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23.復興のための秘策

23.復興のための秘策


「そうですね……勇者殿……ご明察でございます。


 今回……バンターレ商会の背任行為などを明らかにし、兌換された金塊もすべて回収できました。金塊に相当する貨幣は全て国庫に保管されており、バンターレ商会は背任行為の他に奴隷問題でも訴追され財産は没収となるはずで、国庫に保管されていた貨幣を払い出す必要性はなくなりました。


 よって……それらをすべて廃棄することにより、理論上は物価水準をエルムグリムと同等に戻すことは可能となったのです。ですが……200年以上かけて徐々に進行してきた信用不安を、一瞬で拭い去るのは困難極まります。下手をすると金融危機となりかねません。


 なので……徐々に……徐々に……今のところの素案では、老朽化による交換用の貨幣の発行を当面行わず、国庫に保管されている貨幣を代わりに少しずつ市場に出回らせる……そうして少しずつ物価を下げていく……と言った方針が検討されております。


 恐らく50年から百年かけて、物価水準を正常に戻していく……やがてはエルムグリム並み……となるでしょうが、その時は恐らくエルムグリムの所得水準も上がっていて、豊かさは同程度になるのでしょう。


 お手元の資料には、素案を基にした場合の物価水準と所得水準をグラフ化しております。」


 テルナティが、俺の目の前に置いてある資料と同じものを掲げて、ページを繰ってグラフを指さして見せた。

 と言われても……俺にはさっぱり……だが……資料があるからあとで事務長に見てもらおう……。


「分かりました……取り敢えず現状のまま……と、いう事ですね?まあ……所得が倍で物価も倍……エルムグリムと差はなさそうだから、下手に無理する必要性はないと考えます。念のために事務長さんには資料を精査していただきますけど……結論はそれからという事でお願いいたします。


 それで……気になっているのは、バンターレ商会のその後……なんですが……タッタルンの各主要都市や街道沿いに支店がたくさんあるんでしたよね?だったら社員がまだまだ多数いるはずですけど……彼らはどうなってますか?全員逮捕されましたか?」


 金塊の件はとりあえずいいとして……気になることを確認しておく。


「ああ……そうですねえ……バンターレ商会は……普段……と言いますか……表の顔は商社ですので……普通の会社なのです。その中の非合法部隊……暗殺軍団や、サリフランやサーベリアン含め、他の大陸との交易をおこなっていた部門……この辺りが犯罪に関わっていたようですね。


 ですがそのほとんどが養護院での戦闘で死んでしまったか、あるいは商船に乗船していて拿捕されたはずです。残りの支店に残された社員らは、裏の顔すら知らない一般社員とみなされております。まあ……念のために素性や勤務内容を調べておりますが……ほぼ問題ないようです。


 本社の地下に奴隷として使役されていたバンターらにもお願いして、面通しをしておりますが今のところは関係者は出てきておりません。


 タッタルン王宮にも深く入り込んでいる上に、タッタルン全国に展開されている大商社ですので……社長及び会長は犯罪者として捕らえられましたが、閉鎖してしまうと経済活動に支障をきたす恐れがある為、商社部門は当面の間継続営業とし、いずれは半国営のような形で社名を変更して存続させる予定をしております。」


 テルナティが配布資料の別ページの、支社名と取引先が羅列されている部分を指さし説明する。表の右欄は取引金額のようで……どの会社も取引金額は桁数が多く莫大なもののようだ。確かに……こんな会社が一瞬で消えてしまったなら大ごとなのだろうな……。


「商社の件は了解いたしました。まあ……この件も事務長さんに確認していただいてから……となりますけどね。では……次こそタッタルンの再開発に関することですが……」


 俺一人の判断では決められないので、だったらなぜいま報告させるのだ?と詰め寄られても困ってしまう……事務長に確認しておけと言われたもので……とは言えないからな……取り敢えず謝っておく。


