遅刻
高橋です。
真夜中に軽トラに乗って“ニャーニャーランド”を目指します。
助手席の僕は運転席の猿渡さんに話し掛けます。
「すいません、猿渡さん。無理を言って送って貰っちゃって。」
「良いよ、良いよ、なんか申し訳無いからさ。」
「申し訳無い?」
「い、いや・・・あはははは♪」
猿渡さんがなんか困ってる?それにしても良い人だな猿渡さん。僕の周辺の中ではNo.1の良い人です。
「それにしてもニャーニャーランドはもうとっくに閉まってるのに、どうして行く事にしたんだい?」
猿渡さんの言う事はもっともです。それでも僕が、とっくに営業時間を過ぎた遊園地に行きたい理由は一つです。
「なんか予感がするんです。行かないといけない予感が。」
「へ、へぇ。」
あっ・・・なんか変な奴と思われた気がする。
「おっ、ニャーニャーランドの観覧車が見えてきたよ。」
本当だ、クソッ、昼間の内に来ておきたかった。
“ボガーン!!”
・・・へっ?、大爆発と共に観覧車が僕らの視界から消えました。
「爆発した!!た、高橋君!!なんだか知らんが危ないよ!!引き返そう!!」
慌てて引き返そうとハンドルを切ろうとする猿渡さん。
“ガッ”
僕はハンドルを掴んで固定しました。
「た、高橋くん!?」
「猿渡さん、もう後には退けないですよ!!前進あるのみ!!GO!!GO!!GO!!!!」
「ひぃ!!高橋くんのキャラが崩壊してる!!」
アハハハ!!ニャーニャーランド待ってろよぉ!!!!
ニャーニャーランドに到着し、軽トラから出て遊園地の中に入ると、所々に戦いの痕跡が。
これは絶対あの御方がココに居る証拠。
“タッタタタタタ!!”
僕は走り出しました。
「高橋くん!!急に何処に行くんだい!!」
すいません猿渡さん。恋は盲目なんです!!
とりあえず観覧車の近くに行こう、彼女が居るとすればそこに違いない。
観覧車当たり前だけど酷い有り様だった。鉄骨ごと粉々に吹き飛んでおり、観覧車の原型をとどめていなかった。
ほ、本当に凄い爆発だったんだ・・・彼女はまさか爆発に巻き込まれたんじゃ?
恐くなった僕は瓦礫の中から彼女を探した。
居ないかもしれない、爆発になんか巻き込まれて無いかもしれない、けれど万が一、億が一という可能性が有る限り、僕は彼女を探し続ける。
「スー、スー。」
不意に天使の様な寝息が聞こえた。
寝息のする方に僕が急ぐと、そこには瓦礫に寄り掛かりながら、無防備な姿で寝ている彼女の姿があった。
「西口さん・・・良かったぁ。」
僕はホッとした。小さな切り傷はあれど、大怪我は無いようだし、背負っているリュックの様な物からパラシュートが出ているので、僕が考えるに西口さんは観覧車に居たけど、爆発前に脱出したんだろうな。
それにしても、こんな無防備に寝られると・・・。
「ゴクリッ」
うわぁー!!何を考えてるんだ僕はぁー!!
「ムニャムニャ・・・夏希ちゃんのお兄ちゃんは本当に凄いんだねぇ。」
はっ!!西口さんに寝言で誉められた!!・・・す、凄く嬉しいです。
・・・こんな事を僕が言うのは、大変おこがましいかもしれないけど、人知れず頑張った彼女を労いたいのです。
「お疲れ様。」
年を跨いで、ようやく一段落着きました。




