第136話 ミルの仲間
ゲームセンターの狭い通路で。
前の大男、後ろのデニムの若い男にはさまれて、レイラは戸惑う。
デニムの男、レイラの横にすっと立って、大男に何事か耳打ちする。
途端に大男は真っ青になった。何かをつぶやく。
スキッド、という言葉が、レイラの耳に聞こえた。前にも聞いた名前だ。
目を泳がせた大男、レイラの腕から手を離すと、慌てて迷路の中に消えていった。
いったい何が起きたのか。レイラには、わからない。
「さ、こっちへ」
デニムの男、レイラを案内する。
ついていくべきか。一瞬迷ったが、
「大丈夫だって。わかってるから」
デニムの男は白い歯を見せ、レイラの手を握る。
「さ」
結局、レイラは男に引っ張っていかれる。
◇
奥のカードルームの一つに、通された。
大きな卓がいくつもある。いたのは、1組の男女。みんな、若い。男が2人、女が2人。3人がカードをしている。男1人は、腕組みして卓に足を投げ出して、トロンとした目でゲームを見物している。長身の男だ。頭が1つ抜けている。不格好な形の大きな頭。
入ってきたレイラとデニムの男に、みな、一斉に振り向く。
カードをしていた3人の男女、まるで申し合わせたかのように、驚きの表情を浮かべた。
「ミル……」
女の1人から、言葉が洩れた。3人の顔が、凍りつく。
卓に足を投げ出していた長身の男は、訝しそうに、
「ん? どうした? なんなんだ? こいつはいったい誰なんだ? クーゴ、どこで女を拾ってきたんだ?」
と、入ってきたレイラと、カードを手にしたまま凍りつく3人を、トロンとした目で見比べる。
◇
「ジロモ、まだ見てなかったのか」
クーゴと呼ばれたデニムの男が、卓に足を投げ出した男に、声をかける。
「何を?」
と、ジロモ。
「今日、回ってきたやつだよ」
と、背の低い方の女が、言った。
「回ってきたやつ? 何だっけ?」
「ミルの新しい画像」
「え?」
ジロモ、眉を寄せた。
背の高い方の女が、携帯端末を取り出し、ジロモに見せる。
「ああっ!」
驚愕の表情で、ジロモは携帯端末と入り口のレイラを見比べる。そして、卓から足を下ろし、立ち上がった。
「ミル!」
ジロモが叫ぶ。目を見開いているが、まだトロンとしている。
「本当にミルなんだな? 顔を変えたんだよな? 新しい顔の画像、回ってきてるって、今日、聞いた。戻ってきたのか。驚いたぜ!」
「ミル、おかえり」
と、背の高い女。
「可愛くなったね。その顔、素敵じゃない」
と、背の低い女。
レイラの隣のデニムの男、クーゴは、ニヤリとしている。
残りの1人の男は。まだぽかんとして、レイラを見つめていた。




