百一話 再会
「サーニャ、もうそろそろ着くよ」
サーニャの母親から手紙を受け取って二日が経ち、サーニャとロゼッタはローベルク町の病院へとたどり着きそうだった。
ローベルク町は比較的大きい町で貧富の差がない町だ。
サーニャとロゼッタはローベルク町の病院へたどり着き受付を済ませ、病室へと歩く。
手紙には病室の番号なんて書いていなかったのにロゼッタはまるで何度も来た事あるかのようにスタスタ歩く為サーニャは疑問に思った。
「ねぇロゼッタ、ここ来た事あるの?」
「うん、一度だけね」
ロゼッタは笑顔で言うと405号室の扉の前で立ち止まりノックをした。
「はーい」
病室の中から微かに声が聞こえ、ロゼッタは扉を開けサーニャを先に入れた。
中は他の病室と比べて広く一人部屋でベッドの上に座る白い髪の女性がサーニャの顔を見てニコッと笑う。
「久しぶり、サーニャ」
「お母さん…なの…?」
「うん…そうだよ…」
サーニャは母親の言葉を聞き、我慢する事が出来ず母親に抱きつき涙を流した。
サーニャの母親は笑顔でサーニャの頭を撫でる。
「あらあら…サーニャは昔から泣き虫だね…。サーニャの事を立派な魔法使いにしてくれてありがとうね、ロゼッタさん」
「いえいえ、私は逆にサーニャに迷惑かけてばっかりでしたよ。何度かサーニャを危険な目に合わせてしまったし…」
ロゼッタは照れながら言った。
二人の会話を聞いたサーニャは疑問に思った。
「え?お母さんとロゼッタって知り合いだったの?」
「うん、ロゼッタさんが死にそうだった時強引に私の体に乗り移らせたの。だからここの場所がすぐに分かったでしょ?ロゼッタさん」
「はい、あの時は突然の事だったので何がなんだか分かりませんでしたけど…。あっ、あと日記返しますね」
ロゼッタはサーニャの母親と会話をしていると日記の事を思い出しバックから日記を取り出し持ち主であるサーニャの母親へ返そうとした。
だがサーニャの母親は日記を受け取ろうとしなかった。
「いえ…それはもう必要ないの…」
「えっ…それはどうして…?」
ロゼッタは疑問に思いサーニャの母親に質問をした。するとサーニャの母親は悲しげな顔をし、窓から外を眺め話し始めた。
「サーニャ、私ね…もう長くないの…」
「え…?それって…どういう…」
「私は…人の未来が見えたり運命を変えれるんだ…。だから日記にサーニャの行動を書いて…仲の良い人に渡して…手掛かりになればって思ってロゼッタさんに日記を託してロゼッタさんを生き返らせたの…。でも…もうダメみたい…寿命が来てるからか…私が死ぬ未来しか…見れない…」
「そんな…」
サーニャの母親の言葉を聞きサーニャは涙を流しながら俯いた。
「でも…よかった…最後に会えて…」
「お母さん!大丈夫だよ!私…!ロゼッタの体だって治せたんだから!お母さんの体も…っ!」
サーニャは涙ながら話すがサーニャの母親は涙を流しながら首を横に振る。
「だめ…私の為に…魔法を使わないで…もうじき…あれが来るから…」
「あれ…って?」
「ほー気付いてたか」
突然ロゼッタの背後から低い男性の声が聞こえ、ロゼッタとサーニャは後ろを振り向くと小柄で黒いワンピース、黒のヒール、黒のニーソ、赤い瞳の少女が薄気味悪い笑顔を浮かべながら立っていた。
サーニャとロゼッタは警戒し、サーニャの母親を守ろうとする。
「おーっと、そんな警戒しなくてもそいつには手ださねぇよ…。俺が用あるのはてめぇら二人だ」
「私達…?」
少女はサーニャとロゼッタにそう告げるとロゼッタはすぐさま聞き返す。
すると少女はさらに笑顔になりながら話し始めた。
「ああ、そうだよ。てめぇら二人みてぇな若くて能力の高い魔法使いは好物でなぁ…ぶっ殺して食いてぇんだよ。けど、俺だってそんな死にそうなババアを傷付けるわける気はない。だから、別会場でやろうじゃねぇか。お二人さん?」
少女は口が裂けるぐらいに笑うと指パッチンをした。
すると病室の扉が勝手に開き廊下とは全く違う白い空間へと繋がっていた。
「…っ」
ロゼッタは何も言わずに扉へと歩き出しサーニャも遅れてついて行く。
「サーニャ…」
サーニャの母親がサーニャの事を呼び止めサーニャは足を止め母親の事を見た。
「…頑張って…ね…」
「うん…!」
サーニャは母親に返答し、扉の中へ入る。
扉は勝手に閉まり、少女は笑いながら姿を消した。




