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4.新生活

4.新生活 


 ビル建築で忙しい事務長を置いて南の海岸へ丸1日かけて移動、今は防風林手前の丘にログハウスを何軒も建築中だ。それでもハッカクさんとターレムさんが護衛も兼ねて同行してくれたのは有り難い。俺が会話したことがある数少ない人が一緒にいてくれるというのは、何とも心強い。


 取り敢えず数百人規模にはしたいから、集会所みたいなところも作ってもらうよう、お願いしておいた。


 水は……河口付近では汽水に近くしょっぱいので、飲用には不向きだ。井戸を掘っても恐らく海水に近いはずだから、もう少し上流から給水管で水を引っ張ってくることにした。この辺りも堤防チームなので、そつなく完璧に行ってくれた。


 取り敢えず川の水は大きめの砂利→小さめの砂利→砂→布を用いた物理ろ過(こちらの世界で行う一般的な浄水手順のようだ)を行い、生水は絶対飲まずに沸かしてから飲むよう伝えた。



 ログハウスが出来る度に移住者が入居して行ってくれるのは、ロスがなく大変にありがたいことだ。1ヶ月も経たないうちに20戸、20家族が転居してきてくれている。まあ、まだまだ少ないが、それでも漁業は始められる人数となった。


 着いた当初は雨が多くて参ったのだが、建築現場では僧兵が物理結界を張って雨風の侵入を防ぐ簡易ドームみたいなものを出現させ、滞りなく予定通りにログハウスは完成した。半月ほどの雨の後、晴れ間が多くなり暑くなってきたところを見ると、日本の梅雨から夏になる季節と言ったところか。


 魔導士にお願いして蜘蛛の糸魔法で糸を大量に生産し、それを編んで幅20mで長さが2キロの巨大な地引網を作成してもらっている。重しは海岸で拾った小石などをひもで底辺側に結び付けて行くので、仮にそれがほどけて落ちたとしても、環境被害にはなりにくいはずだ。浮きは環境にやさしい木片を使用している。


 5人乗りの手漕ぎボートが完成したので地引網を積み、海岸から出発して沖合1キロ地点でUターンして戻ってくる。それから総勢50人がかりで長綱の両端を力の限り引き続けるのだ……。


 最初は軽かったのだがすぐに重くなり、腰を入れて引かねばなかなか動かない……それでも何とか頑張って引き上げてみると……なんと網びっしりに大型魚からエビやらカニやら大漁だった。


 こちらだけでは処理しきれない為、すぐに装甲車を呼び寄せ堤防の住居ビル建築チームへお裾分けし、更に氷結魔法を魔導士にかけてもらって、マグロやタイにヒラメ、伊勢海老など高級魚を冷凍して荷馬車に積んで、王都へと送り出した。これ1回で川の漁の一年分の収穫だ……とか皆騒いでいた。


 まあ……手つかずの漁場で、最初だからだと……皆にあらぬ期待を抱かせぬようくぎを刺しておいた。


 網の目は結構大きめで作ってもらっていたので、稚魚などは掛からないつもりだったのだが、それでも巻き終わりの海岸付近の稚魚などは、他の大きな魚と一緒に包み込まれるように掛かっていた。


 今後は素早く見極めて、生きているうちに逃がすよう引き上げ直後の手順も定めた。また、ウミガメやイルカなどは逃がすようルール作りも必要だ。どうして駄目なのかとも詰め寄られたのだが、マグロにカツオにタイやヒラメやカレイなど……おいしい魚で十分で敢えて食べる必要性は感じないだろ?として置いた。


 フグに関しては猛毒を持っている種類が多いので、決して食用としないようにと念を押した。もしかすると解毒魔法で食用転嫁が可能かもしれないが、事務長が来てから相談することにする。


 2時間ほどかかって網から魚を取りほどいた後、更に網にひっかかっている海藻やヒトデなどを取り外すのに半日以上かかった。翌日は切れたり目がずれたりした編み目を修復し、二日後に2度目の漁を行った。


