急用
「お兄ちゃんたら小学5年生の時にねウンコ漏らしたの、そのお兄ちゃんの情けなくて惨めな顔っていったら・・・もう最高にキュートでエレガントだったのよ。」
「へぇ♪そうなんだ♪」
・・・どうも清水です。今は、よもぎちゃん、夏希ちゃん、私の三人で学校から帰ってるんですけど、夏希ちゃんが自分のお兄ちゃんの恥ずかしい話をしているのを、よもぎちゃんと一緒に聞いている次第です。
自分の知らない所で恥ずかしい話をされる・・・お兄さんが不憫でなりません。
「それで、お兄ちゃんがね・・・。」
ヤバい!!止まらない!!私は、もう聞いていられなくて、とにかく話を逸らしたかったのです。
「クレープ屋さん!!あそこにクレープ屋さんがあるよ!!女子高生たるものクレープ屋さんは見逃せないよね!!」
「うん?別に見逃しても良いよ?それよりお兄ちゃんがね・・・。」
嘘でしょ!?止まれ!!止まれ!!止まれぇ!!
「ク、クレープ・・・ジュルリ。」
“キュウ~グルグル~”
よもぎちゃんはクレープ屋さんを睨み付けて、お腹から可愛らしい音を鳴らしました。
「お腹が空いてるの?よもぎちゃん?」
私は心配で話掛けました。
すると、よもぎちゃんはお腹を押さえながら顔を赤らめます。可愛らしい・・・やっぱり守りたいこの笑顔。
「は、はい、ちょっと高い買い物をしたんで節約してるんだ・・・。」
「高い買い物?何よそれ?お兄ちゃん抱き枕?」
また夏希ちゃんは、なんでもかんでもお兄ちゃんを絡めてきます、それ全宇宙で買うの夏希ちゃん一人でしょ?
「いえ、とにかく高い買い物をしたの。衝動買いだったから多少の後悔はあるけどね。」
一体何を買ったんだろ?
“ピピピピピ・・・”
私達の会話に割って入るように、よもぎちゃんの携帯電話が鳴りました。
もっと可愛い着信にすれば良いのに。
「二人ともごめんなさい、電話に出るね。」
そう断りを入れてから、よもぎちゃんは自分の電話に出ると、電話相手の話に「うん」と間を開けて五回返事をすると、最後に「了解」とだけ言って電話を切りました。
「すいません、急用が入っちゃって、また明日学校で。」
“ダッタタタ!!”
私たちが「バイバイ」を言う暇も無く、今来た道を走って戻って行く、よもぎちゃん。
「どうしたんだろ?」
「さぁ?・・・ハッ!!お兄ちゃんがゲリラライブでもしてるのかな?」
アナタのお兄さんは一体何者なんですか?
妄想もここまで来ると才能です。




