七十九話 姉妹と再会
次の日。マーガレット達は再びグレッタの捜索を開始し、昨日立ち寄った路地へと入る。
あの姉妹に会えば何か聞き出せるのではないかと考えたからだ。
「ふふふ…また来たんだ、お姉さん達」
狙い通り姉妹に会う事が出来た。
「ああ、お前らに用があったからな」
「ふーん…私達もそうなんだ!あなた達が探している人に好きなようにしていいって言われたからね、遊んであげようかなって思ったの!」
姉妹はニッコリと笑いながら話すと片手を絡ませ、抱き合いながらキスしあった。異様な光景にマーガレット達は警戒し、銃を手に取る。
「んはっ…ちゅ…ん…ぷはぁ…ふふ…あなた達の思っている事は分かるわ。今の私達を見て気持ち悪いって思ってるんでしょ。知ってるよ。だって私達は互いを愛し合ってるもの…歪んでるぐらいに…」
すると突然姉妹の片方が地面に吸い込まれるように姿を消し、残った方の「ザビー」が凄まじい速さでマーガレット達に向かってきた。
マーガレットは残っている少女に銃を持つ方の腕を掴まれ建物に投げ飛ばされ、壁に体を強く打ちつけた。
「ぐっ…」(いった…!ガキとは思えないぐらい…力が…強い…)
「マーガレットっ!大丈夫か!?」
「ふふ…そこのお二人さん…自分の事を心配した方がいいよ?」
助けに行こうと動いたジャックだったが後ろから声が聞こえ、振り返ると姉妹のもう片方「ハンリン」が立っておりジャックに攻撃を仕掛けようとしていた。
「モーガン!そいつを好きにやっちまえ!」
「わかったっ!」
ジャックの命令を聞いたモーガンはハンリンの腕にかぶりつき食いちぎろうとし、ジャックはもう片方の方にトランプをナイフのように投げつけダメージを与えている隙にマーガレットのもとへと走り助けた。
「大丈夫か…?」
「ああ…だけど…気を付けろ…あいつら…ガキとは思えない馬鹿力だ…油断した…」
「そんなの見れば分かるさ…」
「だな…」
ジャックはマーガレットを立ち上がらせ、モーガンが持ち堪えてくれている事を見て二人は協力し片方を攻撃する事にした。
バッとジャックとザビーが動き、近くに来た瞬間ジャックは煙幕玉を地面に落とす。かなりの煙の量にザビーは動けなくなり煙を手で仰ぎながら咳き込んでいた。
「ゲホッ!ゲホッ!…何も見えない…っ!お姉ちゃん…どこ…」
バンバンバンッ!
マーガレットはその隙に煙の方へ発砲し、姉妹の片方の急所へ全て命中させた。
煙の中からふらつきながら出てくる姉妹の片方に向けてもう一発発砲し、頭を撃たれたザビーは地面に倒れた。
「ザビーッ!…離してっ!」
「ギャインッ!」
ハンリンはモーガンの事を蹴飛ばし、涙を流しながら倒れたザビーの元へ向かおうとするがマーガレットに銃を突きつけられピタッと足を止める。
「すんなり行けると思うなよ」
「お願い…私達が悪かったから…ごめんなさい…だから…ザビーの元へ行かせて…ぐずっ…」
ハンリンは涙を流しながら言うがマーガレットとジャックは聞く耳を持たなかった。
「ふざけんな。いいからさっさとモーガンの場所を教えろ。そしたら行かせてやる」
カチリとマーガレットは銃のハンマーを動かす。
ハンリンはその音を聞きびくっと怯え、どんどん溢れてくる涙を拭う。
「お願いっ…!お願いだから…!ぐずっ…!」
「……」
一向にグレッタの場所を言わないハンリンに対し、マーガレットは苛立ちを感じ出した。
「なーんてねっ」
突然ハンリンが明るい声で言い出し、顔を上げるとニンマリと笑っておりマーガレット達は驚いた。
「ただの人間だと思って油断しちゃったけど、そろそろ本気出そうかなー。ね?ザビー?」
「…は?お前何言ってんだ…?」
ジャックはハンリンの言っている意味が分からなかった。ハンリンは自分の胸元の辺りで指を組み合わせ気味の悪い笑みを浮かべる。
「だってね」
ベギッバリバリバリバリバリバリバリッ!!
突然ハンリンの影から凄まじい速さで鋭く尖った黒い物体が続々と現れ、ハンリンの隣にハンリンと全く同じ形の黒い影を作り上げていく。
「なるほど…そういう事か…」
「どういう事だよ…マーガレット…?」
「あれは姉妹だけど…姉妹じゃない…一人の人間が二人いるって事だ…」
人の形が出来上がると周りを覆っていた黒い影が地面に落ち足元の影となり、そこには全く同じ姿をしたザビーが立っていた。
「そうだね、お姉ちゃん」
ハンリンとザビーは二人で抱き合い、ザビーは笑顔で言った。




