八十七話 決戦の幕開け
それから数週間経ち、ジャックの傷は治り退院となったが休んでる暇はない。退院した次の日からヴィランズコーストの拠点を探し周る。
「マーガレット、入院してる間に思ったんだけどヴィランズコーストの奴らに会うのって路地が多いよな」
「ああ、私もそれ思ってた。しかもある一帯…ここだ」
マーガレットとジャックはある場所の路地へ入る。
「ほぉーやっと気づいたか」
どこからか声が聞こえるとマーガレット達の正面に黒い影がズブズブと現れキアラとザビーが姿を現した。
だが隣にハンリンの姿は無くザビーの様子は前と違い怒りが溢れていた。
「マーガレット!お姉ちゃんに何したの!?」
「何もしてないが?」
マーガレットはザビーに煽るように言い返す。ザビーが手を強く握りしめ、ガクガクと震える。
「許さない…あんたは絶対許さない!あああああああ!」
ザビーは怒りに任せてマーガレットに向かって走り出し右手を黒い影で包みながら近寄るがマーガレットに銃で脚を撃たれ転んだ。
「マーガレット…あんたは絶対…に…」
ザビーは撃たれた脚を手で押さえながらマーガレットの方へゆっくりと歩み寄る。その時のキアラの目はゴミを見るような冷たい目で小声でボソボソと呪文のようなものを唱えていた。
「ジャック…気を付けろ…キアラの様子がおかしい…」
「わかってる…」
マーガレットとジャックは小声で伝えあっているとキアラが呪文を唱えるのをやめた。
「ザビー」
キアラはザビーを呼ぶとザビーはびくっと驚き慌て始めた。
「お願い…キアラ…私だって出来るから…」
「あ?」
キアラはザビーにそう言い放つとザビーの足元から黒い影で出来た手が現れザビーの足首を掴み上げると近くの壁へ投げ飛ばした。壁は崩壊し、ザビーはぴくりとも動かない。
「てめぇみたいな奴は一番嫌いなんだよガキが…」
マーガレットはキアラに向け数発発砲するが黒い影で全て防がれてしまう。そしてキアラがクスッと笑うと一瞬にしてマーガレットの前に移動し殴りかかる。
マーガレットは腕で何とかガードする事が出来たが凄まじい痛みが襲う。
ジャックもその隙にトランプをナイフの様に投げ飛ばし、キアラの背後へ回るが全て防がれてしまう。
「ほぉ…マーガレット、お前は戦闘慣れしてるんだな…。だがジャック、お前は全然だ」
キアラはそう言い、ジャックに向け黒い玉を勢いよく放ち凄まじい爆発音を出し当たった。
マーガレットはキアラの拳を払い除けるとキアラ目掛け殴り続けるが涼しげにかわされ、右手首を掴まれる。ギリギリと掴まれた手首から音が鳴り、マーガレットは痛みに耐えながらも空いている左手で上着のポケットから隠していたレミントン・モデル95・ダブルデリンジャーを出し腹部に発砲した。
キアラは撃たれた反動からかマーガレットの掴んでいた手が少し緩みマーガレットは振り解くとその隙にキアラの顔に回し蹴りをし、命中する。
(よし当たった!)
マーガレットは少し距離を取りキアラの腹を蹴飛ばす。キアラは数センチ飛ばされたもののすぐに黒い影を足元に出し自分の動きを止め、ふらつきながらその場に止まる。
「ふふふ…おもしれぇ…」
攻撃を受けたキアラは口から垂れてくる血を拭いながらニヤリと笑い、マーガレットを睨む。
「いやいや、舐めてたよ…お前らなんてアリ並だと思ってたんだけどね…」
キアラは俯きながら笑うと突然衝撃波が現れマーガレットとジャックは吹き飛ばされた。マーガレットは立ち上がりキアラの姿を見ると服ははだけ、上着はボロボロになっていた。
「さぁて…お前はじっくり楽しみたいから…」
気味悪い笑みを浮かべながらマーガレットにそう告げると姿を消し、ジャックの目の前まで移動した。
ジャックは驚いたものの攻撃をしようとしたが体が全く動かず何も出来ない。キアラは笑顔でジャックの肩に手を置き耳元で囁く。
「お前は用済みだ」
キアラがジャックの肩に乗せていた手を離し、トンッと人差し指で押すとジャックは人形の様に倒れた。
「ジャックウゥッ!」
マーガレットはそう叫ぶとキアラの元へ走り出そうとするがキアラは後ろを振り返りマーガレットを見下しながら笑い手をクイクイと動かし挑発してきた。




