表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.11 裏戸のスキッド
177/195

第177話 金庫の番人



 「さて、ミル」


 クーゴが、縛られて床に座り込んだレイラを見下ろしながら言う。


 「今、どういう状況か説明しよう」


 「助かるわね」


 レイラはあれこれ考えている。自分はミルじゃないと言い張っても、ダメみたいだ。当然と言えば、当然。ミルの双子の妹のアスターシャに頼まれて、裏街(アンダーグラウンド)でミルのフリをしていた。正直にそう言うのは? いや、こんな突飛な話、信じてくれるわけがない。あまりにも不自然だ。かえって状況をおかしくしそうだ。


 実は宇宙警察の刑事です、と言ってみるのは? もっと状況がまずくなるに決まってる!


 とにかく話を聞くしかない。レイラは覚悟した。話を聞きながら、脱出の糸口を探さなきゃ。


 「つまり、こういうことだ」


 クーゴは、ナイフを取り出し、舌なめずりする。


 「ミル、お前はこの前の警察(サツ)の手入れに怖れをなして、この星から逃げ出した。そして手術で顔を変えた。もう、ここのギャングのところに戻ってくるつもりはなかった。ところが、どこで暮らすにも、(かね)が必要だ。(かね)を持ち出すのを忘れていた。で、ミル。お前はこっちの事情を調べた。スキッドの親分(ボス)が、もうすぐ出所する。その前に一旦この星に戻って一家(ファミリー)(かね)を持ち出そう、そう考えた。お前は兄貴から、うちの金庫(かね)を任されていたからな。うまいこと隙をついて俺たちを騙して、ごっそり(かね)を持ち出し、またずらかった。そういう話でどうかな? 気にいってくれたか?」


 「……何言ってるの?」


 もちろんレイラには、さっぱり訳が分からない。


 「わからないだろうな」


 クーゴは、得意然と、


 「兄貴(スキッド)は頭の良さで有名だ。でも俺だって、ちょいとばかし、頭が切れる方なんだぜ。ミル、俺とお前の仲だ。最後に、やっぱりちゃんと説明してやろう。実のところ、うちの金庫を空にしちまったのは、この俺なんだ」


 「……そう、なの」


 レイラは、そういうより他にない。クーゴは、ナイフをくるくる回しながら続ける。


 「兄貴(スキッド)が捕まった。俺も捕まったがすぐに釈放されて、親分(ボス)が出てくるまで、一家(ファミリー)(ヘッド)を任されることになった。(ヘッド)だ。このクーゴ様が(ヘッド)だ。なんだかんだ、この俺も、つい浮かれちまってよ、前からやってた賭博(ギャンブル)に、一家(ファミリー)(かね)を使っちまった。そういうことだ。親分(ボス)も、ミル、お前もいない。一家(ファミリー)金庫(かね)は俺が自由にできたんだ。この誘惑に、どうしても勝てなかったんだ。で、賭博(ギャンブル)ってのはよ、大きく張れば、その分大きく負ける。そして負けを取り返そうとして、もっと大きく張る。もっと負ける。それで結局、一家(ファミリー)の金庫を空にしまった、そういうことさ」


 クーゴは、じっとレイラを見つめる。


 「これがどういうことか、ミル、わかるよな。重大な、一家(ファミリー)への裏切り、(ルール)違反だ。兄貴(スキッド)が出所して、うちの金庫を調べたら終わりだ。確実に俺は、血の制裁を喰らう。あらゆる意味で終わりだ。どうしようか考えてたんだ。もう遠くへずらかるしかないと思ってたんだ。けど、そこに、お前が現れた。帰ってきた。こりゃ、幸運(ラッキー)だと思ったね。それで、さっき言った筋書き。一旦逃げたお前が戻ってきて、一家(ファミリー)金庫(かね)を抜いて、また高飛びした、そういう話にしようと思ったんだ。お前なら、金庫に触れる立場だからな。こりゃ、うまい考えだ。ミル、お前は俺の救世主だよ。兄貴(スキッド)がお前のことを、幸運の天使、と呼んでたよな。本当にそうだ。お前のおかげで俺は助かる」


 クーゴの瞳、凄みを帯びた光を放つ。


 「わかっただろう? お前は俺の代わりに、金庫を抜いた罪を被って死ぬんだ。ここでお前を殺す。一旦帰ってきたお前が一家(ファミリー)金庫(かね)を抜いて、また高飛びした、親分(ボス)にそう報告する。それで全て決着だ。俺は安全ということだ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