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双棍のトラベラー  作者: コルミ
追跡リィナの峡谷の町探索
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情報収集

 カルドラたちが峡谷の町を出発した次の日、その町の門の前に1人の少女が辿り着いた。


「到っ着っ!!! いや~いっぱい寄り道しちゃったけどそれで3日で辿り着いたのはなかなかの速さじゃない!?」


 腕を組み、腰まである長いお下げをフリフリ歩き、少女は門番に話し掛ける。


「こんにちは! 町に入りたいんだけどお金とか必要!?」


 元気に挨拶をする少女に門番は笑って返事をする。


「こんにちはお嬢ちゃん、元気良いな。この町は商人とか馬車で入る人以外は無料だよ。お嬢ちゃん、商人かい?」

「ううん、トラベラーだよ! あ、ギルドカード持ってるけど見る!?」

「へー! お嬢ちゃん戦える口かい! ギルドカードは身分証みたいなもんだから他の町に行ったときにも門番に見せてやってくれ。やり取りがスムーズになるよ」

「なるほどなるほど…! 教えてくれてありがと! はいこれ! カードだよ!」

「はいよ」


 楽しくやり取りをし、少女からカードを受け取る門番。内容を確認していく。


「リィナ…、ちょっと待て、名前の横に貼ってあるのはなんだ?」


 カードを見ると名前の横に"横長の何か"がぺた~っと貼ってあった。


「あ…、やっぱりダメ…?」

「当たり前だろ。これは身分証明の代わりになるんだ、こんなのが貼ってたら正確な情報が読み取れない。剥がすぞ?」

「仕方ない、良いよ」


 少女に了解を取り、カードに貼られていた何かをペリペリ剥がしていく。

 そして全てきれいに剥がし、気を取り直してカードの内容を確認していく。


「リィナ・フェルステラ…、家名…? 家名!??? しかもフェルステラって! たたたた大変失礼しました! 貴族様とは知らず無礼な口の利き方を…!」


 盛大に取り乱す門番。それを見て少女、リィナは笑い出す。


「あははは! 大丈夫だよそんな細かい事気にしないから! 言ったでしょ、トラベラーだって。今の私はただのリィナだよ! 普通に接してくれるとうれしいな!」

「…、……、んー…、はぁ、わかった。おれは家名は見てない。君はただのリィナ、それで良いんだな?」

「うん! ありがと! 門番さん!」


 ため息を吐く門番とニコニコ顔のリィナ。とりあえず前言を撤回すべく門番が口を開く。


「さっきは他の町でもカードを見せろって言ったが、前言撤回だ。絶対に見せるな。それは最終手段にしておくこと、良いな?」

「わかった! なるべく見せないようにするね!」


 素直に返事をするリィナにカードを返す。


「ようこそ峡谷の町へ。ゆっくりしていきな」

「ありがと! じゃーね門番さん!」


 こうしてリィナは峡谷の町へ足を踏み入れた。




 町に入ったリィナはとりあえず目に付く全ての店に突撃していった。

 食料品店や衣料品店、雑貨屋や賭博場にまで首を突っ込んだ。リィナはその全てで楽しくおしゃべりして過ごし、ついでに旅の物資を補給していった。

 しかしどこで話を聞いても「美人魔導士、ぽやぽや女神官、細マッチョ男3人組」の情報が出て来ない。


(んー、カル兄たちがここを歩けば絶対誰か覚えてるはずなんだよね~。まさか追い抜いてきちゃった?)


 屋台で買った串焼きをもぐもぐ食べながら考えるリィナ。

 目の前に別の衣料品店があり、バクッと串焼きを食べ終え次はそこへ突撃する。


「こんにちはー! お話聞かせてくださーい!」

「はいはーい、お嬢ちゃん元気ねぇ。何が聞きたいの?」


 そしてまた3人組の情報を聞いてみるがやはり知らないという。


「ん~、3人じゃなくて5人で来た人たちは覚えてるけど。確かその中にこの世の者とは思えない別嬪さんがいたよ?」

「それだ!!!」


 この世の者とは思えないなんて言葉が出る美人はサニアで間違いない。

 何ということか、カルドラたちはこの町では"5人"で行動していたのだ。3人組として情報収集していたために情報がすり抜けていたのだ。


「その人たちの特徴聞いても良い?」

「えーと、まず別嬪さんでしょ? それと姉妹みたいな神官様が2人、大柄の男と普通の男が1人ずつだったかな?」

「なるほどなるほど」


 おそらく姉妹みたいな神官の片方がアイーシャ、普通の男がカルドラである。


(よし! もう一回聞き取りのやり直しだ!)


「おばちゃんありがと! すごく助かったよ! じゃーね!」

「はいよー、転ばないようにねー」


 情報をくれたおばちゃんにお礼を言い、リィナはさっき回った店に再び突撃していった。




(んー、どういうこと???)


 浴場でまったりしながらリィナは考える。

 日が傾くまで情報収集に走り回り、すり抜けていた情報が網に掛かり始めたまでは良かったのだが、今度は予期していなかったいろんな情報が掛かり始め困惑しているのだ。


(5人じゃなくて7人? 神官は3人? 魔法使いが2人? 騎士が同行? あー…わけわかんない…)


 ぐで~っとお湯に沈むリィナ。


(教会で飲み食いして大騒ぎしてたって話もあるし…、いや、さすがにそれはダメでしょ)


 仕入れた情報に突っ込みを入れる。教会で大騒ぎだなんて神官が許すはずがない。きっとこれはガセネタだ。


(ぎりぎり宿も取れたし…、今日はすぐ寝て、また明日情報収集だね~…)


 ぷーと空気を吐き出し、ブクブクと音を立てる。


(少なくともカル兄たちがこの町に居たことは確実。明日は…、カル兄たちが…どこへ向かったのかを…、……)

「すー…、すー…」


 お湯の気持ちよさに負け、可愛らしい寝息を立て始めるリィナ。しかし口はお湯の中、鼻がギリギリ水面付近というとんでもなく危険な状態だ。

 結局その後すぐに常連客に叩き起こされ、軽くお説教されて宿に向かうのだった。

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