九十五話 捜索
役場の会議室を借りミーナとニルは資料を取りに行ったシエルを待っていた。
するとシエルが走ってきたのか息を切らしながら会議室へ入り封筒をテーブルの上に置き椅子に座る。
「すみません…上司に捕まりそうだったので遅れました…。それで、子供の事なんですけど二週間の間に男の子二人、女の子二人行方不明になっているようです」
「四人…どういう風にいなくなったとか分かりますか?」
「はい……全員目を離した隙にいなくなったり朝起きたらいなくなっていたり…と言ってるんです…。しかも手掛かりがないものばかりで捜索が難航しています…そこで、町唯一の魔法使いであるミーナさんに協力してほしいんですけど…」
「いいですよ」
ミーナはシエルの話を聞き頷く。
「ありがとうございます!…ですが、捜索は一人で行ってもらう可能性がすごく高いです…」
「一人…?何故ですか?」
「実は、子供達の捜索に行った警官の何人かが道中黒い人影に襲われ何とか逃げ切った警官は「悪魔だ…」と言っていたそうです。それのせいもあってか誰も捜索に行こうとしないんですよね…この報告書に色々詳しく書いてあるので家の中でゆっくり読んで子供達を救って下さい!」
シエルは報告書の入った封筒をミーナに渡した。
その後ミーナとニルは家に帰り報告書を取り出し読み進める。
紙は二枚のみで捜索したエリアの地図と報告書。何日にどういう行動をしたかは事細かに書かれているがシエルの言っていた黒い人影の事はざっくりと「危険。出会ってしまったら即座に自害せよ」とのみ書かれていた。
次の日。
ミーナはニルを家に留守番させ、地図に書かれたエリアへ向かった。
魔法を使い手掛かりを探る。すると少女の移動した痕跡を見つける事に成功した。
(多分これが行方不明の少女の…お願い無事でいて!)
ミーナは辺りを警戒しながら痕跡を辿る。
すると突然背の高い草むらからガサッと音が聞こえミーナは杖を草むらへ向け声を上げる。
「誰!?」
「…助けに来てくれた人?」
草むらから少年のような声が聞こえ、ミーナはもしやと思い杖を下ろす。
「君ってもしかして…行方不明になった子供?」
「うん…」
少年は頷くと草むらから涙を流しながら姿を現した。
ミーナは少年に近づき上着を少年の肩にかける。
「よかった…大丈夫…?」
「うん…でも…」
少年は泣きながら背後を指差した。指を差す先には泥だらけで汚れた足がありミーナは慌てて足のある方へ走った。そこには体が汗かわからないがびしょびしょに濡れていて苦しそうに倒れている少女がいた。
ミーナはとっさに少女の額に手を添えるととても熱かった。
「大丈夫…今助けるから…!」
ミーナは少女をおんぶし少年の元へ戻る。
「ねぇ…その子大丈夫なの?」
「うん、でも早く戻らないと…!ごめん!この子に私の上着かけてくれる?」
「うん」
少年はミーナの言葉に同意し少女に上着をかける。ミーナは少年と少女を連れ早歩きで町へ戻った。
町へたどり着き役場へ向かうと偶然少年の家族がいた為少年はミーナの手を離して家族の元へ走った。
少年と家族は涙を流しながら喜び合う。
隣にいたシエルがミーナの元へ走り寄る。
「ミーナさん!その子もですか!?」
「はい!でも早く医者を連れて来てください!」
シエルは医者を呼びに病院へ走りミーナは役場の待合室の長椅子に少女を寝かせた。少女は意識が朦朧とし問いかけに全く反応がない。
その後、少女は医師の処置により病院で数日間入院する事になった。
次の日
ミーナはベッドで横になっている少女の隣で話を聞いていた。
「助けてくれてありがとう…」
「いいって。それより怪我もあまり無くてよかったね」
「うん…ねぇ、お姉さん…他の子達も…助けてくれる…?」
「うん」
「なら…山奥の屋敷に行って…私…目覚ましたらそこにいたの…多分…みんな…いると思う…」
ミーナは少女の話を聞き、手掛かりになりそうな情報を得た。明日箒に乗り探してみようと思っていると外から雷の音が聞こえ雲行きが怪しくなり始めた。
「そっか…雨降りそうだしそろそろ帰るね」
「うん…」
ミーナは少女に手を振り病室を出る。
病室で少女は一人になり心寂しくなる。窓に打ち付ける雨音が病室に響き渡る。
雷が近いのかピカッと雷の閃光が強く光り少女は一瞬目を瞑り開くと少女と同じ顔、同じ服装の人が口が裂けるぐらいに笑い、少女を眺めていた。
「いやっ!やあぁああああああ!」
少女はパニックになり声を上げるが誰にも聞こえていないのか誰も来てくれない。
体はバタバタと動かす事しかできず起き上がれない。人はそれを見てあざ笑い少女に手を伸ばし少女の口元を覆った。
口を塞がれながらも少女は助けを求める為に叫び続けていたが突然ガクンと力が抜けたように体をばたつかせるのと叫ぶのをやめ目に光が無くなる。
人は少女の口を塞いでいた手をずらし笑顔のまま少女の口の中に指を入れていった。




