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完璧すぎて断罪された悪役令嬢、間違えることにしたら人が助かりました 〜完璧だった私が、間違いを選んだ理由〜  作者: はねださら


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第35話 それでも、選び続ける

 数日が過ぎていた。


 劇的な変化はない。


 何かが大きく変わったわけでもない。


 それでも。


「……」


 確かに。


 前とは違う。


 人の動き。


 声の数。


 迷い。


 そして。


 ――選ぶ瞬間。


「……こっちはどうする?」


「少し様子を見る」


「でも昨日は――」


「違う」


 短いやり取り。


 小さな判断。


 それが、あちこちで生まれている。


「……」


 私は、その様子を見ていた。


 特別なことはしていない。


 ただ。


 そこにいるだけ。


 それでも。


「……変わったね」


 アメリアが、隣で言う。


 少しだけ、笑いながら。


「ええ」


 私は頷く。


「少しだけ」


 それで十分だ。


 今は。


「……」


 医療の場に入る。


 ルカは、座っていた。


 まだ不安定だが。


 自分で体を起こしている。


「……リリアーナ」


 声も、少し戻っている。


「ええ」


 私は答える。


「どう?」


「……まだ、よく分からない」


 苦笑のようなもの。


 だが。


 それでいい。


「……」


 私は、そのまま様子を見る。


 無理はさせない。


 ただ。


 そこにいる。


「……」


 外に出る。


 空気は、いつも通りだ。


 冷たくて。


 乾いている。


 それでも。


 どこか。


 柔らかい。


「……」


 ふと。


 視線を感じる。


 振り返る。


 誰かが、こちらを見ていた。


 すぐに逸らす。


 だが。


 それは、避ける視線ではない。


 ――考える視線。


「……」


 私は、少しだけ目を細めた。


 もう。


 “異物”ではない。


 完全ではないが。


 ここにいる存在として。


 認識されている。


「……」


 それでいい。


 今は。


「……ねえ」


 アメリアが言う。


「何?」


「これから、どうするの?」


 ――。


 その問い。


 少し前の私なら。


 答えを用意していた。


 明確に。


 論理的に。


 だが。


「……」


 私は、少しだけ考える。


 そして。


「……分からない」


 そう答えた。


 自然に。


「……え?」


 アメリアが、少しだけ驚く。


「……いいの、それで?」


「ええ」


 私は頷く。


「いいのよ」


 それは。


 逃げではない。


 放棄でもない。


「……」


「分からないから」


 私は続ける。


「選ぶの」


 ――。


 沈黙。


 だが。


 すぐに。


「……ああ」


 アメリアが、納得したように笑う。


「そういうことか」


「ええ」


 私は、少しだけ笑った。


「そういうこと」


「……」


 風が吹く。


 弱く。


 静かに。


 それでも。


 確かに。


「……」


 遠くで、声が上がる。


「また一人、具合が悪い!」


 ――。


 私は、その方向を見る。


 そして。


 ゆっくりと歩き出す。


「……行くの?」


「ええ」


 頷く。


 当然のように。


「……今度はどうするの?」


 アメリアが聞く。


 少しだけ。


 楽しそうに。


「……」


 私は、少しだけ考える。


 ほんの一瞬。


 そして。


「……見てから決めるわ」


 そう答えた。


 それだけ。


 それでいい。


「……」


 足を進める。


 また。


 同じように。


 違う状況へ。


 違う選択へ。


 ――正解はない。


 保証もない。


 それでも。


「……」


 私は、思う。


 それでいい。


 選び続けること。


 それだけが。


 ここでの。


 私の役割。


「……」


 目的地に近づく。


 人が集まっている。


 新しい問題。


 新しい状況。


 そして。


 ――新しい選択。


「……さて」


 私は、小さく呟いた。


「どうしましょうか」


 その言葉に。


 迷いはなかった。


 ただ。


 ――次へ進むための。


 自然な問いとして。


 それだけだった。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。


この物語は「正しさ」を持っていた主人公が、

それを壊し、「選ぶこと」を覚える話でした。


完璧な答えはありません。

それでも、選び続けることでしか進めない。


その一歩一歩を描いてきました。


ここで物語は一区切りとなりますが、

彼女の選択は、これからも続いていきます。


もし少しでも心に残るものがあれば、

ブックマークや感想をいただけると嬉しいです。


本当にありがとうございました。

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