酒場でカルドラいじり
くぃ
「……、うん…予想通りここのミードはうめぇな。初日から飲んどけば良かった」
「ダンテ…、まだ明るいぞ…?」
女性陣が浴場でのんびりしていた同時刻、男性陣は"酒場"で食事をしていた。
この町の特産品が"はちみつ"だと知ったダンテは"酒飲みの勘"が働き、居ても立っても居られず酒場に行きたいと言い出したのだ。
特に断る理由も無かったアルスとカルドラは一緒に酒場に入り、そしてダンテは席に着くや否やすぐにミードを注文。
現在カルドラの突っ込みを受けつつ、口いっぱいに広がるミードの芳醇な香りを満足気に味わっている。
「さすがに"今は"この1杯だけにしとくよ。晩酌前に眠くなっちまうからな」
「…当然のように夜も飲む気なんだな。さすがだよ」
「へ、照れるぜ」
「褒めてねぇよ?」
美味しいミードを飲めて上機嫌なのかテンションがおかしいダンテ。
呆れるカルドラの横でアルスはいつも通りニコニコしている。
「ふふふ、やっぱりカルと飲むとダンテは楽しそうだね。副団長が見たら嫉妬するよ?」
「ほっとけほっとけ。あの人は酒を水と勘違いしてやがる。俺は"じっくり"味わいたいんだよ」
ダンテはそう言うとミードを少しだけ口に含み、口全体で香りを楽しんでいた。
話を聞く限りその"副団長"というのは相当な酒豪なのだろうか。酒を水の様に飲む副団長と、じっくりと味わうダンテ。酒飲みにもいろいろなタイプがいるらしい。
そんなダンテを眺めつつ、カルドラは注文した料理が来るまでの繋ぎで頼んでおいた水を口に含む。朝から町を歩き回ったので喉が渇いていたのだ。
口に入れた水が口内を潤し、ゆっくりと胃へ滑り落ち、身体に染み渡っていく。
水への感謝を感じ、二口目を口に含む。
「そういやカルよ、いつからアイーシャと付き合ってたんだ?」
「ぶーーーーー!!!」
口に含んだ水を盛大に吹き出してしまった。
「おやおや、大丈夫かい?」
アルスは笑顔のまま言葉だけで心配してくる。
「げほっ、あぁ…すまんアルス。ダンテ! お前どこからそんな変な情報持ってきた!? おれとアイーシャはそんなんじゃないぞ!」
一応アルスに礼を言い、すぐにダンテに情報の出所を聞き出そうとする。
しかし完全に予想外の返事が返ってきた。
「は? 昨日抱き合ってたじゃねぇか。あれで付き合ってないとかどんな冗談だ?」
「そうだね。あの熱い抱擁はお互いの信頼関係があって初めて成立するものだ。嘘は良くない」
「お前ら見てたのかよ!??? ていうか嘘じゃねぇよ!? 何冷静に分析してるんだ!」
あの現場を見られていたという事実と、抱擁を冷静に分析されるという謎の羞恥にカルドラの顔が真っ赤になる。
そしてカルドラの様子を見てアルスが首を傾げる。
「ほんとに付き合ってないのかい? アイーシャのことは女性としては見てないと?」
「………おれとアイーシャは、何て言うのかな…、"魂の家族"…みたいな感じなんだよ」
「なんだそれ?」
少し考えたカルドラの口から出た抽象的な表現にダンテが首を傾げる。
「似てるんだよ、行動原理の根っことか、最初にお互いを信じた理由とかがさ。そういうのが積み重なって、今はもうアイーシャはおれにとって掛け替えのない存在になってる。これは好きとか嫌いとかじゃないんだよ。……………可愛らしいとは思うけど(ぼそ…)」
途中まで真剣に聞いていたアルスとダンテ。カルドラが最後にぼそっと言った一言を聞き、揃ってニマニマし出す。
「すまなかったカル。僕らが口を出すことではないようだ」
「あぁ悪かった。俺たちは静かに見守ることにする」
「お前ら…、ほんとに悪いと思ってるか?」




