表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第九章 ミクロな世界の戦争

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

562/573

Code.8 (17)

「指揮は鵺に任せてる。お前は兵員の補給と、占領拠点の整備やれ。」


「はっ。」


深階層の夢魔に戦線の指示を飛ばしつつ、101層に転移する。


ここ最近の仕事量はCode.6事案以前のことを考えると異常なほどに増えている。


正味こっちは無限の兵隊がいるわけで、どういう戦略を取っても数の暴力で人類滅亡とか余裕なんだけど、崩壊シナリオのことを考えるとそうもいかない。


戦争の筋書きの進行度合いに合わせて程よく人類を抹殺、エネルギーの相殺上限に引っかからないギリギリを攻めなくちゃならない。


この上限とノルマの間がそれなりに広ければまだやりようはあったんだけど、エネルギーの飽和が近い現状、崩壊シナリオで相殺できる最大量ギリギリでエネルギーを減らしてかないと戦争終結後のCode.合戦に世界が耐えられない。


消極的な奪い合いでジリジリシステムに負荷かけ続けてたら、また戦争でエネルギー消費しないといけなくなるし。


さらに言えば、人類の士気の問題もある。


石田とかCode.1君とかが何とか持ち上げてるっぽいけど、人類と魔族の戦力差に気づかれればあっち側の戦意がポッキリ折れかねない。


魔物どもの自爆術式によるリサイクル案、アレ女神様のアイデアなんだけど、あの鬼畜戦法で人類側の前線兵たちの士気がずいぶん減ってるって報告も受けた。


てか実際、ポッキリしたどこぞの領主だとか金持ちだとかが魔王城に白旗振りながら駆け込んできてたし。


そういうのは正直困る。


そういうのを受け入れて、私たちに融和の隙があるとか認識されたら、今度は私たちに向いてるヘイトが一気に教会側に向きかねないし。


だからそういう降参組は軒並み殺して、ぐちゃぐちゃにした死体を次の降参組がギリギリ見るくらいのところに棄ててる。


私たちは話も聞かない人類の共通敵じゃないといけない。


どんなに相性の悪い国同士でも、結託して対抗しないといけないような、絶対悪。


所信表明演説でそこんところしっかり言ったはずなんだけどな。


あの演説中は、威圧スキルとかは使えなかった。


あんまりにも私に怯えられてこっちに鞍替えしようとする勢力が出てきても困るし。


人間同士で対立して勝手にエネルギー負荷上げられたらたまったもんじゃない。


それ実質中位神同士の戦いみたいなもんだからな。


マジ致命傷。


戦争が始まってから、考える事が一気に増えた。


あのスチームパンク施設にいる女神様からは毎日報告もらってるけど、結構日毎に盛衰が変わる関係上、毎日各地の戦力を調整しないといけないのがしんどすぎる。


女神様も結構手伝ってくれてるけど、魔物の生成と配置は結局私しかできないからなぁ。


魔王城を作ったのは女神様の魔術とは言え、その魔術はCode.8なわけで、権能を継承した以上主権は私にある。


2日風呂に入ってない頭をぽりぽり掻きつつ、家に戻った。


「ただいまー。」


「あ、おかえりー。」


誰もいない想定で放った言葉が、ややくぐもった聞き馴染みのある声に返される。


「珍しいね。こっち帰ってくるの…何その…なに?」


玄関から続く廊下の先からひょっこり出てきた女神様の顔は、球状のガラスに覆われていた。


「ああこれ?…宇宙服。アポロあたりのモチーフ。」


関節に制限があるのか、小刻みに体を揺らしながら出てきた女神様は白く厚い外装に纏われていた。


胸部には生命維持装置が据え付けられ、女神様が息をするごとに低い機械音が鳴っている。


「それは何?必要に応じて?それとも趣味?」


「そりゃもちろん必要に応じて。」


靴を脱ぎつつ、女神様の元に歩みを進める。


宇宙服のサイズで見誤ってたけど、身長が普段のと比べてずいぶん低い。


中身の頭の位置を見る感じ、150cmないかこれ。


「だとしたら大分ヘヴィなんだけど、私が聞いてもいいやつ?」


「問題ないね。みさらせ、この腕を。」


女神様が右肩に手をやる。


空気が漏れるような音がしたかと思うと、張っていた右腕の外装が萎み、宇宙服の外郭の骨のようなものが浮き出てきた。


女神様が手首を回す。


内部の機構が動作したような音がした後、手袋が外れた。


中に入った手のひらが空気に晒される。


瞬間、手が瞬時に焼けるように真っ赤に染まる。


皮膚はみるみる色を変え、赤は濃く紫がかり、脈打つたびに血管が手の甲を這う。


発疹が浮かび上がり、指先から掌へ、そして手首へと、波のように反応が広がっていく。


リビングのカーテンが揺れ、日光が一瞬女神様の手を通る。


瞬間、沸き立つように皮膚が焼け爛れ、どす黒く染まり切った。


「痛。」


宇宙服の中の女神様がハフハフ言いながら手袋を再度装着する。


手首の機構を戻した後右肩に手をやると、正常に宇宙服が働いたのか元あったように外郭が張った。


「どうしてそんなんになっちゃったわけ?」


顔を顰めつつ、手袋の上から手をさする女神様に聞く。


「容量型のステータス配分の上限と下限を今できる限り突き詰めた結果生まれたのが私なんだわ。」


「はぁ?」


要領を得ない回答に疑問符が口から漏れる。


「生命としての形を維持する下限の下限に肉体を設定して、それ以外のリソースを全部容量確保に注ぎ込んだって事。結果として通常の容量型の6.8倍近くの容量を手に入れたけど、身体ステータスは下の下の下。防御力なんて両方-275だし。」


「防御に-の値があるの初めて知ったわ。」


「あるよ。毒ガスとかが-300くらいに設定されてたはず。」


「気体並みマジ?」


「マジ。ちなみにこれ以上下げると高エネルギーと魔術が複合した七色に光る肉塊になって爆散する。」


「あまりに愉快すぎる。」


指をクルクルさせる女神様の背中を押してリビングに入る。


台所で食べ物を漁ってる間にテチテチ歩きながらソファに向かう女神様。


「んで、どうしてそんな要介護女神様が1人で家にいる訳?」


「あっちで仕事してたら死にかねんからな。私。生成パラメータは残ってるけど、再生成するよりかは資料として残しといたほうが良いし」


「倫理。」


「今更でしょ。」


山:そう言えば元旦から日記を書き始めたんです。


ア:書くようなことがあるんですか?


山:あるよ!最近物を食ってないとか、洗濯してないとか。


ア:あまりに雑すぎるかと。


山:そう、そんな雑な感じの日記を毎日23時に投稿している「クソ雑大生日記(仮)」小説家になろうにて投稿中です。


ア:宣伝だったんですね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