「鉄道……エルムグリムの幹線交通ですけど……大きな機関車が貨車を引いて……大型馬車の何十倍もの人を、何倍もの速さで各地に送り届ける交通手段で、ハーゲル暫定王さまは開通式にいらっしゃったから、ご存知ですよね?それを……タッタルンでも主要交通としたいと考えております。


 鉄道の線路敷設と車両費用はエルムグリムが受け持つつもりで、既に王様と元老院議会の承認を受けております。当面の間……乗車運賃の利益はエルムグリムのものとなりますが、投資費用が回収でき次第、タッタルン国営と言う形になります。


 それで……ですね……線路を敷くための用地を確保したいのですが……今考えているのは、エルムグリム国境からタッタルン王宮まで一直線に伸びる主要幹線道路……この中央の2車線を、線路用地として確保してよろしいでしょうか?1車線が馬車2台すれ違えるくらいに広いですからね……駅舎も建設できますし、馬車は外側の1車線を使えば、上りも下りも通行できます。


 交差路に関しては……手動の踏切をつけるという事で……エルムグリムもそうしているのですが、交差点にいる交通整理の警官に、列車が来た時に踏切の遮断機を下ろしてもらうことになります。


 鉄道線路用地に関しましては、街道を利用させていただくという事で……無償借款と言った形式になるそうで……よろしいでしょうか?有償契約するとなると、費用がそのまま列車運賃に上乗せされる形になるので、それでは意味がないため無償でお願いいたします。用地の件と無償の件……よろしいでしょうか?」


 まずは最重要事項……タッタルン再生の最大事業……鉄道敷設のための足掛かりを成しておく。特に用地の件と無償貸借とやらの件は、事務長に必ず確認して了承を得ておくようにと、念を押して命じられた事だ。


「鉄道ですか……あれはよろしいですね……私も開業式の日には試乗できなかったので、後日お忍びで行って王都から旧国境まで乗車してみましたらなんと……以前は馬車で馬を変えて丸一昼夜以上……馬のことを考えると、2日から3日はかかっていた距離が、おおよそ数時間で到着。楽々日帰りが出来ました。


 あのような高速輸送の手段が、タッタルンの主要街道を走行いただけるのは大変ありがたい……勿論無償で利用してください……いずれは国営となるわけですからね……。」


 ハーゲル暫定王は笑顔で了承してくれた。ようし……今日の俺のお役目はほぼ終了した……


 それにしても……お忍びでエルムグリムへやってきていたのか?まあなあ……当時はまだ友好国扱いだったから、通関も危険なものや違法なものさえ持っていなければ、さほど難しくなく通過できたのだろうな。


 今は……どうかと言うと?1時期は国交断絶に近い状態まで関係は最悪な状態であったが、タッタルン王が捕らえられてからは、友好国としての信用が戻って来た。なんせ勇者である俺と事務長がタッタルン復興のために、出張してきているのだからな……さあて……。


「ありがとうございます……それでは鉄道敷設の件……進めさせていただきます。

 それでその……非常に言いにくい話ではあるのですが……あと一つ……重要なお話がございます。」


「うん?なんでしたでしょうか?どんな案件でも、勇者様、賢者殿のご指導の下……進めて参る所存でございますがね?」


 いよいよだ……あまり気が進まない話をせねばならない……恐らくハーゲル暫定王もテルナティさんも、まさかこんな話をされるとは思っていないだろうからな……気が進まないのだが……事務長には旨く切り出せそうだったら、匂わす程度だけでもいいから伝えておいてくれ……と、両手を合わせて懇願されたのだ。


「えーと……ですね……俺にはこのことがどういった意味を成すのか全く分からないのですが、事務長さんから話しておくよう言われたことを、言葉通りにそのままお伝えしますね?」


 急いで簡易甲冑の懐から、日本語でしたためた書類を取り出す。エルムグリム語も読み書きできるまでにはなったつもりだが、やはり重要案件は伝え間違うと誤解が生じ、大変なことになるので日本語で話して翻訳魔法を使うのだ。


