九十三話 少女
ミーナは箒で家へと向かい、家の前に降りると玄関の前に誰か倒れているのに気づき慌てて近寄る。
「大丈夫ですか…?」
倒れている人の性別は恐らく女性でミーナより背が低く、髪は長い銀色だがボサボサ、服も汚れていてボロボロ。そして何故かハロウィンの時のカボチャのようなお面を付けている。ミーナはその人を揺すってみる事にした。
「う…あぅ…」
少女は小さく声を出すが、体力があまり残ってないのか無理矢理絞り出しているような感じだった。
ぐうぅぅぅ…
「お腹…す…いた…」
すると少女の腹から音が鳴り少女はかすれたような小さな声で言った。ミーナは少女の腕を持ち上げ、自分の肩に回し家の中に入れた。食事を食べさせたかったがあまりにも服や体が汚れていた為先に風呂に入ってもらう事にした。
少女はお面を外さずにインナーシャツを脱ごうとしている為引っかかってしまい慌てていた。
「お面外した方がいいんじゃないかな…?」
ミーナは少女に提案をしたが首を横に振られてしまい、少女は服を破るように勢いよくインナーシャツを脱いだ。お面はずれただけで済んだ。
その後、少女はお面を被ったまま風呂に入った。そして入浴後リビングに招き食事をご馳走した。よっぽど空腹だったのか無我夢中で食べ進めるがその時もお面を外さず上にずらし口元を出していた。
ミーナは紅茶を飲みながら少女の変わった行動を不思議に思う。
「…美味しい…?」
「…うん」
「お面外さないんだね…」
ミーナの一言を聞いた少女は用意した料理を食べ終えるとこくりと首を縦に振る。
「どうして外さないのかな…?」
「…恥ずかしい」
「そっか…」
ミーナはそう言い、出した食器を片付けていく。少女はミーナの様子を伺いながらもお面を外そうか悩み、お面の紐を取ろうとするが見られそうになった瞬間にテーブルの下へ手を隠す。
食器の片付けを終え、就寝につこうと二人で寝室へ移動し少女はベッドに座りミーナはドレッサーの前にある椅子に座り自分の髪をブラシで解いていた。
「そういえば、名前聞いてなかったね。私はミーナ、あなたは?」
「ニル…」
「へー「ニル」って言うんだ…ニルちゃん、さっきからお面の目元カリカリ引っ掻いてるけど顔痒いの?」
ミーナの一言を聞きニルは無意識でやっていた行動に気づいた。
「…うん…痒い」
「ならお面外した方がいいんじゃない?」
「嫌だ…絶対私の事嫌いになっちゃう…」
「大丈夫。そんな事ないから」
「…本当…?絶対…?」
「うん」
ミーナは頷いた。ニルは不安げにお面の紐を触りお面を外した。ニルの顔は右目元から鼻の近くまで赤く火傷の跡があり左側の目は青なのに対し右の目は原因は分からないが灰色だった。あまりにも痛々しすぎる光景を見てミーナ言葉を失った。
ニルは火傷の跡が治りかけで痒いのかポリポリと目元を搔き始めた為ミーナは止めに入る。
「掻かないほうがいいって…何があってこうなったか話せる?」
「…うん…私、前いた町で黒魔術の勉強してたんだけど…失敗してこうなっちゃった…」
「そっか…目は大丈夫なの?」
「ううん…右眼だけ色がないの…全部灰色の世界…」
ニルはそう言いながら右の目蓋を触る。
「…そんなんだ…とりあえず今日は遅いし寝ようか。ごめんね、狭くて」
「ううん…大丈夫…」
ミーナとニルはベッドで一緒に寝る事にした。ランプの灯りを消すとニルは疲れていたのかミーナの腕を抱きしめながらぐっすりと眠りについた。




