九十八話 カミラ
「あんたが…町の子供達を…」
ミーナはカミラに質問をした。するとカミラはニヤリと笑いだし、ミーナの元へ近寄りながら話し始めた。
「そうだよ…。だが、俺にとっては栄養の良いものをただ食っているだけ。言わばただの食事だ。」
「じゃあ…残りの子供達は」
「ああ、全部ここだ」
カミラは口が裂けるほどに笑いながら自分の腹部を撫でた。ミーナはカミラに対する怒りがさらに増幅する。
「許さない…あんたは絶対許さない…!」
ミーナは立ち上がり攻撃魔法をカミラへ放つ。カミラは表情一つ変えずにかわした。
「ほぉ…そうこなくっちゃなぁ…。じゃあ、最初はこれでいくか」
するとカミラは右手に黒い影を出し銃を作り出す。それと同時に自分の容姿を変えていきマーガレットの姿へ変えるとミーナに向け発砲した。
銃弾は確実にミーナに向かってくるがミーナは何とかバリアを張り、防御した。
(何でマーガレットの姿になったの…!?偽物のはずなのに本物みたいな…!!)
カミラは銃を全て撃ち終えるとミーナの前へ瞬間移動し回し蹴りをしてミーナに攻撃を加える。
ミーナは吹き飛ばされ地面に叩きつけられたが立ち上がり攻撃魔法を大量にカミラへ放つが全てかわされてしまう。
「うそ…!なんで…!なんで当たらないの…!?」
次第に焦りを感じ始めたミーナは何度も強力な攻撃魔法を放ち続けるが、カミラは全く表情を変えずじりじりと距離を詰めていく。
普通なら当たる強力魔法を全てかわされているミーナは恐怖と焦りで混乱し始め足を滑らすと尻餅をついてしまった。
カミラはミーナの目の前で止まり笑いながら元の少女の「カミラ」の姿へ戻りミーナの事を眺める。
「はっ、ざまあねぇな?」
「ええ…そうね…」(成功するか分からないけど…あの魔法をやってみるしかない…!)
するとミーナは懐に入れていた杖を取り出しカミラへ向け魔法を唱えた。
「エクシティウム…コルポリス…!」
魔法を唱えると杖の先端から非常に強力な光が放たれ轟音と共に衝撃波によってカミラとミーナは吹き飛ばされた。
白い空間は砂のように崩れ落ちボロボロで埃だらけの研究室に戻る。
ミーナは少ない力を振り絞りながら立ち上がり奥で倒れているカミラの元へ向かう。
「はぁ…いっつ…!」(はぁ…やっぱりか…この魔法使いたくなかったんだよなぁ…)
ミーナは口から垂れてくる血を拭い、体の中の全臓器が握り潰されたような激しい痛みに耐えながら必死に歩く。
「エクシティウムコルポリス」は攻撃を受けた者の臓器を破壊する非常に強力な闇属性の魔法な為、攻撃を受けた場合普通なら即死に近い魔法だ。
だがミーナは攻撃を発動すると同時に強力なバリアを張ったため、即死は免れたが力尽きるのも時間の問題だった。
体が傷だらけで口から血を流し、目を瞑って倒れているカミラの元へたどり着くとミーナはナイフを取り出しカミラ心臓へ向け振り下ろした。
するとカミラの心臓に刺す直前でミーナの体は時が止まったかのように止まり、景色が灰色へと変わる。
「あんな魔法で死ぬわけねぇっての」
ミーナの影からカミラが姿を現し、ミーナへそう言うと固まっているミーナの肩をトンっと軽くたたく。
ミーナの体が動けるようになると景色は一気に灰色からカラーへ戻り、同時にミーナの意識が一気に遠のきガクンと力が抜け地面に倒れる。
カミラの足元の黒い影がミーナの体を包み込みバキバキと骨が折れる音、臓器等が潰れる音を立てながら食事を始め、カミラは少し不満げに自分の手に付着する黒い影から飛び散るミーナの返り血をぺろりと舐め取る。
「はぁ…案外あっけないもんだったな…つまんねぇ…」
つまんなさそうに血を舐め終えると、研究室を出て階段を上り、一階の崩れて屋根が崩れ落ちた所から空を眺め小声で一言言い、姿を消した。




