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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.11 裏戸のスキッド
186/195

第186話 下着モデルの感想を言われて



 「なあ、レイラ」


 エアカーを疾駆させながらギルバンが言う。


 「なに?」


 「見たぜ」


 「何を?」


 「お前の画像さ」


 「画像?」


 「ほら、この前、お前下着モデルやってるって言ってただろ? だからどんなのか、見てみたんだ」


 「あ」


 この前会ったとき、下着モデルをやっているとバレたんだ。バレてもいいし、職業だから下着モデルの画像を見られてもいいんだけど。ドン・ハルキサワ事務所のサイトにはもちろん、所属モデルの下着姿の画像がいっぱい置いてある。あれ見られちゃったんだ。


 なぜか赤くなるレイラ。


 「……どうだった?」


 一応、感想を聞く。


 「うーん、そうだな」


 ギルバンは、もったいをつけて、


 「なかなか……パンチ力があったな。それで、その……はっきり言おう、お前はやっぱり下着モデルに向いていない。胸がデカすぎて、下着より中身に目がいっちまうからな」


 と、レイラのメロン(サイズ)(バスト)を見ながら言う。



 バチーン!



 レイラが、ギルバンを、ひっぱたいた。


 「もうっ!」


 レイラは、カッカしている。


 「ふざけないでよ! 私、真剣に下着モデルやってるんだから!」


 「なにするんだよ」


 ギルバンは、頬をさすりながら、

 

 「モデルって、見られて感想言われたらキレるのか?」


 「あんたのは下着(アンダーウェア)の感想じゃない。下着(アンダーウェア)の感想だったら、何言ったっていいわよ。あんたは、下着(アンダーウェア)の中身について言ってるじゃない。別にあんたみたいな男に見られるために、モデルやってるわけじゃないのよ!」


 「おー、怖い。下着モデルって、おっ怖いんだねえ」


 ギルバンまだ頬をさすってる。



 「あの、こんなことを今言うの、なんだけど」


 レイラが言う。


 「なんだ?」


 「私の依頼も受けてほしいの。あんた、裏街(アンダーグラウンド)伝手(つて)はある? 今日会ったギャングのクーゴがこれからどうするか、探って欲しいの。スキッド一家(ファミリー)のクーゴよ。技術屋(メカニック)の大幹部」


 「いいぜ」


 と、ギルバンは事もなげに、


 「俺も巻き込まれた以上、ちょっと気になるからな。で、報酬は? 今ひっぱたいてくれたことが、報酬なのか?」


 「もう」


 レイラは、


 「それはそれよ。なんであれ変なこと言ったら、容赦しないんだから。今日、助けてくれたことも入れて、きちんと借りは返すからね」


 「わかった。期待してるぜ」



 ◇



 エアカーは、アルデランタ家に着いた。


 「レイラーっ!」


 通信(メッセージ)を入れると、アスターシャが飛び出してきた。やはり、クラブでレイラとはぐれ、先に帰っていたのだ。


 「どうしたの? 急にどこかへ行っちゃって、全然出てこないし。通信(メッセージ)入れても返事ないし、私、なんだか怖くなっちゃって、先に帰ってたの」

 

 「うん、実はミルと間違われて、ちょっとギャングに絡まれてたの。でも、この人が助けてくれた。あなたの雇った護衛(ボディーガード)なんでしょ? 大活躍してくれたわ」


 「そうなんだ。ありがとう!」


 アスターシャは、ギルバンに、


 「やっぱり、業界で評判高い人選んで良かった。特別割増(ボーナス)、しっかりだすからね!」


 ギルバンは、雇い主に軽くお辞儀する。実際は、〝ちょっとギャングに絡まれた〟どころではなかった。あと一歩で殺されるところだったのだ。でも、アスターシャに言ってみても仕方がない。


 「レイラ」


 アスターシャは、紫の瞳をキラキラとさせて、レイラの手を握る。


 「今日は大変だったね。で、明日、最後、お願いできない? あと1回、あと1回だけ、一緒に裏街(アンダーグラウンド)に行って欲しいの。本当に、それで最後だから」


 「う、うん、今晩、ちょっと考えさせて」


 今夜のことを考えると。


 もう行くべきではなかった。普通に考えたらそうなる。危ない目にあったのだ。だが。レイラは、どうしても断ってこのままアスターシャと別れることができなかった。なぜだろう? アスターシャの感傷(センチメンタル)に付き合う。それだけではない何かを、感じるのだ。最後まで、結末を見届けたい。そんな気がしてならなかった。


 明日で最後だ。


 きっちり安全が確認できたなら、行ってみよう。


 レイラはそう決心し、アスターシャと別れた。



 「お願いね、レイラ」


 アスターシャは、何度も言っていた。その瞳には、ただならぬ気迫と決意を感じた。何があるんだろう。追憶と感傷(センチメンタル)の向こうに。


 

 アルデランタ家を去る。


 ギルバンはモデルの寮まで送ると言ってくれたが、レイラは自分でエアカータクシーを呼んで帰った。



 あの後。裏街(アンダーグラウンド)では、どんな騒ぎになったんだろう。



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