七十三話 マフィア
マーガレット達はある建物の中に入り、エレベーターに乗り込んで三階へと上がった。
エレベーターが開き、出ると受付にスーツを着た男が立っていた。
「いらっしゃいませ、ご用件はなんでしょうか」
「ここの社長さんに会わせて欲しいなー」
ジャックは笑顔で言うと男の表情は変わり険しくなった。
「社長に何の用事で?」
「仕事の話だよ、とりあえず社長にヴィランズコーストの人が来たって伝えてみて」
ジャックは受付にあった電話を指差しながら言った。
男は仕方なく社長にジャックが言った通りの事を伝えた。
「…分かりました…はい、今案内します…」
男は受話器を置きマーガレット達を社長室へ案内した。
コンコンとノックをすると扉の奥から「入れ」と言う声が聞こえ男が扉を開けマーガレット達を部屋に入れた。
部屋にいたのは大きな机の椅子に座っている女性だった。
「お久しぶりです、ルイスさん」
「ああ…っと今日はいつものチビじゃないんだな」
「あーモーガンは今寝てます…今日は新しい仲間でもあるマーガレットです」
ルイスはマーガレットの顔をじっと見つめるとクスッと笑い机の上に置いてある葉巻を手に取り火をつける。
「まあいい、今日は何の用事だ…マーガレット」
マーガレットはルイスに名前を呼ばれ一瞬驚いたがここでビビっていては話が進まないと思い来た理由を話した。
「ヴィランズコーストのグレッタの居場所について知りたい」
「残念だがそれは知らない…だが、あいつ…」
ジリリリリッ…ジリリリリリッ…
突然机の上にある電話が鳴りルイスは話すのをやめ受話器を取った。
「どうした…うん……うん…そうか…わかった…」
チンッ
ルイスは受話器を置きマーガレットの目を見た。
「すまない…話の続きをするか。グレッタの事ならこの町の外れにあるカルト教団「コーベル・ニアク」の総長に聞いてみるといい」
「コーベル・ニアク…?」
マーガレットは突然出た言葉に驚きを感じた。
ルイスはさらに話を続ける。
「ああ、ここ数年一気に勢力を伸ばしているカルト教団だ。私らの表向きは不動産屋だが、そいつらは私らが管理している教会を無断で使って立ち退かない。それに、グレッタが脱獄した後から外部との関わりを遮断し始めたとても厄介な奴らだ…それでも聞きに行くか?」
「ああ…行くよ」
ルイスの説明を聞いたマーガレットだったが迷いはなくすぐに返事をする。
はぁ…とため息をつくように葉巻の煙を吐き出すとルイスは机の引き出しから紙を取り出しマーガレットに渡した。
「…そうか…分かった…場所はここだ。生かすなり殺すなり、やり方はお前らの好きなようにやればいい」
目つきを鋭くさせながらルイスがそう言うと、マーガレットは何も言わずに部屋を出ていき、ジャックは慌てて付いていった。
ルイスは再び葉巻を吸い、椅子に深く座りながら天井を眺める。コンコンとドアからノックがなりルイスが「入れ」と言い、部下が資料を渡しに部屋に入ってきた。
「ルイス様…あの者たちは…」
部下は廊下ですれ違ったマーガレット達の事が気になって仕方がなかった。
「ああ、あそこの教会を消してくれる者たちさ…」
「者たち…って!あそこの教会をですか!?確かにあそこはかなり厄介な連中ですが…見ず知らずの者に任せるのは…!」
「まあまあ、落ち着け。隣にいた手品師は知り合いでその隣にいたやつは…まあ…同じだ」
「そ…そうですか……。失礼しました…資料置いていきますので…失礼します」
部下は机の上に資料を置き部屋を出ていった。ルイスは何も言わずに資料「未払いリスト」を手に取り目を通すと呆れたように資料を机の上に置き葉巻を灰皿に擦り付ける。
(……まさか生きていたとはね…)
胸ポケットから懐中時計を取り出しパカっと開く。中には父親らしき人物の男の顔は塗り潰された三人家族の家族写真が貼られていた。写真に写っている少女の下には「マーガレット・メリル・カーヴェリエ」と書かれていた。