「現状のタッタルンは国民の平均所得がエルムグリムのおおよそ2倍であり、その上消費者物価もエルムグリムの2倍である。豊かさの均衡は取られているように見えるのだが、内容は大きく異なる。


 元々はタッタルンの一部商社が無理やり貨幣を兌換して、国庫保有すべき金塊を違法に取得したことに始まり、造幣局が貨幣を2倍ほども発行したことが原因となっている。


 それでもタッタルン王家が所有する財産で兌換保証はされていたのだが……タッタルン王の背任行為等で戦争責任を追及され、王家の財産は全て損害賠償金として使われてしまった。


 現行のタッタルン造幣局発行通貨総額は、国庫が取り戻した金塊の約2倍にあたる……市場に出回っている分はその半分ほどだが、発行総額自体は公表されているので、計算上は2倍となる。


 その影響で所得も物価もエルムグリムの約2倍となっていることは、おおよそ見当はずれの推測とは言えない。おかげで鉄道敷設など公共事業に関わる工事代金を見積もると、わざわざエルムグリムから材料輸入して、エルムグリムの作業者が出張してきて工事したほうが、僅かだが安く見積もれてしまう事態となっている。


 そのような異常事態を打破しなければ、真のタッタルン復興など望めない……と、いう事なんですけど。」

 取り敢えず事務長から言付かったことを、一言一句たがわずに発表する。


「はあ……確かにタッタルン貨幣の発行総額は保有金塊の約2倍……ですがやはり……現状国庫に保有してある貨幣をすべて廃棄してしまうのは危険かと……大騒動となって今度は貨幣価値が急上昇して、物価が大幅下落してしまう危険性があります。そうなると企業倒産が相次ぎ、大規模な不況が……。


 そのため徐々に自然劣化分を、それに当てるのがよろしいかと……。」


 俺の発表に対してすかさずテルナティが、反論を行う……この辺りは事務長から何度も説明してもらった問答集に答えがある……核心をついてきているので話が進めやすくて助かるぅー……


「そうですね……逆にここでタッタルン国庫の金塊保有率が、全発行通貨の半分しかないと大々的に公表してしまえば、貨幣価値は大きく下落して半分どころか下手すると信用不安から尾ひれがついて、鼻紙くらいになってしまうかも知れないそうです。


 そうなると少なからずエルムグリム経済にも影響が出るはずなので、そのような事態は絶対に避けなければならないそうです。


 ですが実際の市場では通貨の信用は半分に落ちていて、物価はエルムグリムの2倍……つまり市場での金の価格はエルムグリムの2倍になっているのです。それでも強気のタッタルン王は王家の財産を保証に充ててエルムグリムとタッタルン通貨の兌換率は同等としていました。


 現状では……市場で購入する半額でタッタルンの国庫の金は兌換できるわけです……実際には個人の兌換は法律で禁じられているのですが、その点をついてバンターレ商会は膨大な金塊を取得したわけですね。


 ところが今は保証するだけの金の保有量はなくなってしまった……ではどうするか?」


 ゆっくりとハーゲル暫定王からテルナティへと視線を動かしていく……二人ともに真顔で小さく横に首を振る……全く分からないといった表情だ。


「そこで……兌換貨幣に代わる新たな通貨制度……変動相場制の導入です。」


『変動相場制……?』

 二人そろって……どこから発しているのか分からないくらいに高音の声で……更に首をひねる。


 タッタルン通貨は兌換通貨と聞いて……事務長から来た当初に得々と説明して頂いたのだ。その時に……元の世界では確か……ドル高だの円安だのと……日々通貨の価値が変わっていたと打ち明けた。確か変動相場制とかで……社会の授業で習ったぞ……と……俺の知っている限りの知識を説明した。


