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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.11 裏戸のスキッド
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第145話 ギャングの闘い 〜3年前の出来事(3)



 「俺はスキッド。グルーリン一家(ファミリー)の者だ」


 スキッドは、名乗る。グルーリンは、スキッドの親分(ボス)だ。ギャングのメンバーである以上、筋を通さねばならない。


 「それが、どうした」


 茶色のコートの男は、へっへっ、と笑う。


 「知らねえな。小僧。誰かの名前出しゃ、こっちがビビると思ってんのか? これだから、ガキはいけねえな。ち、しけた街だぜ。やっぱし俺みたいな教育係がここには必要なんだ。おい、小僧、俺の名前を教えてやる。ゴレヌってんだ。とっとと帰れ。俺はそのお嬢ちゃんに、用があるんだ」


 なんだ、この男は。


 スキッドは、呆れる。


 グルーリンの名前を知らない? 街のギャングについて何も知らないのか? ギラミ一家の者じゃないんだ。ゴレヌだって? 確かに、聞いたことない。


 やっぱり流れ者のギャングが。それならば。こいつこそ、ここで勝手な商売をさせるわけにはいかない。


 ミルはすっかり怯え、スキッドの後ろに隠れている。


 ゴレヌが、言う。


 「おう、小僧、どけよ」


 「街から、出て行くんだ」


 スキッドは、静かに言った。


 ゴレヌの目が、見開く。もう、言葉を交わす時間ではない。


 「ミル、離れるんだ。逃げろ。さあ、早く!」


 背にぴったりとくっついている少女。スキッドは振り向かずに言う。


 ミルは、はっとして、後ろへ駆け出した。


 よし。ひとまず、ミルは守れた。スキッドは、ほっとする。でも、普通なら足が竦んで動けないところだ。すぐに走れた。あの子、意外と肝が据わっているな。そんなことも、思う。



 ◇



 狭い路地に立つ2人。


 ゴレヌは、メリケンサックを嵌めた右の拳を突き出し、斜に構えている。


 銀色に光るメリケンサック。だが、あれは誘いだ。


 スキッドは、ゴレヌの左手が、すうっと後ろに隠れるのを、見逃さなかった。


 後ろにも武器を隠している。流れ者が、街のギャングと抗争しようというのだ。仲間を呼ばれる前に、一発で決めようとしてくるだろう。


 隠している武器が何かを考える時間はなかった。


 スキッドも、ジャケットの下、右の腰に、光線銃(ブラスター)を提げている。しかし、それを抜くのでは、相手の方が一瞬早い。


 冷静に計算する。


 今、怖いのは。相手に先を取られること。


 スキッドは、ゴレヌの左腕に腕に飛びかかった。この腕を封じなければいけない。


 いきなり飛びかかられて、ゴレヌも不意を突かれたようだ。スキッドが先手をとれた。ゴレヌの左腕をとらえる。左手が握っていたのは、


 やはり、光線銃(ブラスター)だった。


 一瞬遅れていたら、スキッドが撃たれていただろう。

 

 ゴレヌは、何か叫ぶと、右手を振り上げる。自分の左腕にしがみつくスキッドの背に、メリケンサックをぶち当てようというのだ。


 しかしスキッドは、ゴレヌの左腕を掴むとそのまま捻り上げ、自分を巻き込むようにして、路上に、ゴレヌを投げ倒す。


 もつれながら倒れる2人。ゴレヌのメリケンサックは、空を切った。


 光線銃(ブラスター)が、カラカラと乾いた音を立て、路上に転がっていった。



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