 最初はあまり乗り気ではなかった川の漁師たちも、一度目の収穫で目覚めたのか、予備の網も作り始め毎日漁をすると言い出した。流石に毎日だと資源が枯渇するかも知れないので、当面は収穫を見定めながら、頻度を決めることにした。


 2度目の漁も大漁となり喜んでいたところ、何と座席を外した装甲車……簡単に言えば貨物車が送られてきた。魔導士と運転手が2人ずつ乗車していて、交代で昼夜問わず運転すれば橋も落とし穴も修復済みのため、王都迄2日かからずに到着するらしい。


 旧国境駅で初回の収穫である荷馬車に積んだ冷凍魚を、定期運航の装甲バスに詰め替えて王都まで送り届ける様手配したのだが、どうせならと気を利かせて直接送りこんできたようだ。

 魔法で凍らせた氷と一緒に運べば、冷凍しなくても鮮魚のままで届けられるようだ。


 一昨日水揚げした魚に塩を振って保存しておいたのがまだあるので、今回の水揚げは全て王都あてに送った。次回以降の貨物車に、前回分の魚の代金が乗って戻ってくるらしい。


 とはいえ戦後の復興中の事情から自由経済は回復していないので、王都の役人たちが決めた相場での賃金でしかないのだが、それでもこちらでの住居は無償で支給されているし、日々の食事も配給されているため、不服を申し立てるものはいなかった。


「あの……」

「如何しました?」

 ふと疑問を感じたので、ハッカクさんに問いかけてみる。


「昨日も……今日も……ですけど……地引網を引いて大量の魚を網から外している時……小さな魚は食用には向かないからと、まだ元気なら海へ戻すようお願いしましたが、大半は死にかけで仕方がないからそのまま放置……していたようですけど、今は放置した小魚はどこにもありませんですよね?


 海鳥がやってきて全部持っていったのでしょうかね?」


 そう……昨日まであれほど海岸線を賑わせていた不要な海藻類や小魚が、一つも見当たらないのだ。いちいち片付けている人がいるのであれば申し訳ないから、俺も手伝う事にしようと思う。


「ああ……あれは恐らく、浮浪児たちが持って帰って、住処で調理して食べるのでしょう。」

「ふっ……浮浪児……ですか?」


「はあ……戦争孤児……ですよね。魔王軍侵攻の際に旧国境沿いでは多大な犠牲者が出ましたが、その時はまだ疎開前だったので親を失った孤児たちの一部は行き場を失い、そのまま残っていたようです。戦後の復興で穀倉地帯がエルムグリムに戻ったこともあって、孤児たちもこちらへ進出してきているのでしょう。


 ここへ来た時にも砂浜に何か落ちていないか探している、多くの子供たちを見かけましたよ。


 海岸へ来れば貝など拾って食べられるかもしれないと考えてやって来ていたのでしょうが、丁度我々の地引網漁に出会ったので、これ幸いと残していった小魚を持ち帰ったのだと思いますよ。大丈夫です……勇者殿が危険だといっていたフグ類は全て海に捨てましたから……小魚は大きさの割に骨が多く食べてもうまくないだけで危険はありません。」


 ハッカクさんがいわゆる戦争孤児たちが、近くにいることを教えてくれた。


「ええっ?その孤児たちは、誰の保護も受けずに自分たちだけで暮らしているのでしょうか?」


「はあ……恐らくそうだと思いますよ……特に我々も指示を受けていませんから……。今は侵攻前に強制的に疎開させて破壊した各地の町の建物を復興させるのに手いっぱいで、戦争孤児にまでは手が回りませんよ。戦争が終わってしまうと疎開先の仮設住宅での生活は居心地が悪いと、苦情が多いようですからね。


 すぐにでも街を復興させて元の地に戻してやらないと、大きな騒動になってしまいかねません。だから事務長さんたち、復興チームは今猛烈に忙しいはずですよ。それでも勇者殿の提案で、新たな建築資材が出来て高いビル建築が出来るようになったのは有り難いと、工房の工員たちが喜んでいましたね。


