錬金術師の場合 ③
怒涛の9/9連投
祈りの声と共に、巨躯の肉体が崩れ落ちる。
アンデット特有の消失反応。
灰が舞い上がり、視界が一瞬燻みに覆われる。
「…探知反応!地下!」
束の間の勝利を味わう暇もなく、鑑定士が声を上げる。
{「嵐魔法Lv.10」の発動を確認しました。}
{「嵐魔法Lv.10」の発動を確認しました。}
{「嵐魔法Lv.10」の発動を確認しました。}
{「嵐魔法Lv.10」の発動を確認しました。}
その声と同時に発動した魔術が灰を吹き飛ばす。
周囲の鮮明度が瞬時に上昇する。
静寂。
極度の緊張。
戦場の中にも関わらず、その空間で一切のものは停止していた。
空白
空白。
瞬間、地が爆ぜた。
「やれッ」
{「聖光魔法Lv.10」の発動を確認しました。}
{「戦意Lv.10」の発動を確認しました。}
{「火炎魔法Lv.10」の発動を確認しました。}
{「烈風魔法Lv.4」の発動を確認しました。}
{「命中Lv.10」を発動しました。}
{「雷光魔法Lv.8」の発動を確認しました。}
{「聖洸魔法Lv.5」の発動を確認しました。}
{「破断Lv.10」の発動を確認しました。}
{「集中Lv.10」の発動を確認しました。}
{「土魔法Lv.2」の発動を確認しました。}
{「土魔法Lv.10」の発動を確認しました。}
{「地魔法Lv.10」の発動を確認しました。}
{「火魔法Lv.2」の発動を確認しました。}
{「炎魔法Lv.2」の発動を確認しました。}
{「火炎魔法Lv.2」の発動を確認しました。}
{「血気Lv.10」の発動を確認しました。}
{「要塞Lv.10」の発動を確認しました。}
{「聖光魔法Lv.10」の発動を確認しました。}
{「煉獄魔法Lv.2」の発動を確認しました。}
{「烈風魔法Lv.7」の発動を確認しました。}
{「獄洸魔法Lv.2」の発動を確認しました。}
{「不屈Lv.10」の発動を確認しました。}
{「溜撃Lv.10」の発動を確認しました。}
その場にいたすべての兵士が各々のスキルを発動する。
魔術効果も、属性相性の面から見て従前以上の火力が発揮されている。
その場で放てる最強の一撃が対象に振り下ろされていた。
土煙が晴れる。
着弾地点は、巨大なクレーターと化している。
底も見えないほどに抉れたその地の中心には、下顎のない頭蓋骨が浮いていた。
「っ」
{「聖光魔法Lv.
{「火魔
{「破断Lv.10
{「烈
{「
それに気づいた何人かが武器を構える。
が、それらスキルが発動するより早く、烈風が当たりを薙いだ。
{「死霊術Lv.27」の発動を確認しました。}
気づけば、先程武器を構えていた何人かの姿が消えている。
後に残る血の跡。
緊張に包まれる皆の後ろから、黒ずんだ複数の骨が赤黒いもの垂らしながらゆっくり戻ってくる。
それらは宙に浮く頭蓋骨の周りを周回し始め、蒼焔を灯す。
骨が鳴っている。
頭蓋骨は上下に振動しつつ、周囲の骨をさらに高速で回している。
笑っていた。
肉も臓物も無いその身で、ケタケタと骨を鳴らしている。
嗤っていた。
骨の回転が勢いを増し、蒼焔が頭蓋骨を包む。
炎の中で骨が組み変わる。
分離し、変形していく骨は、やがて三つの姿を取った。
一つは純白の鎧に身を包んだ騎士に、一つは漆黒の鎧に身を包んだ重騎士に。
おそらく二体で一対になるのであろうそれら二体は、白騎士がレイピアを、黒騎士が機関銃を抱えていた。
そしてその二体に守られるようにして背後に浮かぶ頭蓋骨、今や黒いローブを見にまとったネクロマンサーは、蒼焔の宿った歪な杖を持っていた。
残った前衛職が、奥歯を噛みつつ盾を構える。
「特殊個体…か。」
ブラムの呟き。
同時に黒騎士と白騎士が空洞音のような雄叫びを上げる。
雄叫びは強力な引力を伴って周囲を吸引する。
クレーターに向くその力に踏ん張る面々。
それに耐えきれなかったさまざまなものが穴に吸われていく。
岩、木、壊れた武器、肉片、魔物の死体、そして人間の死体。
吸い込まれていく死体群の中には、先ほどまで隣で戦っていた者の物も含まれていた。
力なく穴に堕ちていく面々。
そしてその中には、ミラが特によく知る面があった。
「…おばーちゃん?」
腹に赤黒い大穴を開け、完全に脱力した様子で暗闇に消えていったのは、間違いなくエリゼ・エンバースタークその人だった。




