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下着モデル潜入捜査官レイラの事件簿  作者: 茜見零
事件簿No.11 裏戸のスキッド
137/195

第137話 暗黒街の仲間たち



 みんなが、自分のことをミルだと言っている。


 レイラにも、やっと状況が呑み込めた。


 ミルは、裏街(アンダーグラウンド)から姿をくらまし、他の星へ行った。手術で、顔を変えた。そして最近、双子の妹アスターシャに、新しい顔の画像を送ってきた。


 画像(かお)を送ったのは、アスターシャだけだと思っていた。


 が、違った。


 裏街(アンダーグラウンド)の仲間たちにも、送ったんだ。


 ミルの新しい顔、つまりレイラとそっくりの顔は、仲間も知っているんだ。昨日の酒場(バー)では、まだ知られていなかったが、今日になって、画像(かお)が送られてきたらしい。


 裏街(アンダーグラウンド)に現れたレイラを見て、仲間たちは、当然、ミルが帰ってきたと思った。


 「どうしよう」


 レイラは、慎重にカードルームの中を伺う。


 暗黒街住人(アウトロー)だ。


 そう感じた。いや、わかった。地下組織犯罪やギャングは、レイラの担当管轄ではなかった。しかし、刑事の感。ここの雰囲気、他とは違う。


 惰れたような、2人の女。ぽかんとしている少年のような男。


 そして。


 トロンとした目の長身の男、ジロモ。骨張っている大きな拳。フラフラと落ち着かない目線だが、独特の凄みがある。普通の市民なら、こんな目で睨まれたら、()っとして動けなくなるだろう。


 レイラの横に立つデニムの男、クーゴも、白い歯を見せて、人の良さそうな顔をしているが、その目は鋭く、はしっこく動いている。


 これが、ミルの仲間。


 ミル。やっぱり、本物の暗黒街住人(アウトロー)の世界にいたんだ。



 ◇



 「ねえ、歓迎会しようよ」


 背の高い女が言った。


 「とりあえず、座ろう」


 隣のクーゴが、レイラを促す。


 「ああ」


 と、ジロモ。トロンとした目が、異様に輝いている。大きな拳、ぶるぶると震えている。


 「スキッドの兄貴が、いよいよ出てくる。ミル、それで戻ってきたんだな。当然だよな。兄貴にはいつも、ミルがいなきゃな。兄貴のミル、俺たちのミルだ。急にいなくなって連絡も寄越さねえんで、ほんとに心配してたぜ。俺たちは、いつでもスキッドの兄貴と、ミル、お前を待っているんだぜ。今日は大勢呼ぼう。パーティーだ。兄貴の出所の前祝いといこう」


 ジロモ、喋ってるうちに、興奮して、甲高い声になる。スキッド。よく出る名前だ。ミルの彼氏か?


 ともかくも。


 これは、まずい。切り上げなきゃ、と、レイラは、


 「あの、私、ミルじゃないから」


 言った。


 ええっ、とみな。キョトンとして、お互い顔を見合わせる。ジロモのフラフラした目線、どう考えていいのか、わからないといった様子。


 「人違いよ。私、ミルじゃないからね。ミルって誰? 知らない」


 レイラは、また、言った。


 さっさと退散しよう。こっちは、アスターシャの感傷(センチメンタル)に付き合っているだけだ。暗黒街住人(アウトロー)の世界に、首を突っ込みに来たわけではない。


 だが、ミルの仲間たち、そう簡単には納得しない。


 背の高い女が立ち上がって、レイラに、自分の携帯端末(パッド)を見せる。


 「ほら、これ、ミルから送られてきたんだよ。間違いなく、あなたでしょ?」


 画像。アスターシャに送られてきたものと、全く同じだ。やっぱりミルは、アスターシャだけでなく、仲間たちにも画像を送ってきたんだ。


 面倒なことになった。あれこれ話をすると、もっとややこしくなりそうだ。


 「ほんとに私、違うから」


 そう言うと、レイラは、カードルームを飛び出した。


 ジロモが、ミル、と叫んで追おうとしたが、クーゴが手で制した。



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