第8部「永遠の絆篇:それぞれの未来」第1話「十年後」
深淵との戦いから、十年が経った。
世界は、すっかり変わっていた。
「学院長、おはようございます」
「おはよう」
ルークは、四十代になっていた。
髪に、少し白いものが混じっている。
「今日の予定は」
「午前は卒業式、午後は理事会です」
「分かった」
卒業式の日だった。
学院の広場に、卒業生たちが集まっている。
「今年も、多くの生徒が卒業するのね」
「ああ」
サラも、隣にいた。
年を重ねても、美しかった。
「十年か」
「早いものね」
「あっという間だった」
「でも、充実していた」
卒業式が、始まった。
ルークが、壇上に立った。
「卒業生の皆さん、卒業おめでとう」
「皆さんは、この学院で多くのことを学びました」
「これから、世界へ羽ばたいていきます」
「困難な時もあるでしょう」
「でも、諦めないでください」
「皆さんには、仲間がいます」
「この学院で出会った、かけがえのない仲間が」
「その絆を、大切にしてください」
「皆さんの未来に、幸多きことを」
「卒業、おめでとう」
「「「ありがとうございます!」」」
式が、終わった。
卒業生たちが、涙を流している。
「先生、お世話になりました」
「ああ。頑張れよ」
「カイ先生、ありがとうございました」
「元気でね」
カイも、四十代になっていた。
立派な教師として、生徒に慕われている。
「サラ先生、外交の授業、楽しかったです」
「またいつでも、遊びに来てね」
「リオン先生、厳しかったですけど」
「感謝しています」
「お前たちなら、大丈夫だ」
「自信を持て」
卒業生たちが、去っていった。
「今年も、良い卒業式だったな」
「ええ」
「毎年、この日が来ると」
「感慨深いわね」
「俺たちが育てた生徒が」
「世界に羽ばたいていく」
「これ以上の喜びは、ない」
午後。
理事会が、開かれた。
「学院の経営状況、報告します」
「順調です」
「入学希望者は、毎年増加」
「卒業生の就職率は、百パーセント」
「世界一の学院という評価は、揺るぎません」
「素晴らしい」
「みんなの努力の成果だ」
「来年度の計画について」
「新しい学科を、設立したい」
「医療学科だ」
「治療士を、育成する」
「いい考えですね」
「賛成です」
「カイ、お前に担当を頼みたい」
「僕ですか」
「お前の加護は、治療にも使える」
「基礎を、教えてやってくれ」
「分かりました」
「精一杯、やります」
理事会が、終わった。
「お疲れ様」
「ああ」
「今日も、忙しかったな」
「でも、充実していたわ」
夕方。
ルークは、学院の庭を歩いていた。
「十年か」
「長いようで、短かった」
「この十年で」
「学院は、大きく変わった」
「生徒数は、五倍」
「学科も、増えた」
「世界一と言われるようになった」
「俺の夢が、叶った」
「でも、まだ終わりじゃない」
「もっと、良くできる」
「ルーク」
「サラか」
「何を考えていたの」
「十年を、振り返っていた」
「そう」
「私も、よく振り返るわ」
「あなたと出会ってから」
「人生が、変わった」
「俺も、だ」
「お前と出会えて、よかった」
「これからも、一緒にいてくれ」
「もちろんよ」
「私たち、夫婦だもの」
「ああ、そうだな」
五年前、二人は結婚していた。
「帰ろうか」
「ええ」
二人は、家に帰った。
学院の敷地内に、家がある。
「ただいま」
「お帰りなさい、お父さん、お母さん」
子供が、出迎えた。
八歳の男の子だ。
「レオ、今日は何をしていた」
「剣の練習をしていたよ」
「そうか。偉いな」
「へへ」
「夕ご飯、できているわよ」
「やった!」
三人で、夕食を囲んだ。
「今日の卒業式、どうだった」
「良かったわよ」
「僕も、いつか卒業式に出たい」
「あと十年後だな」
「十年も待てないよ」
「すぐだ。あっという間だ」
「本当?」
「ああ、本当だ」
十年後──
ルークたちの人生は、続いていた。
幸せな日々が、そこにあった。
次回予告
カイの物語。
彼もまた、幸せを見つけていた。
新たな家族と共に──
第2話「カイの選択」
「僕は、この道を選んだ」
「後悔は、ない」
それぞれの幸せ──




