山龍討伐一日目(幕間2)(2)
「なにぃ〜!? 森に入った獲物を見失っただとぉ!?」
「は、はい! も、申し訳ありません・・・。 『追跡部隊』にも協力してもらって、数十人規模で見張っていたのですが・・・」
「言い訳はもういい! それより、森を抜けてはいないだろうな」
「そ、それについては今のところ問題ないかと・・・。
森全体を囲うように敷いてある結界には、侵入者を探知する機能もありますので。
それに、森の外ではなく、どうやらより奥深くに潜っていったという報告も挙がっております」
「そうか・・・。 わかった、報告ご苦労。 お前たちは獲物の捜索を続けてくれ。
あと、この件については連中には気付かれないように」
さて、思ったよりも事態は深刻だ・・・。
交渉の結果、魔術契約の文中に『人質の安全を確保する』と入れているのだが、これがまずい。
なぜなら、「安全を確保する」ためには、自分の手元で保管をしていなくてはならないからだ。
だからもし、俺たちで確保していないことを指摘されたら、その時点でこっちが『魔術契約違反』になってしまう。
そうなったら、奴らにペナルティを払わせるどころの騒ぎじゃねぇ・・・。
そして、もし仮に、奴らが国際法を無視して山龍を討伐しちまった場合も、こっちには返せる人質がいねぇってんで、やっぱりこっちにもペナルティが生まれやがる・・・。
あんなおめでたい奴らと共倒れなんて、そんなのはまっぴらごめんだ!
これは、ちょっと方針転換が必要だな・・・。 ううむ・・・。
「おい、幹部共に招集をかけろ! あと、誰か、ここらの地図持ってこい!
今後の作戦についての会議を行う!」




