百二話 最後の戦い
サーニャとロゼッタは何もない白い空間に取り残されるが警戒を解く事はなかった。
「さあ、始めるか」
どこからか低い男性の声が聞こえたかと思うと突然サーニャの目の前に少女が現れ、蹴りを入れられたサーニャは吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。
ロゼッタは少女に魔法攻撃を繰り出すが遊んでいるかの様に全てかわされジリジリと距離を詰められていく。
「はぁ…はぁ…ゴハッ…うっ…オェッ…!」(…痛い…軽く蹴られたのかと思ったのに… 内臓が…凄く痛い…)
サーニャはゆっくりと立ち上がるがあまりの衝撃に血混ざりの嘔吐をし蹴られた腹部を押さえる。
小声で回復魔法を唱え痛みを和らげると戦っているロゼッタと少女の元へ走った。
ロゼッタは何度も魔法攻撃を繰り出すが全てかわされてしまい蹴りを入れられるがバリアを張りなんとか攻撃防ぐが、その後の対処まで中々進めず防御するのに精一杯だった。
「ははははは!そんなガードばっかして大変そうだなぁ!?」
「くっ…!…そうかもね…っ!」
少女は笑いながら言うとロゼッタは少女の回し蹴りをかわし、強力魔法を近距離で少女に向けて放つ。
少女は煙を出しながら飛ばされ、地面に叩きつけられると動かなくなった。
「ロゼッタ…!」
サーニャはロゼッタの元へ走り寄りロゼッタの隣へ立つ。
ロゼッタの体はバリアしきれなかった攻撃の影響で傷だらけだった。
「ロゼッタ…大丈夫…?」
「はぁ…はぁ…うん…。…でも…なんかおかしくない…?なんで私達…ここから出られないの…?」
ロゼッタは疑問に思った事を言った。
サーニャとロゼッタのいる白い空間は壁や扉なんてあるわけなく出口が見当たらない。
抜け出すには少女を倒すしかないと思うが少女を倒しても白い空間から出られない。
「じゃあ…あの子…まだ生きてるって事…?」
「ありえない…だって…普通なら死ぬような魔法攻撃を近距離でやったんだよ…!?生きてるなんて…」
…ブシュッ…!
突然サーニャの首元から血が大量に噴き出しサーニャはロゼッタの方へと倒れた。
「サーニャ!?サーニャ!!しっかりして!!サーニャアアア!!」
ロゼッタは突然の事に驚きサーニャの事を抱き抱えるがサーニャの顔は徐々に血の気が無くなり青白くなっていく。
突然パックリと割れた傷口から溢れ出る血を魔法を使い止血しようとするが魔法が全く効かず白い地面がどんどん赤い血で浸食されていく。
「どうして…!?このままじゃサーニャが死んじゃう…!なんで魔法が効かないの…!?」
「キシシッ…」
すると少女は手を使わずバキバキと音を立てて立ち上がるとロゼッタとサーニャを見て嘲笑う。
「ほら、早く止めてやらねぇと死ぬぜぇー?キシシッ!」
「うるさい!…化け物がっ!」
「ほぉーそうか…。…化け物ねぇ…」
さっきまで笑顔だった少女は突然真顔になり右手にマーガレットの持っていたような銃を出すとロゼッタの心臓目掛けて発砲する。
放たれた弾は心臓に命中してしまいロゼッタはバタリと仰向けに倒れた。
サーニャの首から流れ出た血溜まりにロゼッタの右手がバシャっと落ち、ロゼッタは何もない真っ白な背景を見る。
(あぁ…もうだめなんだ…サーニャに色々迷惑かけちゃったな…)
…あぁっごめんなさい!今すぐタオル持ってきますね!……
(そういえば…サーニャと初めて会ったのって…サーニャの家に魔導書があったからだっけ…懐かしいな…)
ロゼッタの頭の中にサーニャと初めて出会った時の思い出、アレゲニー町で出会ったマーガレット、インシュバート街で出会ったミーナとの思い出が蘇る。
(マーガレット…第一印象は怖かったなぁ…。ミーナちゃん…あの時以来全然会っていないなぁ…今…元気にしてるかな…)
過去の思い出がどんどん蘇りロゼッタの目から涙が流れる。
すると突然脳内にノイズが入るとマーガレットが見知らぬ少女と共に殺される光景、ミーナが今のロゼッタと同じ様な状況で少女に殺される光景が脳裏に、自分が目の前にいたかの様に鮮明に浮かび上がる。
(...え?何…今の…?…まさか…あの化け物に…マーガレットとミーナちゃんが…?殺されたの……?)
そしてどの光景も化け物がロゼッタの事を嘲笑っていた。
ロゼッタは次第に怒りが込みあがり右手をぐっと強く握り、力を振り絞りゆっくりと立ち上がる。
「おっ…生きてたのか」
化け物はロゼッタを見てクスッと笑い、ロゼッタは鋭い目つきで睨みつけながら問いかける。
「…あんたが…マーガレットと…ミーナを…殺したの…?」
「マーガレットとミーナ?あーこいつらの事かー?」
すると化け物はマーガレットへと姿を変え、次にミーナの姿へ変えると元の姿へ戻りロゼッタを再び嘲笑う。
「あぁ…殺したよ。糞ネズミ同等の奴らを」
化け物はロゼッタにそう言い放った。




