捕縛
皆さんお初にお目にかかります。私は猿渡源治と申します。
50歳の時に勤めていた会社をリストラにあい、妻と子供達に愛想を尽かされ出ていかれ。
自暴自棄になって、仕事も探さずにパチンコ、競艇、競輪、競馬とギャンブルに金を溶かしていき。生活費に困って金融機関に金を借り、その金を返すために別の金融機関からまた金を借り、最終的に闇金にまで手を出して、首が回らなくなって返済期限が迫ってくると悪魔が私に囁くのです。
誘拐して身代金を要求すればえぇやんけ・・・と。
けれど誘拐するにしても誰を誘拐すれば良いのか悩みました。
なにせ初めての誘拐ですからね。
幼児やら女の子は流石に気が引けますし、ゴツいお兄さんは返り討ちに逢いそうだし。
いい感じに中肉中背の男は歩いてないものかと散歩していると、居たんですよ!!凄い誘拐しやすそうな男の子が!!
すぐに後ろから金槌で頭を叩いて気絶させて、自宅に連れ込み誘拐しました。
それでその男の子のスマホを拝借して、その子の自宅に身代金要求の電話をしたんですが。
「もしもし、セールスなら死ね。」
・・・多分男の子のお母さんなのでしょうが、キャラが立ってますね。
「あっ、御忙しい所すいません。私アナタの息子さんを誘拐させて頂いたんですけど・・・その、身代金の件でお電話させて頂きました。」
「チッ。」
“ツー、ツー、ツー・・・”
切られました。しかも電話を再度掛けても繋がりません。
これはイタズラと思われたんでしょうか?それとも息子さんがどうなっても構わないという事でしょうか?
どちらにしても困りましたねぇ、連絡がつかないと身代金が。
「・・・うぅん。」
おっと、人質君が目を覚ました様です。
「はっ!!ここは何処だ!?アンタは誰だ!!」
「気が付いたかい?私の名前は猿渡。君は道端に倒れていたんだよ。そんな君を放っておけなかった私が介抱していたというワケさ。」
人質としての価値が無いなら、誘拐を無かった事にしましょう。
「じゃ、じゃあ、この縄で手足を縛られている状況は?」
「無意識に君が自分で自分を縛ったんだよ。ほどいて欲しいならほどこうか?」
「あっ、そうだったんですね、じゃあすいません、ほどいて貰えます。」
チョロい、この子チョロい。
このチョロい男の子の名前は高橋君というみたいです。




