第181話 工場にて
決着をつけるため、ジロモを地下〝工場〟へ。
その時。
「ジロモの兄貴」
本部事務所の扉が開き、若い者が入ってきた。
「なんだ?」
と、ジロモ。
「ちょっと賭博場で揉め事が。おいで願いませんか?」
「俺が出ていく必要があるのか?」
「ノースリーの一家の者なんです。店の者じゃ対処できなくて」
「ち」
ジロモは獰猛なギャングの顔になる。
「しようがねえなあ。なあ、クーゴ、聞いたか。ちょっくら行ってくるぜ。お前の話っていうのは、また後で聞くからな」
と、ジロモは若い者に案内されて出ていった。
◇
空振り。
どうしよう。クーゴは考える。
何、大丈夫だ。また、ジロモと2人きりになって、うまく地下〝工場〟に連れ込むチャンス。いくらでもあるだろう。
ミルはどうするか。
さっきうまく捕まえたときに、とっとと殺してもよかったのだ。いや、そうするべきだったのだ。
ジロモを先に殺そう。
そう思ったのは、やはり親分の女でクーゴ自身もこの3年間生死を共にしたミルを殺すのに、気後れがあったのだ。
だが。
甘い考えに浸っていてはならない。
もう自分の命が懸かっているのだ。
「よし、まず、ミルを殺ろう」
心に決めたクーゴは、地下〝工場〟へと向かう。
◇
地下〝工場〟では。
レイラが必死にもがいていた。
このままでは殺される。そういう話だ。何とか抜け出して、逃げなきゃいけない。
で、そのためにできること。
ひたすらもがいて、拘束を解くしかなかった。
でも。
手首足首に、拘束具ががっちりと嵌っている。
いくらもがいてもビクともしない。
しまいには疲れてきた。
「ちょっとーっ! 誰かーっ!」
頑張って叫んでみる。だが、〝工場〟の中、自分の声が虚しく反響するだけ。
「えー、こんなのないよーっ! ギャングが殺し合うのは勝手だけどさあ、なんで私が巻き込まれなきゃいけないの? 悪党と撃ち合って死ぬのなら本望だけど、誰にも知られず始末されて闇から闇に葬りさられるなんて、あんまりよ! 私は宇宙警察の刑事なのよ! みんなに期待されてたのよ!」
泣きそうになる。
でも、叫びを聞いているのは、無機質な機械だけ。
もうダメだ。
諦めるしかないのか。
がっくりと首うなだれるレイラ。
その時。
「おい、レイラ」
声がした。
顔を上げると。
目の前で見下ろしているのは。
ギルバン。
私立探偵の男。




