた。二人は素早く入る。フランは口から泡や血を吹いていた。レミリアはフランを部屋に戻した。パチュリーは図書館に向かう。小悪魔がドアを開ける。もうこりごりだ、胸揉まれるし、パチュリーは椅子に座る。机の上にある本を開く、それは童話であった。少女アリスが冒険をするもの。だが、結末はハッピーエンドとは言えない代物である。一般的に出版されたものではそこがカットされているが。
バサバサバサバサバサ
急に本が落ちる音が響き渡った。パチュリーは本を置く。小悪魔は向こうを見る。
「小悪魔、見てきなさい」
パチュリーに言われ小悪魔は音源を見に行った。パチュリーは本を読む。静寂、私が一番好きなもの。本の側に居るのは私、私の側に居るのは本。
「誰ですか!貴女!」
小悪魔が叫ぶ、パチュリーは動かず本だけ向かわせた。小悪魔が後ろに下がる、前から音が出る。それは
先程の少女であった。パチュリーの顔が暗くなる。胸には先程の行為の滲みが残っていた。
かなり書いたな今回…




