第2話:青銅の量産ラインと、リサイクルされる戦場
アサガオの大帝国(仮)の人口は、農耕の安定によってさらに爆発的に増えていた。人が増えると、コミュニティのあちこちで「あいつはサボってる」「俺のほうが頑張ってる!」と、実体のない不満を漏らすマジョリティ(バカ)が湧いてくる。まさに原始のSNS状態である。アサガオはソファー(毛皮)の上で水平をキープしたまま、冷ややかな目をしていた。「自分の精神すらコントロールできないのに、他人の私を巻き込まないでくれる?だるいから、全員に明確な『ノルマ』を割り振るよ」アサガオが目をつけたのは、外注の肉体労働者として吸収した、元・野生の室伏たちの最強の筋肉だった。「おい、お前らは山に行って、あの鈍く光る変な石(錫石)と、こっちの赤い石(銅鉱石)を死ぬ気で掘ってきな。たくさん掘れたら、今日の晩酌に美味い果実酒を上乗せしてあげるから」「うおおお!酒のために掘るぞ!!」と、山を拳で粉砕する勢いで鉱石をハントしてくる室伏部族。彼らにとってはただの重労働だが、アサガオの脳内には、現代の化学のチートマニュアルが完璧にインプットされていた。純粋な銅を溶かすには1000℃以上の超高温が必要だが、そこにスズを10%だけ混ぜると、融点降下によってわずか800℃〜900℃の「ちょっと頑張った焚き火」でドロドロに溶けるようになる。アサガオは「煙突効果のある超効率かまど」を設計し、室伏たちにうちわを全力で扇がせ、ドロドロの液体を粘土の「型」に流し込ませた。――ジュウウウウウッ……。冷えて型を割ると、そこには黄金色に輝く、人類初の金属兵器『青銅の槍と鏃』がピカピカに並んでいた。「アサガオ!これ、石の槍より重いけど、めちゃくちゃ硬いぞ!」ムロフシが青銅の剣を振り回して大興奮している。「当たり前じゃん。量産も楽だし、これでもう勝ち確だから」アサガオがこの青銅システムを最高に効率的だと判断したのは、【100%リサイクル可能】という点だった。折れても窯にポイと放り込めば、また一瞬で新品の量産ラインに戻せる。タイパもコスパもバグっている。そんな中、アサガオの帝国がユーラシア大陸の西側へと領土を拡大し始めた頃、広大な草原の向こうから、地続きの全大陸から集まった「ガチ野生の室伏広治200人」の大軍勢が攻めてきた。「アサガオ!今度は落とし穴を掘る時間がなかった!地上戦だ!」慌てる防衛部隊の男たち。だが、初代皇帝アサガオは、育てさせた果物を齧りながら、フンと鼻で笑った。「落ち着きなよ。こっちには『物理の遠心力』があるんだから」アサガオが率いるのは、毎日青銅の重いハンマーを振り回して鍛え上げられた「インテリ室伏スナイパー部隊」である。彼らは、丈夫な動物の皮紐の先端に、量産された「青銅の鏃(毒付き)」をセットし、オリンピックのハンマー投げの要領で、体を高速でターンさせた。「リリーーーーース!!!」シュバババババババババッ!!!!遠心力のバグが生み出した青銅の矢の雨は、時速150キロを超えて100メートル先まで直撃した。野生の室伏たちは、こちらのリーチに1ミリも近づくことができず、アサガオ特製の神経毒によってバタバタと麻痺して倒れていく。完璧なハメ殺しである。「ひ、ひえぇぇ……!あいつら、石じゃない光るトゲを魔法(遠心力)で飛ばしてくるぞ!」恐怖に震えながら地面にひれ伏す敵のボス。アサガオはソファー(ムロフシに毛皮をかぶせたもの)の上でスタミナを1ミリも消費しないまま、冷徹に言い放った。「これでユーラシア大陸の西側も完全防衛ね。無駄な戦いはだるいから、お前らも大人しくうちのシステムに入りな」
うちのこはたぶん転生者