 いずれはここも何千人もが暮す漁村になるのでしょうから……新たな移住先が出来るのは大変ありがたいですよね。」


 そうか……現状の復興計画では戦争孤児などにはまだ構っていられないという事か……手一杯だからな。


 よく考えてみたらメリアンちゃんたち姉妹だって、いわば戦災孤児たちなのだ。両親を戦災で亡くし、その仇を討つためにメリアンちゃんは頑張って王城まで行って、女性は兵になれないにもかかわらず、従軍することを志願したのだからな。手が足りないこともあって、見張り役として採用されたのだった。


 それがなければ彼女たちだって……頼れる親戚もいないわけだから、行く当てもなく彷徨ってひたすら食べ物を探していたのかもしれない……ううむ……何とかしてやらねば……。


「で……でしたら……すいませんが共同住居用のログハウス……男の子用と女の子用の大広間二部屋だけでいいですから、2,30人が暮らせる大きめのログハウスを2,3軒作っていただけませんか?


 そこに子供たちを住まわせてやれば……何も廃棄同然の小魚を拾って食べなくても済みますよね?何だったら、地引網から最後に不要な小魚やヒトデや海藻を外す手伝いをさせてやれば……仕事を与えてやれば食事だって賄いで出してやれますよね?噂が広まれば近郊から戦争孤児たちが集まってくるかもしれない……。」


 細い蜘蛛糸網に絡んだ不要な海藻やヒトデらを、網を傷めずに慎重に手作業で外していくのは結構大変だったからな……子供らに仕事として手伝って頂けばいいわけだ……。


「ああ……成程……漁師らの負担も軽減されますからね……建築資材は……まだ少し余裕がありますから、集会所を作る予定だった場所に先行して子供らの共同住居を建築してみましょうか。ログハウスだから2日もあれば出来ますよ……それまでは仮設のテントを張って、そこに寝泊まりしてもらいましょうかね。


 恐らく今は……海岸線の先の岩場にある洞窟か何かで雨風を凌いでいるはずですから、見つけてきてこちらへ住まわせましょう。」

 早速ハッカクさんがログハウス建築の指揮を執り、ターレムさんが子供たちを探しに行ってくれた。



 地引網だけではなく、はえ縄漁や底引き網漁、仕掛け網などの漁も沖合で展開したいので、大型船の建造もお願いした。この辺の漁法も俺は詳しいわけではなく、小中の社会科で学習した知識程度だが、それでも川とはいえ漁師に話すと何とか理解してくれて、それぞれに適用する網の形状など考えてくれた。


 海岸線も全てが遠浅の砂浜ではなく、東側は50mも進むとすぐに深くなっているようで、いずれはそこに防波堤を設置して港にしようと計画を立てた。


 さらに二日後の5日目にもう一度地引網をしたところ、入りが良くなく3日目の半分も水揚げがなかった。入りが良くなくても引く網の重さに変わりはなく、1日置きの重労働は辛いという話も出て来た。不要な小魚らを外す作業は、戦争孤児の子供らに任せることにしておいてよかった……危うく不満が爆発するところだ。


 王都から戻ってきた初日の水揚げの賃金がかなりよかったようで、20戸の漁師家族と協力した我々兵士にも給金が出たが結構な収入な様子で、頻度を上げて水揚げが落ちるくらいなら週一の地引網でいいという事になった。それでも十分生活には困らないらしい。(ちなみに俺の給金は事務長が管理しているので、どれくらい凄いのか分からない)


 いい漁場だ……だが……まだまだ漁師は移住してくるのだ。取り敢えず30戸分くらいの収入は見込めたのは有り難い。(勿論今回の水揚げ分から、戦争孤児らへも分け前が分配されることにした。)


