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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第九章 ミクロな世界の戦争

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361 細分化


「感染割合は?」


戦争進行ゲージを突くチーパオの声にドリルツインテが返した。


「大体15%。分散度合いと増殖率的に考えればフェーズ開始直後から100パー運用はできそう。」


「よくあの方法でそこまで持ってけたね?一々芝居打って感染させてたっしょ?」


ドリルツインテが両手を挙げて椅子を回す。


「あー、あれ、めんどいからやめた。正味そんなんしなくても市場に回してあるポーションだけで感染させられるし。最悪空気感染もできるしね。増殖の抑えが効かなくなるかもだけど。」


「私の例があるからなぁ。今のシステムが崩壊パックをどれだけ認識できるかがネック。」


モノクルが鼻の下に鉛筆を挟みながら言った。





こちらスチームパンク人魔戦争調整当局。


現在の管理者はチーパオ、ドリルツインテ、モノクル、そして私姫カットの4名。


主な仕事は人類と魔物の攻撃力、数を戦争進行具合に合わせて調整する事。


大体の場合魔族が強くなりすぎるのでそこら辺を妃奈に教えるのがメイン。


あとは崩壊パックの管理。

人類を魔物である程度削って容量が空きしだい投入する予定の殺戮バクテリアの準備などなど。


シフト的に交代は3日に1回だけど、年間休日300日、副業に地上の散策なんかもできるぞ!


是非この機会にご応募お待ちしております!


「なに、コレ。」


私の渾身の一作を見たチーパオが、期待して食べたトリュフ塩ポテチが思ったより不味かった時みたいな顔をして言った。


「スチームパンク人魔戦争調整当局のCM。」


「私、それ以上の情報を期待して聞いたんだ。」


「やっぱこの時期新社会人に向けての募集は必要かなって。」


「ボケ倒しすぎだろ。」


「暇ゆえ致し方無し。」


「だー。」


天を仰いだチーパオはそのまま後ろの椅子に倒れ込んだ。


戦争調整用のスチームパンク風管理端末は、今大きな変動を見せていない。


事実、最初期は五十人以上動員されていたのに、今や定期管理の四人のみしか配属されていない。


空席の回転椅子が正面のモニターに青く照らされている。


戦争はフェーズ転換までの停滞期で、いくつかの戦線がジリジリ動くだけ。


戦力的にもこっちが特に調整しなければ俄然有利なのには変わりないし、天使がアレイヌに篭ってCode.1君も大きな動きを見せようとしない現状、私たちのすることはないも同然だった。


私らがこんなのに対して妃奈はかなり忙しそうにしてるけど、あの子にしかできない仕事が多すぎるんよね。


助けてあげようにも魔王スキルはシステム上1人しか持てないし。


あれと同じことを再現しようとしたらとんでもない負荷がシステムに掛かる。


私にしかできない仕事もあるけど、私は無数にいるわけで。


猫の手を借りるまでも無くむしろ有り余ってるのが現状。


妃奈もCode.8がある以上分身が出来ないわけじゃないと思うんだけど、そういうタイプじゃないしな。


「やる事だけならいっぱいあるよ。リトル5号の改良に、アレイヌの攻略、戦争終結後の諸々。」


横からモノクルが顔を出す。


「それ全部それ用の部署があるじゃん。このシフトでする事じゃないし。」


「細分化しすぎた故の弊害なのだなぁ。」


ドリルツインテがスマホから顔を上げた。


「あ、それで言えば改良部署が宇宙服連れてきて欲しいって言ってたよ。」


「無理でしょ。妃奈のマスコット役よ今アイツ。」


リトル5号改良部署にて最近生み出された宇宙服の事を思い出す。


「一応聞いて見てだって。」


「ういうい。」


この四人の中で唯一念話スキルが入ってる私が宇宙服に繋げる。


ーっつー訳だけどこれそ?


{モン◯ンなう。}


くぐもった声と同時に念話の奥でモンスターの叫び声が聞こえた。


「無理だって。」


「無理かー。」


ドリルツインテがスマホをスワイプする。


ぴえんリアクションのみが残された。


「…。」


会話が途切れる。


完全なる暇。


するべきこともやるべきこともない。


棚から箱に貯めてあったサイコロチョコを取り出す。


他の分体達も各々の暇つぶしに戻る。


椅子に全体重をもたれかけさせたタイミングで、正面のモニターに無数にあった点の内、それなりに大きかったものが消失した。


「あ。」


「んー?何?」


「北部あたりの丸って何だっけ。」


「山脈都市の戦線だね。生命反応途絶。終結したっぽい。」

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