閑話 爆誕学園1年3組
今回は思いっきりやりました。
それは、あったかもしれないもう一つの世界。
その世界には争いという概念は存在せず、ただ存在するのは平和な日常生活のみ――という設定だ。
そんな日常生活の中で、今日、一つの変化が起ころうとしていた。
「うーい、テメェら。さっさと席につけぇーい」
黒板の前に立ってそういったのはカネクラ教諭。
最近は後輩の教師にまで結婚されて、もういよいよ立つ瀬がなくなってきたベテラン教師である。
そんな彼女の言葉にガヤガヤとしていた教室は静まり返り、それを見た彼女は「コホン」とひとつ、わざとらしく咳をしてから口を開いた。
「あー、今日はこのクラスに転校生がやってくることになった」
その言葉に沸き立つ生徒達!
「転校生ったらお約束的に美少女だよな?」
「ったりめェだろ、むしろ美少女じゃねぇ転校生なんざクソくらえってんだよ」
声を上げたのは、未だに中二病を引きずってるオタク、久瀬竜馬と、ニタニタと笑いながらそれに肯定するマックス青年。
けれどもそれらに物申すものが一人。
「くふふっ。残念だね君たち、予言してあげよう、転校生は男の子だね、それも間違いなく私に一目惚れすると見た!」
「うるさいですよロキさん、願望垂れ流しになってます」
そこには学校の制服に身を包むロキの姿と、それに対してつまらなそうに反応するメフィストの姿が。制服を着ていると彼と見分けがつかないのはご愛嬌である。
そうしてガヤガヤとし始めたその教室。
けれども、直後にその音は消え去った。
――ガララっ!
瞬間、教室の扉が開かれ、その向こう側から一人の青年が姿を現した。
二メートル近いその背丈に、パッとしない、けれどもどこか芯の通ったその雰囲気。
左眼は銀色に輝いており、もう片方の瞳は真紅色に輝いていた。
そんな彼は黒板の前――カネクラ教諭の隣まで歩いてくると、小さく手を振ってこう言った。
「はっじめましてー、転校してきた鐘倉銀志、って言います。どうぞよろしく〜」
その、間違いなく世界最強たちが集っている学園の名前は――爆誕学園。
その1年3組に、新たな風が運ばれてきた。
☆☆☆
「おうおうおーう、テメェ何となく気に入らねぇなァ? ちょいとツラ貸せや、ォウ?」
銀志は、昼休みに入るなり絡まれていた。
絡んできたのは軽く紫がかった白髪の少年――名をアルファといい、彼は訳の分からない事を言い出した。
「っていか俺がせっかく聖国編でいい感じに登場したってのになんなんだよ、ぜんっぜん出番ねぇじゃねぇか! 唯一登場したのがそこの雑魚の尻拭いだけだぜ!?」
「ざ、雑魚!?」
アルファの言葉にそう叫ぶ久瀬。
とんだとばっちりであった。
「そうよねぇ……、聖国編は私の出番が多いからよかったのだけれど、何も私の悪いところまで描写しなくてもよかったのではないかしら? 描写する所なんて私の美しさとそこのフカシとの何かちょっとした語らい、あと最後の震えてるシーンだけで十分よ」
「お前までフカシとか言うなよミリアンヌッ!」
「うるさいわよフカシ」
と、いきなり入り込んできたのはミリアンヌ。
彼女は言いたいことだけ言い終わるとそのまま顔を背けてしまい、それを見たフカシことアルファはググッと悔しげに顔を歪ませた。
と、そんなことをしていると、アルファへと声がかかった。
「ちょっと男子ー、銀志くん虐めるのやめなよー! 可愛そーでしょー、ねぇ銀志くんっ!」
そう言って声を上げたのは、このクラスの委員長たる恭香だった。
丸い大きなメガネをかけて、その髪は三つ編みにし、その様子は正しく委員長と言った感じだった。
対して銀志は。
「ぐすっ、フカシがいじめるよぉー(嘲)」
「(嘲)ってなんだ!? 嘲笑か、嘲笑なのか!?」
思いっきり嘲笑していた。
転校初日にしてこれである、最早その熟練感は最初からクラスにいた者達と大して変わらないほどだった。
そんな彼はつまらなそうに頬杖をつくと。
「っていうかさ、何この茶番、なんで本編シリアスだったのにいきなり学園編とかやってんの?」
とんでもないことを言い出した。
「あとさ、なんでそいつとかそいつとかあいつとか、ここに居ちゃいけなさそうな人までいるわけ? 戦争でも起きるんですか?」
そう言って彼は三人へと指をさした。
順に、子供用のセーラー服に身を包んだゼウス。
