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ミクロな世界の女子大生  作者: やまとりさとよ
第九章 ミクロな世界の戦争

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錬金術師の場合 ②

怒涛の8/9連投


「ほっ」


{「命中Lv.10」を発動しました。}


魔獣の鼻先で炸裂したそれは、高温の光を放ちながら敵を焼き尽くした。


「やっ」


ミラは未だ炎上する魔獣の背に降り立ち、瓶をばら撒く。


{「火魔法Lv.10」を発動しました。}

{「火魔法Lv.10」を発動しました。}

{「火魔法Lv.10」を発動しました。}

{「火魔法Lv.10」を発動しました。}

{「火魔法Lv.10」を発動しました。}


瓶に貼り付けられた地雷型の魔法が炸裂し、熱と魔力に反応した魔法薬が各々の術式を発動させる。


発動するは高熱と零下の光。


均等に撒かれたそれは、さらにそれぞれが反応して膨大なエネルギーを発生させる。


凄まじい爆風が、復活の目処も立たないほどに魔獣達の肉を消し飛ばした。


本来、氷の魔術効果と炎の魔術効果は相性が悪い。


エネルギーをそのまま破壊力に変換する炎魔法に対し、氷魔法は術式阻害効果の伴った氷結効果を発生させるものであるために、同時に発動したそれらは互いの術式を破壊しあい、込めた魔力に対して十全の効果を発揮できない。


しかし、錬金術は物質的な術式媒体を介して術が発動するため魔術的な効果は発生しない。


錬金術によって発動する魔術は、その全てが物理属性を伴っていた。


エリクサーを浴びつつ、飛来する尾を身を屈めて避ける。


同時にワニ型の魔獣の口に瓶を放り込むと、反転して後方に蹴り出した。


吹っ飛ぶ魔獣。


横回転しながら魔獣の群れに墜落する。


落下の衝撃で腹の瓶が割れ、魔獣の体内魔力に反応して爆発を引き起こす。


弾けたワニの骨が周囲の魔獣に突き刺さり、自爆魔法が連鎖した。


「ふふーん。」


爆裂を背景に靡く髪を押さえつつ、片手で瓶をシェイクする。


「やぁっ」


流れるような投擲フォームで三つの瓶が同時に空を舞う。


結果を認識する前に後方にジャンプしたミラは、刃を振り下ろそうとしていたゾンビの頭に着地し、身を捻りながら再度跳躍した。


断絶した頭を吹き飛ばしながら空に舞う。


放物線の最高高度に達したタイミングで、ミラは魔法袋から魔法薬をばら撒いた。





勇者スキルの職業補正は多岐にわたる。


スキル獲得までの経験値量補正、人族レベルの上昇率やステータスの成長補正、そして、いくつかの隠しステータスが追加される。


勇者スキルはシステムに由来する神の視線。


勇者スキルが術者に職業を設定した時点で、その人間は肉体が作り変えられる。


例えば剣士職を与えられた勇者は防御力値、攻撃力値、HP実数が成長しやすくなり、それに関するスキルも獲得経験値上限が緩和される。


魔法職であれば魔法攻撃力値、MP実数の成長率が上昇し、特殊魔法スキル以外の全ての魔法スキルの上昇率が強化される。


しかし、これらプラス補正の他に、職業に付随する隠しマイナス補正が存在していた。


戦士職であれば、魔法攻撃力の成長率減退、魔法スキル獲得上限値の倍増、魔法スキル使用によるペナルティ、そして魔法攻撃による被ダメージ増加が存在し、魔法職であれば、防御力値、HP実数の成長率減退、物理攻撃に対する耐性減等などである。


そして、錬金術師はMP上昇率、防御力値、魔法攻撃力、HP実数に成長率補正、錬金、各種魔法スキルへの補正が存在する。


そして隠し効果のマイナス補正は、ない。



「デカブツだ!!」



騎士の1人が叫ぶ。


見ると、肉を継ぎ接ぎにしたような、体長7m程の巨体が立ち上がっていた。


修道女達が一斉に祈りをあげる。


叫び声を上げた巨体が半狂乱になったように前線を弾き飛ばし、修道女に駆け出す。


悲鳴が上がる。


ミラは空中で魔法袋から一本の瓶を取り出した。


それは、これまでの魔法薬とは違い、最初から極彩色の光を放っていた。


巨体の足元に着弾したそれは、瞬時に内部の術式を展開する。


暗黒の光が放たれたと同時に、黄金の氷が巨体と地面を固着させる。


腰ほどまで侵食したそれは、巨体の動きを完全に止めた。


同時に、巨体の肉が煙を上げる。


巨体の体が凍りついたそばから爛れていく。


どよめきが周囲に広がる。


土と氷、闇と炎の混じった複合毒(コンポジットベノム)


錬金術にのみ許された、魔術の完全融合であった。


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