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『海人と柊』~女装男子~  作者: なにわしぶ子
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12話~遭難したタイムマシン~


「海人さん……!海人さん………!!」


俺を呼ぶ声がする………


「海人さん……起きてください海人さん……!!」

 

この声は……


えっと俺……


何してたんだっけ…………


「海人さん!!」


海人は、はっと目を覚ました。

目の前には、心配そうに覗き込んでいるJの顔があった。


Jのこんな心配顔見るのは何回目だろうなんて考えながら、海人はぼやけた脳内の整理をはじめた。

そうだ、俺は確かマシンでJと2人、100年前の過去にトラベルしたんだった。


って事は……

今は100年前………?


実験提案者の博士に会わないと……

こうしちゃいられない……



海人は頭を左右に勢いよく振って、両手で頬を数回叩いて、気を引きしめた。


「ごめんJ。気を失ってしまってた。」


そう海人がJに言うと、Jは黙って真顔で頷き、一心不乱に機器に向かいあれこれし始めた。


「どうかした?」


様子がおかしい事に気づいた海人は、Jにそう聞いた。


「少し……大変な事になったかもしれません。」


「え??」


「これを見てください。」


Jが、マシンの壁面を外部が見る事が出来る様に変化をさせた。

機器の並ぶ壁面は、一瞬で窓に変わった。


「え……何これ………。」


そこには、100年前の景色はなかった。

大自然の中に、大昔にあったような家らしき建物がポツリポツリとあり、集落を形成しているようだった。


「ここどこだよ……あの建物の形……。あれ確か…なんとか住居とか言わなかったっけ??」


「確か、竪穴式住居ですね」


「え………J、まさかこれって?」


「はい、僕たち遭難したみたいです。」


「遭難…………。」



海人は、外の世界がスクリーンに映された世界であればどんなにいいだろうと思いながら、外の景色を呆然と見続けた。


「じゃあとりあえず、また今から戻ってさ。それは大丈夫なんだろ?」


海人はそうJに尋ねた。


「はい、予備の燃料はあります。少しマシンを点検をする時間さえ頂ければ。」


「遭難は想定内だったわけだしさ。俺だと八方塞がりだけどJがいるし、まぁ焦らず、この状況を楽しもうよ。」


落ち込んだ顔つきのJを元気づけようと、海人はわざと明るく振る舞いながら、大きく背伸びをしてみせた。


「うん、特に怪我とかもしてないみたい。身体も大丈夫そう。Jの調子はどう?」


「これは……調子悪いですね。」


「え?どこどこ?早く手当てしないと。」


海人が慌ててJの身体をチェックしようとすると、Jが黙って窓の外をゆっくり指差した。


「え……何?」


促されるままに、海人が外へと視線を移すと、槍や刀の様な物を持った、顔に入れ墨なのか様々な模様を刻み込んだ男性達が、マシンの周囲を取り囲んでいるのが見えた。


「あぁ、これは調子悪いや……。これ、とりあえず居なくなるまで大人しくしていた方がいいのかな。」


「いや、出ていきましょう。」


「はあ?殺されたらどうすんの?それはダメだって。」


「でもマシンに何かされると、帰れなくなります。」


取り囲んでいる男性達は、今にも襲いかかりそうな勢いで確かにゆっくりと迫ってきていた。


「そりゃそうだけどさ……。でも……。」



海人が戸惑いの表情を隠せずにいると、コツンとマシン内に、音が響いた。

それは外の男たちが、まず小石をマシンに投げつけて様子を見始めた音だった。


「マシンだけは死守しないと。とりあえず、まずは僕が降りて話をしてみます!」


Jが外へ出ていこうとした。


「待ってJ!何か武器的なのは?何かないの?」


海人はJの左腕を掴み、制止した。


「武器はないです、さすがに。」 


「じゃあ俺が行くよ。Jに何かある方が困るって!」


「柊さんはどうするんです?海人さんをこれ以上過酷な状況に置く事は僕には出来ません!」


ふたりが、小競り合いをしていると、急に外から男たちのワァーっという声がして、マシンに石が沢山ぶつけられる音が響きわたりはじめた。


「待って待って待って!!勘弁してよ!」


海人は反射的に気づくと、マシンの入り口の取っ手に手を伸ばし、転がる様に外へと飛び出していた。Jも慌てて、海人のあとを追いかけ外へと転がり出る。


男たちは、突然現れた存在に驚いて、数歩後退りすると、武器を一斉に構え静かに睨み付けてきた。


「えっと……。」


海人は、地面に座り込んだ状態で、静かに両手をあげてみせた。


「とりあえずほら見て!何も持ってないって!攻撃とかそんな事するつもりもないし!少し話を聞いて?ね?お願いだからさ!」


海人の声が、張り詰めた緊迫した空気の中に響きわたった。


「失礼しました。」


すると、どこからか声がした。


海人が、声のした方をみると、武装した男性達とは違う身分なのか、服装も他とは違う男性が男たちの間から現れると海人達の前までやってきた。


「待っておりました。ヒメコ様が呼んでいます。

どうぞ、こちらへ。」


「ヒ、ヒメコ様?」



海人とJは、言葉の意味を全く理解出来なかったが、とりあえず、その男の言われるがままに着いていく事にした。




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