表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『海人と柊』~女装男子~  作者: なにわしぶ子
PR
19/74

19話~ハヒコとの出会い~


 私は目の前から消えたマシンを見送ってから、持ち出していた緊急脱出用の飛行具で、まずは周囲に水辺がないか探索する事にした。


この飛行具は、ある程度鳥の様には飛べたけれど、時速はあまり出なくて、だから、ここから魏の国に飛ぶには、少し準備と対策が必要だと思った。


食事は何とかなる量がまだあったけれど、水だけはもうあまり残っていなかった。


まずは、水を探さないと。


すると、少し山みたいな場所があって、水が湧いている場所を偶然見つけた。あぁこれで暫くは何とかなる。

私はそこへ着地をすると、持っていたボトルにそれを汲んで一口飲んでみた。


特に問題もなさそうだ。。


私は水の成分を調べる為に、荷物を置いている場所へ、早速戻る事にした。

すると、右肩にいきなり何かが当たる感触を感じた。


私は恐る恐る、その右肩の方向へ顔を向けて、当たったそれを見てみた。


太陽の光をギラギラと反射させる、そんな矛先を蓄えた、重厚な槍がそこにあった。


「何をしている」


背後から男性の声が聞こえた。


私が動けず立ち尽くしていると、槍を私に向けたまま、男性が私の前へまわりこんできた。


その男性は、この時代の男性のファッションなのか、白い服装に身を包み装飾品を首にかけ、髪の毛も両横でまとめ、顔には刺青なのか模様が施されていた。


この時代の人間と接触してしまった。

未来を変えてしまうかもしれない。


こんな状況下でも、まずはそれが脳裏によぎった自分が、今さらにおかしくもあったけれど


私はとりあえず、そこから逃げる手段を模索した。


「どこから来た。」


男性はゆっくり、私に問いかけてきた。


「あなたが、見たことのない所から。」


そう言うのが精一杯でいると

 

ぐうううう


あろうことか、私のお腹が空腹でなった。

さすがに恥ずかしくなって、顔が熱くなっていくのがわかった。


「ハハハハハハハハ」


すると、男性が向けていた槍を地面に下ろしながら、豪快に笑いだした。


ひとしきり笑ったあと、腰にくくりつけた袋から握り飯を取り出し、私に差し出して来た。


「さあ」


男性に笑顔で握り飯を差し出された私はそれを受け取ると、恐る恐る口にした。それは、今まで食べたどんな食事よりも美味しかった。


思えば、いつも機械に囲まれて、毎日が同じ事の繰り返し、

こんなに外にいる事も全く無く、お腹がすく感覚も、思えばその時に初めて知った。


気づけば私はそれを平らげていて、ボトルにいれた水も一気に飲み干していた。


男性はそれを笑顔で見守りながら、地面に下ろしていた槍をまた手にすると


「まだ足りない顔をしている。私の家にまだ握り飯があります。いらっしゃい。」


そして、すたすたと歩きだした。


「あ、あの!」


私は、その歩きはじめた背中に声をかけた。

すると男性は振り返り、こう言った。



「大丈夫捕らえたりはしない。私はハヒコ。あなたの名は?」



それが、ハヒコとの出会いだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