 すると事務長はこの世界の経済学者とやらの書物を集めて読み漁り、その辺りの知識を蒐集しまくったようだ。そうしてたどり着いた結論が……変動相場制の導入……


「毎日各国通貨の取引……例えば俺がエルムグリムの通貨が欲しいと言って購入希望を出すと、だったら売りましょうと、この金額ならいいですよ……と、エルムグリムの通貨を持っている人がタッタルン通貨での値段を告げます。いやあその金額じゃあ……とても買えないよ……となると、他に売りに出されるのを待つことになります。そうやって……各国の通貨の価値を決めていくわけです。確か為替レートとか言ってました。」


 まずは簡単に……俺が分かっている範囲で説明しておく。


「どうして各国の通貨が欲しくなるのですか?エルムグリムの通貨が欲しいという事は、エルムグリム国民ですよね?だったら……タッタルン通貨で買わなくてもエルムグリムで働けば得られるではないですか?」


 ハーゲル暫定王がもっともな疑問を呈する……この辺りは俺でも答えられるぞ……


「エルムグリム国民ではなくタッタルン国民だったらどうなります?例えば輸入業者とかで……エルムグリムから反物を大量に輸入したい……だけど手持ちにエルムグリムの通貨がない……だから欲しい……。


 今現状は輸出入に際する支払いは、主に物々交換……で行われておりますね?しかし対価となる交換物がない……不均衡貿易と言って、片方の国の輸出量が圧倒的に多くて対価物が得られない場合……戦前のエルムグリムがタッタルンに対して行っていた交易は正にそれにあたるそうですが、その場合は政府の承認を頂いて、金貨での支払いが用いられました。


 国と国との公的な輸出入に限っては各国通貨で行われますが……現状は兌換通貨なので、後でいつでも金に交換できるので実質金と言っても差し支えない。


 タッタルン国民がエルムグリムに旅行などに出向く場合は、金貨を購入して旅先では金貨で支払うか、若しくは両替商で金貨をエルムグリムの通貨に交換してもらいますよね?逆の場合も同じですが実際の所、市場でのタッタルン貨幣の兌換率はエルムグリムの約半分であり、物価に比例しております。


 兌換貨幣なのだから本来は政府と交渉して、エルムグリムと同等の換金率で金貨に出来たはずですが……どうやらタッタルン政府はかなり昔から、一般人の資産の兌換化は行っていなかったようで、旅行などの際も市場価値で兌換するしかなかったようです。


 まあ……戦前はタッタルン国民がエルムグリムへ観光などで行きたがることもなく……取り分け観光名所や名物があるわけでもなく、食糧事情もよくなかったですからね……余り問題視されていなかったようです。


 王様を脅して不正に兌換していた一企業を除いて……ですね。


 ところが変動相場制になると……金貨は金貨で相場で購入できますが、その為替レートで通関時に現地通貨に直接交換できるようになります。輸出入に際しても同様です。いちいち金貨を経由しなくて良くなります。


 魔王国はじめ、妖精国も獣人国も兌換通貨どころか通貨自体がありません。取引は全て物々交換で、国家間の輸出入に際しては、これまではタッタルン相手の取引がその大部分であったので、魔王国は漁業権委託による漁獲を貨幣価値に計算しなおして、代わりに衣類や家具に調度品などを受け取っていました。


 獣人国や妖精国の場合は……どちらも基本的には自国生産自国消費を行っていて、唯一機織り機や紡績のための針糸に関しては輸入せざるを得ない為、反物や海産物などを過剰に輸出しタッタルンから金貨を稼ぎ、その収益で支払っておりました。どちらも広義で言えば物々交換と変わりありません。


 ですが今後国交が正常化し、タッタルンを介さずに自由に5ヶ国間で行き来や取引が行われるようになれば……そうして互いに産業を発展させていくとなると、物々交換での取引は長く続けられません。


 そこで……エルムグリムでは中古の印刷機及び造幣装置を無償で魔王国、妖精国、獣人国に貸し与え、各国で通貨を新規発行していただくよう推進中です。実際の所は装置の補修や切り替えなどの技術者が必要となる為、当面の期間装置はそのままエルムグリムが預かり、依頼を受けて各国の貨幣を造幣することになります。