 そうこうしているうちにも移住者は増え続け、砂浜や浅瀬を熊手でかいてアサリやハマグリなどの貝類を収穫する漁師も斡旋してみた。戦争孤児はもとより力のない漁師の妻や子供たちには、砂浜を歩いて打ちあがった昆布やわかめなど新鮮なものを選別して浜で乾燥させ、乾物として収入を得ることを提案すると、そのうちに素潜りで、浅瀬の海藻やエビやカニなどを収穫するようになっていった。勿論ウニも食用だと教えておいた。


 昆布でだしをとったりすることは王都でも王宮料理など贅沢品と言われているようで、当初はかなりの高額で引き取ってもらえたが、すぐに値は落ちた。それでも一定の収入を得る方法にはなりそうだ。


 わかめのサラダなど栄養価が高いことも宣伝し、貝類はスープなどに調理すると美味であると付け加えて王都へ送り届けた。そのうちに当初20人ほどだった戦争孤児らが少しずつ増え続け、既に50人近く……それまで辛い目に相当あっていたようで、やせ細った体でどうにか歩いてきたような子供もいた。


 永く海のない生活を強いられ、海産物は貴重品で高級なものであり、調理方法などとうに廃れているようだったが、それでも魚は煮たり焼いたりして食べることはすぐに考えついたようで、海藻類や貝類は調理法を提案することで出回って行く手ごたえを感じた。



 週一の地引網漁は持ち回りの交代制で行い、網の補修などが済んだら貝や海藻などを採取して稼ぐことで、移住してきた百戸程度は安定収入が得られる見込みとなった。アサリやハマグリなど季節ものだし、潮干狩りだけでは心もとないので、少し沖で潜ってホタテやカキなど収穫し、これらを養殖しようと提案した。


 勿論どうやるのかは俺は分からない……何とかして稚貝を手に入れそれを海の枠に吊るしたロープで養殖するのだという事は、昔なんかの特集で見た記憶がある程度だ。もしかしたらいい漁場だったら、稚貝は勝手にくっついてくれるのだったか?その辺りの実験は……悩んでいたら事務長が手が空いたとかでやってきてくれたので、こんな感じの印象でした……とか説明して後は丸投げ……。


 そう言えば海苔などは竹箒みたいなのに勝手に引っかかって増えるのではなかったかなと思い出し、ノリの養殖も提案しておいた。だが……時期的にはもう遅いのかな?寒い時期から春先だったように記憶しているからな……まあでも……来年行う手順を今から考えておいてもいいさ。


 漁村を作るためにこの地へ来てから早2ヶ月も経過していた……毎日毎日目まぐるしく回ったから、随分と早かった。今回初めて事務長以外の人に俺の提案を聞いてもらい理解して、実現していただけたのは大きな収穫だった。まあ……1人じゃ恐いので、ハッカクさんかターレムさんが同行してくれたのは大変ありがたかったのだが、大した成長だと思う……漁師に漁の提案だからな……まあ通じるわな……それでもいいのだ……。


 事務長とともに他の技術者も来てくれたので、早速東側の浜辺に防波堤を設置するようお願いする。地引網漁をするので砂浜は潰せないからあまり大きな港にはできないが、それでも海の深さは十分あるので大型船の停泊だって出来そうだ。大船団は無理でも、そこそこの港は可能だろう。


 ついでに灯台も作っていただく。油の炎の光を銅鏡で反射するため灯台守は必須だが、それでも遠洋漁業を行うなら必要なものだ。暗くなったら帰港できないというのは困るからな。



 それから1ヶ月かけて事務長とともに、ホタテやカキなどを養殖するための実験施設を作り上げた。河口付近の汽水域含め、砂浜近くや少し沖合など深度別に竹ざさで作った棚を設置し、そこに寄ってくる稚貝などを収集することにした。


 すぐにエビの幼生や魚の稚魚なども収穫できたため、事務長がそれらを実験室で生育させて生態を調べるという事になった。稚貝も含めて生態研究することで、養殖技術を確立するらしい。


 研究室での作業含めて計2百戸分の漁業就労者の仕事を割り当て、以降の移住者用に大型船の建造を進めることとした。村には小学校を建築し戦争孤児らも就学できるよう体制を整え、中学以降は当面堤防の寮に入ってもらうことにした。


