九十四話 二人で買い物
朝になりミーナとニルは朝食を済ませのんびりとしていた。するとミーナは身支度をし始めた。
「ミーナ…お出かけ…?」
「うん、ニルちゃんの服とか買いに行くの。ニルちゃんも町にっ…」
ミーナはニルの不安そうな表情を見て少し考えた。ニルは自分の顔の傷でまた町人に何かされるのではないかと不安に思ったのだろう。
「…あっ!そうだ!」
ミーナは何か思いつきドレッサーの引き出しを開け化粧ポーチを出す。
「ニルちゃん目瞑ってー…ちょっと傷跡触るけど我慢しててねー…」
ニルはミーナに言われた通りに目を瞑りじっとした。ミーナは片手で傷跡をなぞるように触りながら消していくが完全には消えず、化粧ポーチからファンデーションを取り出し薄ら残る傷跡に塗っていく。
くすぐったいのかニルはプルプルと震えるが必死に我慢していた。
「…よし!出来た!ニルちゃん目開けてみて」
言われた通りにニルはゆっくり目を開きドレッサーの鏡を見た。鏡には傷跡の無くなったニルの顔が写し出され、驚きを隠せなかった。
「ミーナ…これ…!すごいよ!」
「すごいでしょ!でも、傷は完全に消えたわけじゃないしファンデーションで隠してるだけだからあまり目元は触らないようにね。あとは目をどうにかしてあげたいけど…失敗して失明とかなったら怖いしね…」
ミーナはニルの右眼を見てどうにかしてあげたいと思ったが失敗してしまうのを恐れ諦めた。
「はぁ…こういう時ロゼッタさんがいてくれたから「お任せをー!」とか言って治してくれるんだろうけどなぁ…」
「…ロゼッタ…?」
「うん、私がニルちゃんぐらいの時に一緒に旅してた魔法使い。魔法ならなんでも出来るし命も救って貰ったんだ。最近会ってないなぁ…元気にしてればいいなぁ…まあ、それはいいとして出かけよっか!」
「う…うん…」
ニルは不安げに頷いた。ミーナの足首の具合は良くなり始め普通に歩けるようになっていた。
街に到着し、二人は商店街を散策しているとニルがミーナの服をぐっと強く握り人目を気にしているかのようだったが様々な店を散策し買い物を進めていくうちにニルの表情は少しずつだが明るくなっていった。
そして小さな小物店の前で探し物をしていると店主に声をかけられた。
「ミーナじゃないか!…その隣にいる子は?」
「ニルちゃんです。昨日から遊びに来てるんですよ」
「そうか!何もない町だけど楽しんでけよ!」
店主がニルの頭を撫でようとしたがニルはミーナの背後に隠れてしまう。ミーナと店主は苦笑いした。すると店主は何かを思い出した。
「…ああ!そうだミーナ、最近この町で子供が何人か行方不明になってるらしいんだけど知ってるか?」
「子供…ですか?」
「ああ、酒場で聞いた話だからあまり詳しくは覚えてないんだけどその子ぐらいの子が多いらしい。多分だが役場に行けば詳しい事聞けるんじゃないか?」
「そうですか…聞きに行ってみます」
ミーナとニルは店主の話を聞き役場へ向かった。
最近用事が無かった為役場の中へ入るのは久しぶりだが入ってすぐ今までと違う事に気がついた。
壁の掲示板には行方不明になったであろう子供の特徴等が書かれた紙が複数枚貼られ何枚かはボロボロだった。
ミーナの姿を見た女性が慌てながら駆け寄ってきた。
「ミーナさん!丁度よかった…!今ミーナさんの家へ向かおうかと思ってたんです…!」
「「シエル」さん…話は少し聞いたんですけど子供が行方不明にって…」
「はい…その事で色々聞きたかったんです…?後ろにいる子は?」
「ニルちゃんです。最近遊びに来てる子で…それより聞きたい事ってなんですか?」
「えっと…ちょっとここではあまり詳しくは話せないんで中に入って下さい…ニルちゃんはどうします?」
役場の職員でミーナと仲の良い「シエル」が関係者以外立ち入り禁止の扉を開けて待つ。
ミーナはニルに役場の前で待ってもらおうかと思ったがニルはミーナから離れようとしなかった為仕方なく一緒に中へ入る事にした。




