責任
零野でございます。
とうとう私は、一人の少女に被害を与えてしまいました。
鉄球が当たって少女は、吹っ飛ばされて刃物店に突っ込んでしまいました。
怪我は無いでしょうか?
私は今、自らの意思で行動出来なくなっています。
おそらく先程のニット帽の男性が、私をリモコンで操っているんでしょう。
御嬢様から私のリモコンを彼が抜き取ったのに、もっと早く対応していれば・・・悔やんだ所で時間は元には戻りません。
“バキィ!!”
鎖付き鉄球を振り回して暴れまわる私。
まるで他人事の様に自分の愚行を見せ付けられて。
“ズキッ”
逃げ惑う人々。
“ズキッ”
崩れ落ちる建物。
“ズキッ”
何故でしょう?機械である私が胸に痛みを感じます。
AIに負荷が掛かっているのでしょうか?
誠に勝手ながら、願うことなら誰かを私を壊して下さい。
「零野、止まりなさい。」
御嬢様が私の前に立ちはだかりました。
「お逃げ下さい。」とも言えない私は、御嬢様を敵と見なしてロックオンしてます。
「まだ、お金で解決出来ますけれど、これ以上は生死に関わりますわ。アナタご存じ?お金で解決出来ない事って意外にありますのよ。」
いつもの気高き偉そうな態度で、御嬢様は物怖じ1つしていません。
「とはいえ、今回アナタに否はありませんわ。責任は私にあります。だからこれ以上アナタが暴れるというなら、私を殺してからにしなさい。」
・・・御嬢様お逃げ下さい。
「早乙女財閥の令嬢として、ここで死のうとも悔いはありませんわ。」
逃げて。
「と、悔いなら1つありましたわね。」
何故逃げないのです。
逃げる所か仁王立ちの御嬢様。フッと御嬢様が普段見せない笑顔を見せました。
「アナタと庶民的な焼き肉を食べたかったですわ。」
止まれ!!と私は願いましたが鉄球を振り上げ、御嬢様に向けて勢いよく振り・・・。
“ギンッ!!”
振り下ろす前に鉄球の鎖がちぎれ。
“ドンッ!!”
ちぎれた鉄球が地面にめり込みました。
「フムッ、この出刃包丁、中々の良い物ダナ。」
気付くと私と御嬢様の間に、先程の私が吹っ飛ばした少女が、頭から多少の血を流して立っていました。
両手には出刃包丁を一本ずつ携えています。
「サァ、お前の死を呼ボウ。」
よくよく見れば、御嬢様のクラスメートの方ですね。
御嬢様の危ない所を助けて頂き、どうもありがとうございます。