「戦争孤児?ふうむ……確かにな……こっちへきてやたらに子供らが多いと感じていたのだが……彼らの大半は戦火で親を失った孤児らという事か……彼らのための共同住居のログハウスを建築し、それなりの仕事を与えて自立させているという事か……それはいい考えだな。


 恐らく廃墟と化した他の町でも、瓦礫の中で暮らしている戦争孤児らは多くいるのであろうな……だが……今は町々の復興が最優先で、そこまでの余裕はないだろうな……予算をつけるのも難しいだろうからな。


 だが……ここは海岸で漁村を作っているからそれなりに子供でもできる雑用があるが、他の都市ではそうはいかんぞ。ふうむ……弱ったな……。」


 未だに各地に多くいるはずの戦争孤児らをどうするのか事務長に相談したら、腕組みして考え始めてしまった。やはりな……今はまずは町々を復興させて、疎開させた人々を戻すことが最優先だからな……。


「だったら……俺の勇者の収入を使ってください……今のところ特に欲しいものもないし、小遣いもいりませんから、その金で……小さくてもいいから彼らが住める場所を提供してやりたいのですが……。」


 勇者としての給金は王宮から支給されているはずで、事務長に任せっぱなしだからどれくらいの金額か分からないが、今の俺にはそれくらいしかできることはない。


「ああ……そうだな……あたしも工房の事務長の給金のほかに賢者としての手当てが振り込まれているから……そちらも足して各地に養護施設を作ってみるか……街並みを作るよりも先に必要な最優先事項のようだからな……建物さえ作ってしまえば、後は寄付を募れば運営は可能だろう。


 よし……今は廃墟と化した各都市の状況確認で工員らを派遣しているから、まずは養護施設の建築に取り掛かるようお願いしてみよう。なあに……空き時間を使ってうまくやってくれるはずだ。」


 事務長も協力して、各地に養護施設を作ってくれる運びとなった。よかった……事務長たちは基礎工事の養生期間が終了する迄1ヶ月ほどして帰って行き、また寂しい生活に逆戻り。



 事務長が帰る寸前になって、地引網に見慣れた魚がかかるようになった。なんと……鮭だ……俺も現物を見るのは初めてだが、良く年末のセールの中継とかで新巻鮭……などが丸ごと映ったりしていたので、形くらいは知っている。


 オスもメスもそれなりの数入っていて、メスは卵を抱えていた……いくらだ……ふと思い立ち事務長と漁師さん代表を誘い、旧国境側の大河の方が近かったので少し上流へ移動し、そこで投網を使って鮭のメスとオスを捕まえてもらった。やはり鮭はこの川を遡上しているようだ。


 すぐに事務長に、メスの腹を裂いてオスの精子をかけて受精させてふ化させ、稚魚をある程度育ててから放流しすれば、大量の鮭が数年後に川に戻ってくることを教えた。


 事務長が試行錯誤すること1週間……その間犠牲になった親鮭は数十匹居たのだが、ようやくメスの腹から魚卵を完全な形で取り出す方法と、オスに人為的に射精させる手順を確立させた。


 すぐさま河川敷に穴を掘り、川から水が流れてくるよう溝も作って途中に目の細かい網でフィルターとし、その穴に受精させた卵を入れた。後は僧兵に物理結界を上方に張ってもらい、鳥などに食べられないようにして、ふ化の様子と稚魚の成長の様子を漁師たちに交代で観察するようお願いしていた。



 鮭の卵は半分程度はふ化したのだが、稚魚になってからすぐに全滅してしまった。エサが何かわからないし、どうやって育てればいいのか漁師たちも分からなかったそうだ。事務長が来年はふ化の時から実験施設を作って行い、稚魚の成育環境も餌や水温など研究すると言っていた。


 まあ……まだ漁獲資源がどうこう言う時ではないからな……数年かけて貝やエビの養殖と、鮭の放流を実現化させればいいさ。


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