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転生システムに致命的エラーを発見してしまったのだが  作者: みももも
第零章

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山龍討伐一日目(9)

「っと、そういえばライア、なんか自分たちに用事があったんじゃなかったの?」

<<左様。 まずはお主らに向かってもらいたい場所がある>>

「それではチシロ、時間も惜しいゆえ、早速だが移動を始めよう」

<<詳しい説明は、現地にたどり着いて後に説明しよう>>

<<なに、我々に『騙そう』という意図はない。>>

<<目的地がすぐ近くであるだけのこと。>>

<<現物を前に説明をした方が早いというだけのことである。>>


「それでは、案内をしよう。 我についてくるがよい」


 そう言うとライアはふわふわと浮かびながら進んでいき、マテラもそれについてスイスイ飛びながらついていく。

 歩いているのは自分だけ、か。


 何らかの『術のようなもの』の力が働いているようで、獣道だというのに草木をかき分けて進む必要もなく(逆に、草木の方が避けていくようだった)魔獣や獣に出会っても、基本的にこっちには無関心だったので、無視してズンズン進んでいく。

 そのまま、ライアとマテラを見失わないように気をつけながら10分ほど歩くと不意に二人が立ち止まった。

 どうやら、目的地に着いたらしい。

 ライアは巨大な白い岩のような物の上で旋回しながら。


「チシロよ、お主に頼みたいのは他でもない。 『この獣を救って欲しい』ということなのだ」

「あ、チシロ様、言われてみればこの岩、生き物のようです。 魔力を感じますし、かすかにですが動いてもいます」

「あ、本当だ。 確かに動いてる! ・・・って、『救え』と言われても、自分もマテラも獣医ではありませんので、さて何をしていいものか・・・」

<<その点は安心せよ。>>

<<我らがお主に頼みたいのは、いわば『我々と獣との橋渡し』に過ぎぬ。>>

<<術の行使は我々で行うゆえ、お主は獣の近くで待機しておれば良い。>>

「チシロよ、これより我等はチシロの中にある術式回路を用いて『術』を行使する。

 人間が使うことのない器官を使うことになるゆえ、違和感を感じることはあるかもしれぬが、逆に言えば使わぬ器官ゆえに、チシロに悪影響を及ぼすことはない。

 術の展開に時間がかかるゆえ、しばらくこのあたりで自由にしていておるが良い」


 なんでも、声の主達は、強い力は持っていてもそれを行使する回路を持たない存在らしく、何らかの術を発動するには『他者の存在』が必要になるという不便な性質らしい。

 ライアに限って言えば、ついさっき『想力解放』を行ったので、自力で術の行使ができるようになったらしいが、まだ安定して術を使える状態ではないということで、当初の予定通り自分の回路を用いて術式を行うことにしたらしい。


「そういうことなら、まあ、好きにしてください。

 そうだなぁ。 マテラ、ここらでお昼ご飯にでもするか。」

「はい、チシロさま!

 先s・・・ガストフさんから受け取っていたお弁当、あと、アウr・・・ボロ雑巾さんから受け取っていた机と椅子の魔術符を用意しますので、しばらく待っていてくださいね」

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