20話~刺身は旨い~
「なるほど。それからここに、ヒメコ様はいると言う事なんですね。」
Jは端末に聞いた話を打ち込みながら、口を開いた。
「あぁ、ハヒコに連れてこられた所がこの場所だった。
私は伝わらないのは百も承知で、ハヒコに自分の話をした。」
「ハヒコさんはなんて?」
海人が興味深い顔でそう尋ねた。
「ここは戦が絶えず起きていてね、どうやら王がいたらしいのだけど、その頃亡くなったみたいだった。
ハヒコは私の話を黙って聞いたあとに、全てはおてんとう様の導きに違いないってそう言った。」
すると、入口からハヒコが食事を持って現れた。
「皆さん、お腹が空いたでしょう。お腹の虫がなってしまう前に、食事にしませんか?」
海人とJが女王の顔を見ると、顔を少し赤らめていて、ふたりはなんだか可愛いななんて事を思いながら、ハヒコの用意してくれた食事を早速みんなで頂く事にした。
ハヒコは、皆の前で生魚を器用に刃物で捌くと身を切り分けて、器に盛り、液体の注がれた器を持ってきてくれた。
「これどうやって食べるの?」
海人が不思議そうに、身を手で掴むとハヒコに尋ねた。
「この魚の身を、この醤につけて、こんな風に。」
ハヒコは右手で掴んだ魚の身を、調味料の醤につけると、豪快に口の中へと放り込んだ。
「へぇ。」
海人は早速ハヒコの真似をして口の中へ放り込み、Jもそれに続いた。
「え、何これめちゃくちゃ旨いんだけど!!」
海人が、感嘆の声をあげた。
「これは、まさか醤油ですか?」
Jが女王の方を見つめながら尋ねた。
「ははは。醤油の歴史は古いのさ、握り飯もね。」
「そうなんですか?まだまだ勉強が足りないな僕は。」
「Jがこの中では未来人の最先端なんだからさ。
そりゃ無茶だって。過去の情報量が多すぎるんだからさ。」
海人はJに声をかけつつ、魚を夢中で頬張った。
ハヒコも満足気にその姿を見つめていた。
「ハヒコ、今この者たちに昔話を聞かせていた所だ。少しお前からも話をしてあげてくれないか?私は少し横にならせてもらうよ。」
女王は少しの食事を口にした後、寝床へと消えていった。
女王を見送ったあと、ハヒコが口を開いた。
「お二方の住まいの準備は整えてるので、また食事が終わったら案内をしましょう。
あと、乗ってこられた船のような、あれには決して近づかないようにとムラの者たちには伝えておりますので。」
「それは本当に助かります。また目立たないように、後で必ず僕がしておくので。」
Jが深々と頭を下げると、ハヒコはとんでもないという素振りをした後にこう続けた。
「ヒメコ様の昔話は、どこまで聞かれましたか?」
「えっと、ハヒコさんがここにヒメコさんを
連れてきたあたりかな。」
海人が食事を続けながらそう答えると
「わかりました。ではそこからの話は私の方からさせて頂きましょう。」
そう言うと、ハヒコが語りはじめた。




