山龍討伐一日目(幕間1)(4)
「アウラ、気づいとるか?」
「ええ。 あれはおそらく『法術系』の結界ですね」
山龍の調査をしようと山に近づくと、森に入るあたりで結界を見つけました。
おそらく、例の敵ギルドが設置している罠の一種なのでしょう。
法術とは「ルールに則った力」を発揮するのが得意なタイプの力で、範囲内の人や獣に対して術を発動させる結界などと相性のいい力です。
中にとらわれてしまうと、自力で脱出することは難しいのですが、逆に言えば中に入らなければ無害です。
問題なのは、その結界がどうやらこの森一帯に展開されているようで、「山の調査を行うには結界を通り抜ける必要がある」ということでしょうか。
「いや、結界のこともあるが、そうやなくて、森の中から人の視線というか、気配を感じるんや。
しかも、これは見張るというよりは獲物を狙うタイプの視線・・・」
「おかしいですね。 すでに人質は確保しているはずですし、魔術契約も結んでいます。 見張りをつけるぐらいならわかりますが、好戦的になる理由はないはずです」
「ああ、もしかしたら、奴らの中で情報の伝達がうまくいってねぇのかもしれねぇ」
人質を確保したという情報が伝わっていないとか、そういうことでしょうか。
いずれにせよ、これは好都合です。
法術系の結界ということは、決められたルールを守っていれば無効化されるはずです。
おそらく、何らかの物品を所持しているとかその辺りでしょうから、それさえ奪い取れば結界は無効化できます。
ついでにチシロさんとマテラちゃんの情報も聞き出せれば、それに越したことはないですが、まあそう上手くはいかないでしょう。
余り過度な期待はせずに、まずは結界の無効化から始めましょう。
「ガストフさん、森の中に入ったら、何かしら理由をつけて別行動を取りましょう。
そうしたら、おそらくですが奴らはガストフさんよりも私を捉えようとしますので、私が返り討ちにします。
もし、ガストフさんの方に奴らが向かったら、そうですね・・・。 危なくなったらこのカードを破り捨ててください。
その場に私が召喚されます」
「お、おう・・・。 せやけど、アウラは本当に大丈夫なんか? 敵は一人二人とは限らんのやで?」
「ええ、その点はおそらく問題ありません。
この程度の結界しか張れない素人に遅れをとることはあり得ません!」
「ま、まあ、確かに、殺気を消すこともできない、いかにも素人っぽいやつらやしな。 おそらく、こういう悪事が本職やない奴らなんやろうな。 やからと言って手加減する気はねぇが!」




