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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.11 裏戸のスキッド
183/195

第183話 潜入捜査官



 レイラとギルバン、またがっちりと手首足首を拘束された。


 「誰なんだ、こいつは」


 クーゴは不審の眼でギルバンを見る。


 ギルバンはしっかりとクーゴを見返して、


 「俺はこのお嬢さんの騎士(ナイト)だ。このお嬢さんの危機(ピンチ)には、いつでも現れる。おい、貴様の悪事は全部お見通しだ、おとなしく降参しろ」


 「ふざけるなっ!」



 ガッ、



 クーゴが、ギルバンの顔を殴る。


 ギルバンは、床に頭を叩きつけられた。


 「やめて」


 レイラが、


 「その人、全然関係ないから。そもそも、私も全然関係ないんだけど」


 「ミル」


 クーゴは、凄い形相で、


 「お前、仲間を連れて戻ってきたんだな? こいつ、どこで拾ってきたんだ? まだ他にも、仲間はいるのか? 畜生、いろいろ調べなくちゃいけねえな。ええいっ、なんてこった」


 クーゴ、強気とは裏腹に焦っていた。


 ミルとジロモを(バラ)し、金庫(かね)抜きの罪を被せる。これは絶対に1人でやらねばならない仕事だった。配下の者を使うことはできない。自分の城である工場で、2人(バラ)して死体を処理するだけ、そう思っていたのだが。


 ミルに仲間がいた。クーゴの知らない仲間。


 予定が狂った。

 

 ちょっと落ち着いて情報収集をしよう。兄貴(スキッド)の出所まで、あと8日ある。それまでに、決着(ケリ)をつければいいんだ。


 「おい」


 拘束された2人に、凄む。


 「いいか、ここでおとなしくしてろ。お前らが何をやってたのか、調べ上げてやるからな。動くなよ。さもないと今度は本当に殺すからな」


 そう言い捨てると、クーゴは足早に地下〝工場〟を出ていった。


 

 ◇



 「うう」


 ギルバンは拘束されながらも、何とか身を起こす。


 「大丈夫?」


 とレイラ。


 「ああ、なんでもねえ。大した(パンチ)じゃねえ」


 「もう、ふざけた挑発するからよ」


 「ギャング相手には、けっこう虚勢(ハッタリ)が利くんだぜ。こっちが何か手札を握ってるってフリをすればいいんだ。基本だぞ」


 「そう? あんまり利いてなかったよ」


 「どうかな」


 ギルバン、ニヤリとして、


 「やっこさん、なんだか動揺してたな。俺の出現に相当びっくりしてたみたいだ。こっちをすぐに殺さなかった。まだまだ、戦えるぜ」


 「お気楽ね。私のこと殺すことには決めてるのよ。あなたも確実に道連れになるわね」 


 「ところでレイラ」


 と、ギルバンが訊く。


 「あいつ、お前のこと、ミルとか姐さんとか呼んでたよな。なんだ、そりゃ。お前、実はギャングの身内なのか?」


 「とんでもない!」


 レイラは叫ぶ。


 「私はただ、人違いで殺されそうになってるだけよ。あいつらとは、何の関係もないのよ。人違いだって言っても、聞いてくれないの」


 人違い。とはいえ、親分(ボス)の女を演じていたのは、間違いなかったのだが。


 「へえ」


 事情を知らぬギルバンは不審な顔。


 「人違いで巻き込まれたのか?」


 「そうよ。ギャングの内部のゴタゴタにね。今いたギャングは、クーゴ。ここの一家(ファミリー)の大幹部よ。18歳。技術屋(メカニック)で、故買屋稼業電子犯罪稼業担当だって」


 「お前、ギャングの事情に詳しいな?」


 「そりゃ、警察の記録(データ)で調べたから」


 「警察の記録(データ)?」


 ギルバンは目を丸くする。


 「レイラ、なんでそんなのにアクセスできたんだ? お前、下着モデルなんだよな」


 しまった、レイラ、少し焦る。自分が実は宇宙警察の刑事であることは、ギルバンにも秘密にしている。言わないほうがいいような気がしているのだ。


 「今、そんなのどうでもいいじゃない!」


 と、叫んで誤魔化す。


 「一般人でもアクセスできる情報源をいろいろ検索してたら、出てきたのよ。情報通みたいなのが、警察の記録(データ)を流してるみたい」


 「ふうん」


 ギルバン、レイラの顔を覗き込んで、


 「ひょっとして、もしかして、お前、宇宙警察の潜入捜査官だったりするんじゃないのか?」


 ズバリだ。見抜かれた?


 レイラ、動揺するが、


 「そんなことあるわけないじゃない、私は下着モデルよ!」


 「あっはっは」


 ギルバンは、笑う。


 「そうだよな。本職(プロ)の捜査官が、ギャングにとっ捕まるなんて、そんなヘマするわけないよな」


 本職(プロ)の捜査官であるレイラはカチンとなったが、そこはぐっとこらえる。


 実は刑事ですとは、ますます言えなくなった。

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