ピッチピチの制服に身を包んだサタン。
そして、ジャ○プを立てて早弁している混沌である。
「ん? おお、執行者じゃねぇか。私はなんか作者がよ、次回のジャ○プ先読みして読ませてくれるって言うからこうして来てやってる感じだ」
「俺は言うまでもない、混沌様の護衛だ」
「私は、ギンくんのヌード写真集を貰えると聞いて」
とりあえずジャ○プとギンの写真集で争いが止まるのがこの世界である。
その三人の言葉に銀志――否、ギンはため息を吐くと、その直後、スパァンッと頭を叩かれた。
「ちょっと! せっかく違う世界観で今まで出てきた人たち勢揃い! みたいな事考えてたんだから、そういうこと言っちゃダメでしょ!」
「いや、これって普段溜まってる作者への恨み憎しみ不満をぶつける場なんでしょ? そう聞いたからここまで来たんだけど」
「そんなこと言ってなかったよ!?」
そう叫ぶ恭香。
そのすぐに行われた訂正はさすがはヒロインと言うべきだろうか。けれどもそれしきで止まる主人公でも無かった。
「そもそもさぁ、アイツだよアイツ、なんか最近僕のキャラ食ってしゃしゃり出てきたアイツ。なんだっけ? ギルだっけ? アイツなんかミステリアスな雰囲気醸し出してきてイラッと来るんだよね。思いっきりキャラ被ってんじゃん、読者とかもう『未来のギンだろ(笑)』とか言いまくってんぞおい」
なんてことを言い出すんだこの男は。
作者が発狂しそうなことを言い出したギンに対して、メフィストが口を開いた。
「正直それは私も思ってましたよ。ギン殿の被りキャラ、ミステリアス、カッコつけてる当たりがこの私と丸かぶり何ですよ。何ですかあの男、未だ本編に登場してないくせに異彩を放ちすぎでしょう。その面で言ったら太陽神殿とかどうなるんですか、技だけ発動しに出てきてあと何も出てきてませんからね」
「ふぇっ?」
いきなり名前を呼ばれた太陽神アポロン。
思いっきり船を漕いでいた彼女はビクッと体を震わせて周囲を見渡し――
「……あっ! 今貴方達、私の寝顔見てたんでしょ! 私の寝顔見て見惚れてたんでしょ!」
そんな残念なことを言い出した。
アポロンの口元には垂れたヨダレがへばりついており、それを見た一同は皆悲しそうに目を逸らした。
のだが、それを図星と取ってしまったアポロン。
「ふんっ! やっぱり思った通りね、なにせ私の能力『炎天下』はこれでも作者がここ最近で一番悩んで考えた技なのだもの! こんな作者に愛されすぎている私に見惚れないはずもないわ!」
――最早、何も言うまい。
「っていうかお前さ、今回この閑話で出れたのって近いうちにお前が出なくなるからだからな? 今のうちにちょっとでも読者の印象に残しておこう、とか。そんなことを作者が考えたからだからな?」
「……へ? う、嘘でしょ……?」
けれども混沌の言葉に一点、アポロンは信じられないと言ったふうに目を見開いた。
「いや、嘘じゃないって。その証拠に多分次回も出てくるぞお前。もう作者とか『なんで今まで出してこなかったんだ!』とか自己嫌悪に走ってるからな。この章が終わるまではお前がヒロインみたいなもんだ、良かったな」
「なぁっ……!?」
その言葉に愕然とするアポロン。
彼女はプルプルとその体を震わすと――
「さ、ささ、作者に確認とってくる!」
そう言って一目散に駆け出して行った。
一同は思った――あれ、これ作者死んだんじゃないか? と。
仮にもアポロンは最高神。しかも潜在能力だけでいえばゼウスクラスである。作者如きが勝てるはずもない。
「……おい、作者死んだらどうなんだ? もしかして私達もう次回以降のジャ○プ読めないんじゃないのか?」
「……っていうか、作者死んだらこの話終わるよね? この400話以上にわたって長らく続けてきたこの物語終わるよね? 今出てるエタり気味のSSOみたいになるよね」
「いやあれエタってないからね。この作品と二作目の執筆忙しすぎて間に合ってないだけだからね」
混沌、ギン、恭香がそんなことを言って顔を見合わせ――その直後。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!?」
「「「さっ、作者ぁ!?」」」
聞き覚えのない叫び声が響き――ブツンッと、世界が暗転した。




