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蝉
命は遠く、間延びして。
騒音の中に、命はある。鳴、鳴、鳴。
真夏日に燃やされる殻と羽。空洞ばかりの体に世界は重く。ただ数度ばかりの邂逅は明日。世界の明滅、とくとくと。
疾く疾くと。命ばかりが急き立てる。そればかりの昆虫螺旋。性が生を囃し立てる。街路樹の中の逢瀬。作業的焦熱。番にもならない結びつきは焦燥に駆られているのだ。
騒音の中に、命はある。鳴、鳴、鳴。人にとっての雑音、世界にとっての極微な揺らぎ。七日など、宙にとっては点であるか。それ以下か。
鳴、鳴、鳴。騒音の中に、命はある。




