狩猟
「それじゃあ・・・婆さん行ってくるよ。」
「気をつけて下さいねお爺さん。」
ワシは社を退職して年金暮らしをしているジジィじゃ。
年金暮らしも悪く無いんじゃが、めっきり張り合いが無くなってのぅ。
猟が趣味なんじゃが、最近、老眼で目が霞んで狙いが定まらんし。
もうワシはダメなのかのぅ。
山を歩くのは好きじゃ、空気は旨いし険しい道を歩いていると余計な事は考えずに済む。
暫く山を歩くと大人の猪の足跡が、恐らく近くに居るのぅ。
“ガサッ”
ビンゴじゃ、まだコチラに気づいておらん様じゃし。
“チャキッ”
狙わせてもらうかのぅ。
・・・やはり目が霞む、歳は取りたく無いのぅ。これを外したら、もう猟をするのも辞めた方が良いかもしれん。
軒先で茶でもすする人生・・・張り合いが無いのぅ。
“パァン!!”
外した・・・やはりもうダメか。
猪が逃げる。
「目が悪くなったなら、諦めも悪くなりましょう。一発目を外したのを考慮して、二発目を撃ち込むのです。大丈夫、お爺さんの腕なら逃げる猪も仕留められますよ。」
なんじゃ突然声が!?山の精か!?・・・じゃが、なんでか出来る気がしてきたぞい。
ワシは逃げる猪に狙いをつけた、今まで通りではダメじゃ、一発目を考慮して・・・撃つ。
“パァン!!”
「ブギャァ!!」
あ、当たったわい。猪はその場に倒れて動かなくなった。
に、逃げる猪なんて初めて当てれたわい。
ワシって実は凄いかもしれん、なんか自信が出てきた。
まだまだ人生コレからじゃな!!
「ふぅ、ガッツポーズしてるし、これでお爺さんのやる気も取り戻せたよね。“猟を成功させてお爺さんのやる気を出させる”任務完了。」
西口です。
お爺さんの遥か後方でスタンバっていた私、プランではお爺さん撃つタイミングで猪を狙い撃ちする作戦だったんですけど。やはりそれではお爺さんがラッキーで当たったと思われて、自信回復には成らなかったでしょう。
私のした事は、お爺さんの服ににあらかじめ早乙女財閥印の小型スピーカーを付けていたから、アドバイス・・・というか励ましただけです。
お爺さん上手かったし、やっぱり狙った獲物は自分で仕留めるのが一番です。
でもなぁ、いくら病み上がりで猟銃というハンデでもリハビリがてらに撃ちたかったですね。
ん?
「グガァ・・・。」
熊です。ある日山の中クマさんに出会いました。
“パァン!!”
ふぅ、びっくりしたぁ。
私の目の前にはクマさんの無残な死体・・・なんちゃって。
威嚇射撃ですよ、無益な殺生は好きじゃありません。
逃げるクマさんを見ながら、人間によって住む場所を追われたのかなぁとか、普段考えない事を考えちゃいます。