 その際……兌換紙幣では各国の金塊保有率が反映されてしまう為、変動相場制を導入したいと考えます。


 勿論……国庫はある程度金塊を保有し、さらに通貨の価値保証をその国としての様々な固有資産などで保証しなければなりません。金や銀はもとより、鉄や銅にニッケルなどの鉱床や、石炭などの地下資源……あるいは広大な森林資源……加えて経済状況等を評価していくわけです。」


 現状の他国の状況も踏まえて、変動相場制の導入が最適であることをまずは説明しておく。


「成程……どの道兌換するだけの金の保有はできていないわけだから、そのことは公表せずに市場判断に任せるというわけですね?そのほうが……混乱なく、経済は成り立っていくであろうと……分かりました。」

 長い長い説明に、テルナティは納得とばかりに大きく頷いた。


「それではその……為替レートとやらは……どうなるのでしょうか?エルムグリムとタッタルンの貨幣価値は?現状の公表値は同等のはずですが……???」

 ハーゲル暫定王が、心配そうに大きく目を見開いて尋ねて来た。


「残念ですが……前タッタルン王が保証していた相場にはなりそうもありません……なぜなら、タッタルン国内でも金の相場はエルムグリムの約2倍だからです。つまり……為替レートはおおよそ2対1でエルムグリム通貨がタッタルン通貨の約2倍になるはずです。


 ですが……何度も申し上げるように、現状でもタッタルンはエルムグリムに対して平均収入が約2倍で物価も約2倍……貨幣価値が半分になって丁度なのです。政府が公表する兌換率とは大きな格差が生じてしまいますが、これが市場を反映していると言えます。


 どの道……国民は通貨を兌換することは法律で禁じられていましたから、実質タッタルン国内で生活する上でも、エルムグリムへ旅行に行ったとしても、現状とは何も変わらないのです。タッタルン国民が混乱しないように、この点については詳細に、かつ分かりやすく説明していかなければなりません。


 通貨体系が変更になるとそこに付け込んで、詐欺まがいの犯罪行為がはびこる場合があります……今後は通貨を金に交換できなくなるけど、今なら特別に金に交換できますよ。ですが少々お高く……なんて言われ、市場価格よりもはるかに高レートで金を購入させられたりとか……格安レートで金の購入を申し込んでも、払い込んだ途端に業者が雲隠れした……等と言ったトラブルが予想されるようです。



 そうならないように……1,2年間の説明期間を設け、さらに移行期間もそれなりに設けるのだそうです。


 そうして初めて……通貨の為替レートが市場に見合うと……鉄道の敷設工事でも材料や施工業者をタッタルン国内で調達できるようになるのだそうです……そうでもしなければ、タッタルン復興は十年以上先になってしまうと言ってました……長くなりましたが、ご理解いただけましたか?」


 事務長から言われた言葉を一言一句たがわず……いや……あくまでも日本語で話したのだから意味的にたがわず……と言ったところだが、俺的には完璧に伝えられたと思っている。


「成程……兌換用の準備金不足を公表するのではなく、変動相場制にすることで市場価値に適合させるという事ですね?それでも過剰分の貨幣は国庫に保管したままで市場には出しませんから、劣化の廃棄分が定期的に削られていくことにより、やがては貨幣価値が向上していく余地はあるわけです。


 とはいえ……鉄道敷設に関してエルムグリムから巨額の借款をさせて頂くようなものですから……結局のところ……エルムグリムと変わらぬ水準で維持されていくのが理想的な形となりますね。


 了解いたしました……よろしくお願いいたします。」


 テルナティも頬を緩ませ、納得したとばかりに大きく頷いて見せた。よかった……俺なんかの説明……いや……ただ単に事務長の考えを伝えただけなのだが……なんにしろ納得いただけたのは有り難い。


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