表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.11 裏戸のスキッド
194/195

第194話 裏戸のスキッド




 現れたスキッド。裏戸(バックドア)のスキッド。


 「やあ、ミル」


 レイラに向けて微笑む。


 「え? なんで?」


 レイラが思ったのは、スキッドの出所は7日後のはずだ。どうしてだろう? その事だった。


 ミル=アスターシャは、


 黒面紗(ヴェール)の下で唖然となっていた。顔は見えないが動揺している。当然だ。完全に注意を奪われている。


 今なら銃を奪える。


 レイラはそう思った。


 動くか?


 だが。


 先に動いたのはスキッド。その顔、ミル=アスターシャの手の銃を認めると、一転厳しくなった。


 本職(プロ)のギャングなのだ。冷徹非情で鳴らした裏戸(バックドア)のスキッドなのだ。


 スキッドは光線銃(ブラスター)を抜きざまに撃つ。


 狙ったのは、


 黒衣黒面紗(ヴェール)の女。


 ミル=アスターシャ。


 ミルは胸から血を噴き上げ両手を大きく広げながら、後ろの階段を、死の13段を転げ落ちていった。



 一瞬の出来事だった。


 階上で凍りついたように立ちすくむレイラ。


 「ミル、大丈夫か?」


 スキッドが、微笑みを取り戻して言う。非情な殺人者。


 「その顔、いいじゃないか。刑務所(むしょ)でお前が遠くの星へ逃げて顔を変えたって聞いて、びっくりしたぞ。でも、送られてきた画像(かお)を一日中ずっと見ていた。すっかり覚えたよ。顔をどう変えたって、お前は俺のミルだ。本当に、お前に対する気持ちは変わらねえよ。俺が出所すると聞いて、また戻ってきてくれたんだよな? あ、ちょいと早めに出てきたこと、びっくりしてるか? 実は俺の弁護士が、拘束拘置に不正があったことを見つけたんだ。それで司法取引して7日間早く出所できたんだ。このことはみんなに内緒にしておいた。驚かせ(サプライズ)さ。出てきてよかったよ。ミル、お前、今、撃たれるところだったんだよな。ギリギリ間に合ったよ。あの女、誰なんだ?」



 スキッドの声。


 遠い星から聞こえてくるように思えた。


 でも事情はわかった。司法取引で早く出所した。みんなに内緒にしておいた。それで勝手知ったる(アジト)裏戸(バックドア)から現れた。


 確かに。


 神出鬼没。裏戸(バックドア)のスキッド。誰をも欺き、裏をかき、出し抜く男。誰にも捕まえることのできない男。


 そして、ここでスキッドが見たのは。


 新しいミルの顔と信じるレイラが、黒衣黒面紗(ヴェール)の女に銃を突きつけられているところだった。


 スキッドに躊躇いはなかった。ミルを守るために、黒衣黒面紗(ヴェール)の女を撃ったのだ。当然の判断だった。


 スキッドが胸を撃ち抜き、血飛沫とともに死の13階段を転がり落ちていった女こそが、スキッドが誰よりも愛した、誰よりも守りたかった、そしてどうしても手放せなかった女、ミル・フレイザーだったのだ。


 

 階下では、悲鳴が上がっていた。


 あたりまえだ。階段から、撃たれた女が転がり落ちてきたのだ。


 騒ぎになっている。さすがに通報もいっている筈。警官隊が来るのも時間の問題だろう。


 ここはなんであれ。


 レイラは素早く動いた。


 逃げよう。とにかくここにいちゃいけない。


 全力で、いましがたミル=アスターシャが転げ落ちた階段を駆け降りる。そのまま店の入り口から、飛び出す。振り返らない。後ろから、「ミル、ミル」というスキッドの声がした。


 スキッドはレイラをミルだと信じている。追っては来るが撃ちはしないだろう。



 店から飛び出したレイラ。


 いきなり腕を掴まれた。


 ギルバンだった。


 エアカーの前部座席の(ドア)を開け、中から、レイラの腕を掴んでいる。


 「乗れ」


 ギルバンは短く行った。レイラもすぐさまエアカーに飛び乗る。


 「中で殺人(コロシ)があったの。撃ったギャングが私を追ってくるの」


 息せききって言うレイラにギルバンは、


 「座席(シート)に身を伏せろ」


 と言って(ドア)を閉める。


 「発進しないの?」


 伏せながらも心配なレイラにギルバンは、


 「ギャングに追われてるんだろ? すぐ発進したら、ここにいますって教えてやるようなものだ。身を伏せてじっとしてればそれでいい。関係ないふりをするんだ」


 2人の乗ったエアカーの横を、光線銃(ブラスター)を手にしたスキッドが走り抜けていった。


 なにか大声で、ギャングたちに指示を出している。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